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2011年1月 2日 (日)

NHK「2011ニッポンの生きる道」と、テレ朝「朝まで生テレビ」は、マスコミの存在意義を対照的に示していた。2011年1月1日

民放の正月番組はお笑い芸人のバラエティばかりで見る気がしない。元旦夜に選んだのはNHKスペシャル「2011 ニッポンの生きる道」で、中身が濃くいつの間にか見入ってしまった。内容は以下のようなものだ。

不毛な消耗戦を続けている低中間層をターゲットにした汎用品は中韓に任せたが良い。今元気が良い中韓でも、やがて後進国に追い上げられ今の日本と同じ苦しみを味わうことになる。

日本企業は経営の足かせになっている汎用品は捨て、先進国では中間所得層以上、中進国では富裕層向けの上級品に特化すべきだ。世界の富裕層の比率はいずれ多くなる。上から下りるのは簡単だが逆は難しい。もし、現状の技術で汎用品にこだわるなら海外に出て行く他ない。国内空洞化は一時的な産みの苦しみで、日本人なら新たな生き残る道を必ず創出できる。

日本の生き残りには、国内に留まっても国際競争に勝ち抜けるハイテク開発が必須だ。汎用品の生産でもハイテクによりコストカットが実現すれば、国内に留まっても国際競争力は増す。以前、ソニーの開発で製品内部の配線を電波で置き換える技術を見た。そのようなハイテクが生き残りに必要だろう。

日本再生にはハイテク中小企業に鍵がある。番組では鉄同等の強度があって軽いシリコン製部品や、液晶テレビの視野角を広くする膜を生産する世界トップ企業など紹介していた。日本には世界に打って出たら成功できる隠れたハイテク中小企業が無数にある。企業自身、自社製品の価値に気づいていないケースが多いだけだ。

景気に対しては大きな誤解があると言う。
データによると過去の好景気時でも、ものは売れず景気とは無関係だった。売れない原因はものを買わない高齢者比率が大きくなったからだ。だから、好景気が戻って来ても、ものは売れずシャッター通りは増加の一途だろう。

しかし、米国での一番の購買層は高齢者である。今の米国の高齢者は親の世代が質素倹約して財産を残して死んだことへの反省があり、生きている内にせっせと消費して生活を楽しもうとする。
日本の高齢者は質素倹約してお金を残した米国高齢者の親世代に相当する。だから、日本の二代目が高齢化する頃に消費は回復すると言う。
しかし、それまで待つ余裕はない。今は高齢者に金を使わせる工夫が必要だ。老後を楽しくする消費材やサービスを開発すれば金を使い始めるはずだ。そこに大きなビジネスチャンスがあることを企業側は再認識すべきだ。

ものが売れないもう一つの原因は若者たちの低収入にある。深刻なのはこちらかもしれない。
日本の労働者は世界一保護された正社員と先進国中最低待遇の非正規社員で構成されている。正社員は首切り無しの代償として、経営が悪化すれば賃金カットを求められる。そのようにして労働者収入は減り、ものは売れなくなる。
対策は失業者のセーフティーネットを強化して、硬直化した労働者保護の規制を緩め、労働者の流動性を高めること。その結果企業体質は強化され国際競争力を得て、若者の収入と雇用が増えて購買力が増す。

少子高齢化問題では石川県が注目されていた。
意外にも、女性の社会進出が出生率を下げているは真っ赤なウソだ。専業主婦が多い東京女性の出生数が0.5人と最少なのに対し、女性の社会進出率が日本一高い石川県は2人だった。これは注目すべき数字だ。

これからの日本企業が主力にすべきは、もの作りではなく世界水準のシステムを売ることだ。かって世界一のパソコンメーカーだったIBMは、今はものを作らないシステムメーカーに変身し、もの作り時代より高収益をあげている。
番組では、世界に売れるシステムとして、新幹線の秒単位の運行システムと、日立の4重5重に安全対策が施された都市配電システムを上げていた。共に海外勢の追従を許さない世界トップ水準にある。

それに関連して、コマツ会長坂根正弘氏は自社で成功しているシステムを話していた。
コマツの重機にはインターネット接続された位置ナビが搭載してある。坂根社長は自室のパソコンで、世界の数十万台の重機の位置と活動状況がリアルタイムで把握できる。例えば中国やアフリカ奥地で稼働しているブルドーザーが一日どれだけ働いたまで分かる。そのデーターを基に、建設企業に助言することで、重機トップメーカーとしての信頼を勝ち取った。

ノーベル賞のパデュー大学特別教授根岸英一氏は国際的な場での若者の知的競争を提言した。
番組では、日本にあるナノテクの研究所を取り上げていた。世界中から若い優秀な研究者が集まり、その厳しい競争の中で日本人研究者は次々と成果を出していた。
番組は、学生は就職活動にエネルギーを使うより勉学に使うべきと指摘していた。そのためには採用側にも意識改革が必要だ。

他にも、実用化レベルに入った海水からのウラン回収。水を酸素と水素に分解する光り触媒など世界最先端を行く日本の研究を紹介していた。先日発表された石油を実用レベルで生産する藻の発見と言い、未来は我々が思っている以上に明るい。これは暗くなりがちな日本人が年頭に見るべき番組だと思った。マイナス要素が隠れているとしても、正月くらい明るい話題が欲しい。

元旦の夕暮れ。左端は影富士。

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昨夜はテレ朝の「朝まで生テレビ」を見ていたが不毛な論争ばかりで気分が滅入るので午前3時に止めた。分かったのは権力闘争ばかりしている日本の政治家に成果は期待できないことだ。

番組では森永卓郎の景気浮揚策に対しダメ出しを繰り返す池田信夫なる経済学者がいて、不毛な論争に拍車がかかっていた。ダメ出しをするなら代案を出すのが討論番組の基本だと思うが、そんな人選をしたテレ朝も問題だ。テレ朝はツイッターで視聴者の意見をリアルタイムに連動すると大きなことを言っていたが、実際は殆ど活用されず、あいかわらずのマスコミによる世論操作を感じた。

マスコミの存在意義が問い直されている今、本意を隠すことなく民意を啓蒙し導こうとするNHKと、あたかも民意を汲み上げているように装っている「朝まで生テレビ」。どちらがマスコミとしてあるべき姿かを対照的に示していた。

我々庶民には、朝まで生テレビ」より、専門家によって整理されたNHKスペシャルの方が分かりやすい。共に作為があるなら後者を選ぶ。マスコミは結論を与えるものではなく、単なる情報源の一つに過ぎない。情報があれば国民はどうすれば良いか自分で考えて導き出せるはずだ。
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Xhana初詣は近所の御諏訪神社も八幡神社も長蛇の列で諦めた。
松の内に参詣すれば初詣になる。

東京北社会保険病院の庭で休んでいると、柴犬のハナちゃんが来た。
写真では分かりにくいが、ニコニコ笑って尻尾を振っている。声をかけると飛びつい来て、袖やカメラをやたらに甘噛みされて困った。相当におてんばな女の子だ。

初店や白髪が並ぶ薄寒さ

赤羽駅高架下の天ぷら屋「てんや」のカウンターに老人たちが座って食事をしていた。それぞれ一人分ずつ間隔を空けて座っている。どう見ても独り寂しい正月風景だった。


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