津波報道を聞きながら大掃除をした。10年3月12日
11日午後、仕事をしていると地震で揺れ始めた。
出だしは普通の地震で、またかと思っていると、加速度的に強くなって行く。これは違うぞと思ってNHKを点けると東北を震源とする地震情報。遠いと安堵したが、激しく揺れ続け、大きな物音。仕事部屋はは対震対策が完全なので、額が傾いただけだ。
パソンは棚からズレ落ち、電源が落ちた。
作動中だったが、再起動はできた、しかし、メインのホトショップが使えなくなった。後日、ハードディスクの一部が修復不能に破損していることが分かった。
NHK画面には津波警報。6メートルとか10メートルとか、通常では考えられない数値だ。画面をしばらく眺めていたが一向に津波は起きない。誤報で良かったと、仕事部屋を出ると我が目を疑がった。台所は電子レンジや食器や鍋が散乱し、更に本棚が倒れて本が飛び散り、母の居間へ行くことができない。歩けるだけ足元を片づけてやっと行くと、仏壇が飛んで転がり、テレビが落ちていた。飛び散った線香立ての灰に花生けの水が交ざって、周りは泥泥。どのように片付けるかはゆっくり考えることにして、仕事部屋へ戻ると、東北地方の海岸線を巨大津波が襲っていた。
11日の夕暮れ。
まず、便器の水が飛び散ったトイレの床を掃除した。次に、洗濯機に溜めていた水の半分は床に飛び散っていて、水が溜まった床は放っておけない。それらを片付け終えたのが午後6時。それらの作業と同時に、家にあるテレビを3台を総てNHKに合わせて休みなく報道を聞けるようにした。
それから、飛び散った本を片づけ始めたが、本を整理しながら並べるので、うんざりする作業だ。更に、床に置いておいた彫金用希硫酸のボトルから中身が漏れ床に広がっているのが判明。それらを片づけ終えたのは9時になった。
猛烈に腹がすいたので遅い夕食。それから母の居間の掃除。割れて飛び散った母の人形ケースのガラス破片などを怪我しないように慎重に拾い集め、箒とちり取りで掃除。刻々と入る津波被害を聞きながら、総て終えたのは深夜。結局、片付けと同時に大掃除になってしまった。
それにしても余りにも重い震災だ。
阪神大震災の時とはまるで違う印象だ。
大規模過ぎて言葉もない。
阪神の時は直ぐ隣の大阪は殆ど被害はなく、平常の生活が営まれていた。
震災直後、大阪駅コンコースのセルベスギャラリーで個展をした。そのついでに被災地を見舞ったが、神戸に入ると、境界線を引いたように被災地が現われた。
しかし今回は違う。青森から千葉まで何百キロもの被災した荒野が続く。仙台市若林区の荒浜海岸には死体が累々と流れ着いている。突然に命を奪われた無念さと遺族の悲しみを思うと胸が痛む。
今、被災者たちの多くは地震の起きる前の午後3時に戻りたいと、どれほど思っているかしれない。更に残念なのは、十分な避難時間があったのに海岸へ様子を見に行って命をなくした人たちが多くいたことだ。
それにしても、母が生きていなくて良かった。生きていたら、そうとうのショックを受けただろう。
今回の死者の多くは老人だ。中には、寝たっきりの老人を抱え、避難できずに共に津波に巻き込まれた家族が多くいただろう。それを思うととても悲しい。
生き残った老人達も、避難場所での生活は過酷だ。阪神大震災の後、慣れない避難地で命を縮めた老人が多くいた。だから、母の生きている間、絶対に震災が起きてくれないことを願っていた。
住まいのある建物のエレベーターが止まった。私はエレベーターは使わず、日常的に13階まで階段を使っているので影響はなかった。
お隣りは荒川土手のゴルフ場でプレー中だったが、河川敷に地割れが起きてとても怖かったようだ。
今日の午後、買い物へ出た。街には被害は全く見えなかった。しかし、人出は多く日曜大工店は大混雑で、肉と魚コーナーはほとんど商品が払底していた。東北は主要な漁港が多いので、魚の回復は長く影響を受けそうだ。
それにしても菅内閣は運が強い。この非常時では野党は与党攻撃はやりにくい。これで解散は遠のいた。さらに、迅速で的確な震災復興を実行したら、内閣支持は持ち直すかもしれない。
経済的には復興株が値上がりしそうだ。建築資材、ゼネコン、運輸、食料、衣料、どれも需要が殺到する。経済ニュースは停止したままだが、すでに激しい値動きが始まっているはずだ。
私のように本棚が倒れ、片づけにうんざりした方は数多くいただろう。これで、著作権問題で遅れている本の電子化が加速するかもしれない。電子図書なら部屋を散らかす心配はない。
今も、休みなく建物が揺れ、船酔いをしそうだ。揺れるたびドアがガタガタ言うので、昨夜は座布団を挟んで寝た。
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