今の非常時、国籍人種が違っても人と人を繋ぐのは損得ではなく心だ。11年4月3日
今年の春は27年ぶりの寒さだ。曇天の今日は日中も10度を切っていた。それでも、咲き始めた桜の下、花見客が出ていた。
先日、「風と共に去りぬ」を見た。作られたのは太平洋戦争前夜で、全編カラー作品。マーガレット・ミッチェルの時代長編小説の映画化で、米国南北戦争によって崩壊して行く南部の貴族的白人社会の令嬢スカーレットを描いたものだ。黒人奴隷制度を肯定しているとして批判が多いが、私は政治的視線とは別の側面から観た。
太平洋戦争の緒戦、占領地の上海、シンガポール、マニラでこの映画を観た軍関係者は多く、映画は日本にも運ばれて、一部のエリートたちに公開された。彼らの印象は、こんな凄い映画が作る米国と戦争を始めたのは無謀では、と言った感想が多かったようだ。
日本で最初に公開されたのは昭和27年。二度目のリバイバル上映は昭和37年ころで、私は高校生だった。殆どの男子たちは貞淑なメラニーを好きだと言っていたが、私は自分に正直に奔放に強く生きたスカーレットが好きだった。殊に、北軍に跳梁されて荒れ果てたタラの地で、「たとえどんなことをしても生き抜いてやる。」と、スカーレットが夕日に誓った後ろ姿が強く心に刻み付けられている。どうやら、無意識にその台詞を思い出して、この映画を選んだようだ。
「どんなことをしても、生き抜く。」
戦後最大の苦境に追い込まれた日本に、これほどのエールはない。
桜を眺めながら赤羽自然観察公園まで歩いた。目的は自衛隊時代からある辛夷の巨木で、母が好きだった。一時、伐採されかけたが、写真のように何とか生き残ってくれた。
母逝きて薄墨の丘辛夷咲く
写真は2009年5月、死ぬ前年の95歳の母。緑道公園で撮った。この頃は心臓が弱っていて話す声は小さく、聞き取りにくかった。
今はようやく、死別の喪失感は薄れ、母を懐かしく思い出すようになった。
昨日は、被災地の卒業式の「あおげば尊し」を聞きながら、子供の頃の母を思い出した。
今日は桜を見上げながら、去年の今頃「今年の桜は本当にきれい。」と何度もつぶやいていた母を思い出した。
先日、日本嫌いの仏サルコジ大統領と仏原子力大手アレバのアンヌ・ローベルジョンCEOが急遽来日した。原子力大国フランスとしては、福島第一原発は看過できない事故で、何としても協力して解決しないとエネルギー戦略が破綻するとの危機感があったからだろう。
今、福島第一は原発存続のキャスチング・ボートを握っている。大津波ではなくても、大型旅客機が原発に墜落しても同様の事故は起こりうる。もしそれが、現在計画中のベトナムやクエートなどだったら到底一国で対処できない。更に、最貧国の北朝鮮の原子炉で事故が起きたら想像するのも恐ろしい。
ドイツは原発存続反対のみどりの党が選挙で勝利したが、間接的にフランスの原発から電気を輸入している。それは周辺国の殆どがそうで、自国に原発がなくても原発を所持しているのと同じだ。
原子炉冷却にはかなりの年月がかかる。その間に遠隔操作ができる作業ロボットなどハイテク製品が次々と開発されるだろう。すでに開発されている新型レスキューロボットT-53援竜など、瓦礫の片付けなどで威力を発揮しそうだ。これはカニのハサミのような腕を供え、オペレーターの腕の動きに合わせて、車でも電柱でも自在に片づけることができる。まだ使われないところを見ると放射線対策などの改善点が残っているのかもしれない。
福島第一原発2号機のピットのひび割れから高濃度汚染水が海へ漏れ出ている。今日、おがくずや新聞紙を混ぜた高分子ポリマーでひび割れを塞ごうとしたが失敗した。土木業者ならもっと上手く作業ができると思うが、うがった見方をすれば、東電は敢えて失敗して汚染水を垂れ流し続けているのかもしれない。私ならボロ切れ、不織布で包んだ高分子ポリマー・例えば生理用ナフキン等を大量に放り込む。
週刊ポスト2011年4月8日号掲載の世界の平均自然放射線被曝量。
ブラジル(ガラパリ)10ミリシーベルト/年。インド(ケララ)5〜10ミリシーベルト/年。中国(陽江)6ミリシーベルト/年。アメリカ(デンバー)4ミリシーベルト/年。イタリア(ローマ)2.2ミリシーベルト/年。イギリス 2.2ミリシーベルト/年。日本 1.5ミリシーベルト/年。
昨夜、英会話教室で成功している友人と会った。彼の教室も欧米系教師の帰国が相次いだが、代わりがすぐに手当てできて苦境には陥らなかった。
しかし、英語教師の全部が帰国してしまい、存続できなくなった教室は多い。欧米人でも、日頃の人間関係がこのように場合威力を発揮する。国籍、人種が違っても、人と人を繋ぐものは損得ではなく心だったようだ。
赤羽自然観察公園の河津桜。毎年この前で母の写真を撮っていた。年月の過ぎる早さに驚く。
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