一期は夢よ ただ狂へ。11年5月31日
梅雨の晴れ間、古い知人から銀座に誘われた。彼は電通の優秀なクリエイティブディレクターで出世コースをまっしぐらだった。しかし、トップ目前で退社し、今は絵や絵本を描いて悠々自適の生活だ。私も同じように絵を描いているが、裕福で家族がいる彼とは正反対の生活をしている。
仕事の締め切りが迫っていたが、少し行き詰まっていたので、すぐに誘いに乗った。固まった頭を解きほぐすのに、銀座のゆったりとした雰囲気は合っている。
銀座4丁目の書店、教文館4Fのカフェで待ち合わせた。写真は窓際の席から見下ろした銀座通り。
教文館は明治18年操業のキリスト教の出版社・書店として知られている。現在の建物は昭和8年竣工でチーク材の床の古い内装はとても落ち着く。絵本関係の個展も多く、時折、訪れるとほっとする。
知人とは2008年秋の私の個展の時会って以来の再会だ。
窓際でコーヒーを飲みながら、絵画市場の状況が厳しい、と言った話しになった。震災以来現代アートが売れないようだ。現代アートは不安とか空虚感とか描くことが多い。しかし、今、三陸の破壊の現実を前にすると、虚構のひ弱さが際立つだけだ。3階建てビルの屋上に遊覧船が乗っている風景があったが、現代アートでは表現できない強いメッセージ性があった。
いつもなら、そのまま酒に付き合うが、仕事が気になった。夕暮れまでお茶をして、晴海の住まいに帰る彼と4丁目交差点で別れた。
節電で銀座は暗くなったが、慣れてみるとこの方が大人っぽくて落ち着く。すれ違う女性はセンスの良い綺麗な人が多くて楽しい。
マリオン横の有楽町フードセンター上に新しいビルが見えた。
今日も晴れ間が見えた。テレビでスカイツリーのニュースをしていたのでベランダへ出て望遠で撮ったが、大気が霞んでいてくっきりとは撮れなかった。
散歩へ出ると風が冷たかった。台風の影響で北風が吹き込み4月の気温に戻ったらしい。
一昨日の大雨の影響で下の新河岸川は水かさが増していた。
明日6月1日は父の命日なので、仏壇に供えようとサクランボを買った。
最近、閑吟集--永正15年(1518年)にある世捨て人によってまとめられた歌謡集--の「なにせうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」が頭に浮かぶ。大意は、まじめくさって生きてもつまらない。一生は夢のように過ぎて行く。そのように貴重な一生は、狂うように生きたが良い。
先日、NHKで棟方志功のドキュメンタリーを見たからかもしれない。彼の版画を彫る姿は一心不乱で先の歌のようにまさしく狂っていた。彼だけでなくゴッホもゴーギャンも青木繁も狂っていた。写楽は8ヶ月だけ狂って美術史に名を残した。母の介護から解放された私なら、あと1300日くらいは狂うことができる。それだけあれば、かなりの作品が残せそうだ。
しかし、政治家が権力に狂うのはみっともない。野党は不信任案を6月1日に提出して採決は2日に出るようだ。もし成功した時、管総理の後がまに誰を据えるつもりなのだろうか。記者からその質問が出ると、野党関係者は皆、言葉を濁していた。
もし適材がいないのに不信任案を提出すのなら狂っている。管総理なら政策協力はしなくて、それ以外なら協力すると言うのも、緊急時に取るべき姿勢ではない。不信任案の採決結果に関わらず、そこに日本国民は不在で、良い結果は生まれそうにない。
今夕の状勢では不信任案は可決される公算が大きい。日本にとって良ければ、結果はどちらでもかまわないが一つだけ危惧している。それは原発事故の原因は総て管内閣のせいにされてしまうことだ。原発事故の本当の戦犯は野党側と小沢氏周辺に多く、権力を握れば真相は闇に葬らることになりそうだ。
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