NHKスペシャル、長寿の元サーチュイン遺伝子は食事制限かNMNによって活性化する。11年6月12日
NHKスペシャルでの長寿達成法は意外に簡単だった。40代〜60代の被験者4人での実証実験では30パーセント減らした食事を3〜7週間続けただけで、長寿を担っているサーチュイン遺伝子が目覚めて働き始めた。飽食の現代人のサーチュイン遺伝子は殆ど休眠中で、その結果、老化が進行する。しかし、飢餓状態になると目覚め、細胞中のミトコンドリアを活性化させてエネルギー効率を高める。更に、活性酸素の害を防ぎ、免疫力低下、動脈硬化、高血糖、惚け、骨粗鬆症、脱毛白髪等の老化症状を防ぎ改善して、美肌と持久力と抗がん作用を高める。
サーチュイン遺伝子は動物の長い飢餓の歴史の中で、飢餓対策として生まれたものだ。その働きは遺伝子の長寿に関わる箇所を選び出して元気づける。100歳以上の元気な老人の調査では、いずれも若い頃から小食でサーチュイン遺伝子の働きが活発だった。これは人類渇望の夢の遺伝子である。更に注目すべきは遺伝子損傷の修復能力で、今、福島で問題になっている放射線被曝への抵抗力も期待できる。
「腹八分は健康長寿のもと」は本当だったようだ。番組では米国の大学で20年ほど飼われている猿集団の比較実験が紹介された。人間での70歳相当の猿・2グループでの比較では、飽食の猿は毛が抜けシワがより見るからに老いていた。対して食事30%減の猿は毛ツヤは良く、肌も張りがあって元気で若々しかった。更に、脳の断層写真でも萎縮はなく、記憶力も良く、持久力も優れていた。実験では40%減食が一番、サーチュイン遺伝子の活性化が見られたが、それでは挫折する可能性が高く現実的ではない。一般人には無理のない25%減が良いとされている。
**以下は2015年1月4日のNHKスペシャル・ネクストトワールドで紹介していた最新の成果だ。
減食ではなく薬物でサーチュイン遺伝子を劇的に活性化させる方法があった。
ワシントン大学の今井眞一郎教授は、8年前に、その決定打のNMNを発見した。NMNは人体が本来備えているビタミンに似た物質だが老化によって減少する。現段階では人間の老化をもっとも高くコントロールできる物質だと考えられている。
それは糖尿病ネズミに投与する実験で確認された。
実験によると、NMNを飲ませた糖尿病ネズミの血糖値は正常化した。それはNMNによって老化して働きをやめたランゲルハンス島を生き返らせた結果だと考えられている。それはあまりにも劇的ですぐには信じられず、今井教授は確認実験を繰り返したほどだ。
今井教授のグループは7種類のサーチュイン遺伝子を発見していて、そのすべてをNMNが活性化させることを確認した。
ハーバート大・デービット教授の実験では、NMNを60歳相当の老いたネズミに1週間投与したところ、20歳相当の元気なネズミに若返った。それはNMNが視床下部を刺激して全身の細胞活性化の指令を出させた結果と考えられている。
NMNは損傷した神経を修復し、アルツハイマー発症を防止する働きもある。
そのように劇的な若返り効果があるNMNは、世界中の製薬会社が開発競争に入っている。その中で日本の酵母メーカーは、既にNMNの大量生産体制を築いて、2015年内に臨床実験がなされる。現在の研究用試薬段階では0.1gで4万円と高価だが、大量生産すれば大幅に安くなるはずだ。元々人体内にある物質なので副作用は考えにくく、糖尿病も老いも、早々と解決できるかもしれない。
従来考えられていたサーチュイン遺伝子を活性化させる物質はレスベラトロールだった。
それは1939年に北大の高岡道夫氏が有毒なバイケイソウから発見した。動物実験では、長寿、抗炎症、抗癌、血糖降下、放射線障害抑止などの効果が確認されている。殊に、放射性物質に汚染された日本では放射線障害抑止作用は注目されそうだ。
ただし、レスベラトロールによる活性化効果については、ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジの研究チームによって否定されている。対して、今井教授のグループが発見したNMNは活性化が実証されている。NMNが認可されるまでは食事制限で若さと健康を保つのが合理的だろう。
サーチュイン遺伝子活性化効果については、疑問を持つ研究チームがいることを付記する。しかし、NMNの若返り効果は実証されたものだ。そして、食事制限で寿命が延びることも肯定されている。
減食の効果は、スイス連邦工科大学研究者のネイチャーへの発表でも記述されている。たとえば、マウスなどの哺乳類での加齢関連疾病による代謝ダメージから守る効果が間違いなくある。加齢による衰えを遅らせ、先天性・後天性の病気の治療、あるいは、食べ過ぎによって身体が受けるストレスを緩和する効果がある。腹八分が健康に良いことは、世界中のどの研究でも評価されている。
食事制限の効果はサーチュイン遺伝子以外にもある。
例えばオートファジー現象だ。それは細胞が飢餓状態になると細胞内の不要たんぱく質を膜で包んでアミノ酸分解し、リサイクルするシステムだ。人は1日に200gのタンパク質を必要とするのに実際は70gくらいしか摂取していない。足りない分はオートファジーシステムで補っている。オートファジーが働くと、有害ウイルスや有毒タンパク質も分解されてリサイクルされ、健康と長生きに貢献している。
オートファジーシステムについては、その仕組みを解明した東京工業大学栄誉教授・大隅良典氏が2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した。
自分の実体験でも以上は納得できる。
30代に肺ガンの精密検査を受けた時、医師に空腹時血糖値がやや高いと言われた。ストレスによるアドレナリン過剰で一過性に高くなったものだが、糖尿の素質があると認識し、以来、減食と運動に気をつけて来た。
最近、6月10日金曜から土曜午後まで31時間連続で絵を描いて締め切りに間に合わせたが、疲労はまったく残っていない。70歳寸前の今も体力を保っているのは、食事制限でサーチュイン遺伝子が活性化しているからだろう。
但し、妊婦、元々食が細くて栄養不足の老人や女性は減食は弊害を招くので、NMNなどの薬剤での活性化が望ましいと思っている。
夕暮れ前、玄関から浮間方面。薄日が射したり曇ったりの1日だった。13階の我が家は涼しいが、地上は蒸し暑かったようだ。
御諏訪神社先のルイちゃん。家の中に閉じ込められていた。
人懐っこい性格で、いつも柵から顔を出しているので、庭へ出してもらえなくなった。
声をかけると「そちらへ行きたいけど、行けないんだ。」と、とても情けない顔をしていた。
緑道公園のポプラの穂ワタ。
緑道公園のザクロの花。夏の終わりに甘く熟す。今は白いアジサイだが、徐々に薄紫に変化する。この清楚さも素晴らしい。
近況・・・絵本「おじいちゃんのバス停」を完成させて、Amazon Kindleの電子図書 にてアップした。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0B79LKXVF
Kindle Unlimited 会員は0円で購読できる。
上記ページへのリンクは常時左サイドに表示。画像をクリックすればKindleへ飛ぶ。
絵本の内容・・おじいちゃんのバス停・篠崎正喜・絵と文。老人と孫のファンタジックな交流を描いた絵本。
おじいちゃんは死別した妻と暮らした家に帰ろうとバス停へ出かけた。しかし、家は取り壊され、バス路線も廃止されていた。この物語は、20年前に聞いた知人の父親の実話を基にしている。対象は全年代、子供から老人まで特定しない。物語を発想した時、50代の私には77歳の父親の心情を描けなかった。今、彼と同じ77歳。ようやく老いを描写できるようになった。
概要・・初めての夏休みを迎えた小学一年生と、軽度の認知症が始まったおじいちゃんとの間に起きた不思議な出来事。どんなに大切なものでも、いつかは終りをむかえる。終わりは新たな始まりでもある。おじいちゃんと山の動物たちとの、ほのぼのとした交流によって「終わること」「死ぬこと」の意味を少年は学んだ。
描き始めた20年前に母の介護を始めた・・このブログを書く8年前だ。
絵は彩色していたが、介護の合間に描くには画材の支度と後片付けに時間を取られた。それで途中から、鉛筆画に変えた。鉛筆画なら、介護の合間に気楽に描けた。さらに、水墨画に通じる味わいもあり、意外にもカラーページより読者に評価されている。それはモノクローム表示端末で正確に表現される利点がある。
| 固定リンク
「心と体」カテゴリの記事
- コロナ陽性となって起きる不都合と差別。Go Toトラベルの見直しは非科学的。令和2年11月22日(2020.11.22)
- 新型コロナは蔓延しないと終わらない。終息を急ぐあまり、自殺者とシャッター通りを残す愚策は止めてほしい。令和2年11月14日(2020.11.14)
- 上手な嘘と嘘の見抜き方で、営業・企画・宣伝力強化。冷和2年10月29日(2020.10.29)
- 報道の変化に新型コロナ終息が見えた。人口激増に備えての昆虫食。令和2年10月19日(2020.10.19)
- 今日は10回目の母の命日。令和2年7月1日(2020.07.01)