クローズアップ現代「故郷で産みたい、福島・妊婦と医師の模索」で提示された問題点。11年8月31日
現在の福島県の推計人口は199万7400人。震災と原発事故の前の3月1日から4か月で2万7001人減少した。これは住民票を移した人口減で、住民票を残しての移住はその数倍と推定される。
クローズアップ現代「故郷で産みたい、福島・妊婦と医師の模索」で、避難先で体調を崩し、汚染地域の故郷へ帰る妊婦たちを取り上げていた。しかし、彼女たちは故郷に戻っても放射能の不安にさいなまれている。番組ではその妊婦を支え続ける老産婦人科医師を取り上げていた。老医師は6月にガン発症を知り、芳しくない体調で妊婦たちの被曝軽減のために活動していた。
問題なのは、行政が被曝の実体を汚染地域の住民たちに十分に知らせていないことだ。どれくらい被曝したら危険なのか、精密な汚染地図はどうなっているのか、分からないままでは住民は不安に陥り、被曝被害の前にノイローゼで体を壊してしまう。
番組では、NPOから提供された線量計を妊婦たちは身につけていた。結果は、年換算6ミリシーベルトを最高に平均4ミリシーベルト前後だった。この線量はアメリカ、デンバー辺りの自然放射線量だ。誤解されるのは、自然は良くて人工は悪いとの考えだ。この誤解は原発事故当初に発生する危険な中性子線のせいだが、事故が収まれば中性線は出なくなる。
事故特有の内部被曝を引き起こす放射性物質はストロンチウムとプロトニウムだが、これは幸いなことに殆ど検出されていない。問題になっているのはセシウムだろう。それについて今日、筑波の産業技術総合研究所が土中のセシウムを簡単に取り除き150分の1まで減少させる技術を発表した。方法は単純で、薄い酸を土中に流してセシウムを溶解させ、顔料に吸着させて99.5%取り除く方法だ。
今、汚染土壌の中間集積所の設定で各地域でもめている。この除染技術の実用化は簡単なので、これで一気に解決しそうだ。
各方面の学者の推計をまとめると、福島の年間6ミリシーベルト地域で将来増えるガン患者は1万人あたり6人ほどだ。それを多いと考えるか、少ないと考えるか、それは個人の捉え方次第だ。何度も記入したが、原水爆実験が盛んに行われた頃は地球全土が福島県並みか、それ以上に汚染されていた。しかし、その汚染の中で育った私たちが特別ガン発生が多い訳ではない。我々の母親たちはまったく汚染を気にしていなかったことも、ある意味で幸いだった。しかし、今の母親は情報過多で、現実以上に被曝の悪影響を受けている。
菅政権の大きな失敗は、精緻な汚染地、被曝の実体、それらを公表しなかったことだ。そうなった理由は、総てを政権内で処理しようとして官僚に任せなかったからだ。いくら、問題がある官僚組織でも、今回の国難に対しては真面目に働いたはずだ。
幸い、野田総理が誕生した。彼はドジョウのように泥臭く働くと言っている。基本から一つ一つ、立ち上げて行けば被曝の問題は解消する。日本にはそれができる科学と技術力がある。具体的には、先のセシウム除去技術に、安価で精度の高い線量計と測定器の開発だ。今、社会に満ちているのは、被曝や汚染の実体が分からない漠然とした不安だ。線量計と測定器が汚染地の各家庭に配られれば不安は必ず低減するはずだ。
台風が近づき、空は目まぐるしく変化していた。澄み切った青空が雲間に見えた。
右手は浮間の都営住宅。
散歩へ出ると、緑道公園で会った知人が
「こりゃー、一雨来そうだぞ。」
と言った。
緑道公園脇のタラの木。
春先、通りかかると「持って行きなよ。」
と、持ち主が、沢山タラの芽を採ってくれた。
「そんなに採ったら、後がダメでしょう。」と言うと、
「茂り過ぎているから丁度いい。」と意に介さなかった。
確かに、今見ると茂り過ぎている。
生命力の強い木のようだ。
赤羽自然観察公園の若い赤とんぼ。
年を取ると羽の根元も赤くなってくる。
今年はトンボがとても少ない。
いつもならコシアカトンボが沢山舞っているが、まだ殆ど見かけない。
赤とんぼは今年始めてだ。
近づいて撮ろうとすると、子供たちがワーッと来て逃げられた。
いよいよ雨がやって来た。
赤羽自然観察公園古民家で雨宿りをした。
"ままごとの 幼き声と雨宿り"
隣の部屋で若いお母さんと子供たちがお店屋さんごっこをしていた。
たどたどしい声が可愛い。
雨はすぐに止んだ。
帰り道、少し涼しくなった。
左崖上の御諏訪神社境内でカナカナが鳴いていた。
"山里の牛の水浴び蝉の声"
この声を聞くと、一気に子供の頃の情景が蘇る。
昔の田舎では、夕暮れの沢で、仕事を終えた牛馬を洗っていた。
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