放射線ホルミシスと福島の風評被害。12年2月10日
福島発ニュースで地元漁民がゴミさらいに出航していた。世界有数の豊穣の海を汚され、漁が出来ない悔しさはいかばかりだろうか。「こんなことばかりしていると、気持ちが折れてしまう。」と漁民がつぶやいていた。おそらく、回遊魚の漁再開に10年、底魚は30年近くかかるだろう。その間に大半の漁師は廃業し、跡継ぎも育たない。
チェルノブイリ事故の初期段階の急性被曝での死者は60人前後。30万人が強制退去。20万人が家を失い、1250人が自殺。
福島でも3人の自殺者が出ている。自殺原因はいわれなき差別や風評被害、故郷を失った喪失感によるものだ。
放射能の恐怖をあおっていたマスコミもやっとトーンダウンしてきた。
風評被害の元凶だった武田邦彦氏もホルミシス仮説を認め、年5mSvまでは放射線を浴びたほうが健康になる、と言葉を変えた。
「僕は一年2ミリシーベルト・・・具体的に食べて良いのは野菜の一部と卵、牛乳はいけない。それで合計2ミリシーベルト。5ミリシーベルトでも危険はないが1ミリシーベルトが望ましい。総量被ばくで、5ミリシーベルトまでは安全と考えていい。子供でも5ミリシーベルト(レントゲンなどのことだと思う)までは医者が診断に許容している訳で、5ミリシーベルトは経験から大丈夫だと分かってます。だから、お母さんは1〜5ミリシーベルトの間に入るように努力して下さい・・・」
これが武田氏の最近の考えだ。
放射線ホルミシスとは・・大きな被曝は明らかに有害だが、小さな被曝では免疫細胞を刺激し、以後の高被曝への抵抗性をもたらす。ホルミシスはギリシア語の「興奮する」の「ホルマオ」が語源。「少量の毒では、その刺激作用が良い方向に働く」とするアルント・シュルツの法則の言い直しだ。
1979年東京での国際放射線研究会議で「自然放射線の非常に高い地区に住んでいる住民の肺癌の発生率が低い」と中国代表が発表した。それにスリーマイル島事故の調査委員会が注目し、中国に調査団が派遣された。それ以降、放射線ホルミシス研究が盛んになった。
その研究の中で、放射線被曝0の環境を作ると免疫細胞の活性が衰え、却ってガンになりやすいとの研究結果がある。武田氏もそれを認め、「被曝は少なければ少ないほど良い、などとは言っていない。」と言い始めている。
それでも風評が収まらないのは放射線被害と原発推進をリンクさせている活動家がいるからだ。
二つは切り離して考えるべきだが、政府が健康に影響はないと説明すると逆効果になる。第三者の信頼できる科学者たちが丹念に被曝のリスクを説明し、全食品の放射性物質の量を明示する。この二つでやがて風評被害は収まるはずだ。
東京北社会保険病院裏の緑地に目白の群れが来ていた。
背景は紅梅。先日、この辺りに植木業者が入り、半数程の樹木を伐採してしまった。
切り株は、甘い桑の実を沢山付けていた桑の木。年輪を数えると18歳だ。桑が芽生えた頃は私たちは赤羽台に住んでいて、母も私も大変元気だった。切られて寂しい。
先日、東京北社会保険病院眼科に行った。私は軽い緑内障で、2ヶ月に一度、検診しに行く。
何事もなく終わって会計を待つ間、6階の病棟へ行った。広いラウンジから雨景色を眺めていると、老いた母娘の話し声が聞こえた。娘の傍らの車椅子の老母は入院しているようだ。
「自分で動かないと、おしめにされちゃうよ。」
娘は老母に厳しい口調で話していた。
「おしめに、なっちゃうの・・・」
老母は哀しそうに答えていた。
親を介護した人なら、殆どが同じようなシーンを経験する。
私は母に使い捨ての尿漏れパンツを使うように頼んだが、母は頑として尿漏れパンツを使わず、結局、夜中に1時間おきに私を起こし続けた。それで、夜中に母と口論した事が何度もあった。しかし、母の死後、もっと優しく言ってあげれば良かった、と深く後悔した。ラウンジで厳しく話していた娘も、やがて私のように後悔するのかもしれない。
厳冬の 闘い終わり日々疎し
13階の我が家まで階段を上る。この時、IPodの曲は「仰げば尊し」に変わった。曲は妙にこの明るい曇り空に似合っていた。
ツタンカーメンの墓で発見されたエンドウ豆の花。
唐草の 怪しいパグの困り顔
いつも会う子だ。困り顔が可愛い。
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