久しぶりの道玄坂で異邦人の気分になった。12年8月22日
8月21日
昨夜は寝る前に昼間の映画の録画を見た。楽しむためではなく、ぼんやりと画面を眺めながら、眠気がやってくるのを待つためだ。
うまく寝入ったが、目覚めると首が痛かった。不自然な姿勢でテレビを見続けていたからだろう。葛根湯を飲み、再度寝転んで蝉の声をしばらく聞いていた。それから朝食を済ませて洗濯をしてベランダに干した。気温は高いが乾いた風が心地よい。400メートル南東の御諏訪神社の杜と東京北社会保険病院の敷地の木々が夏の陽射しに生き生きと見えた。
近所の奥さんが母の仏前にと桃を持ってきてくれた。
仏壇にあげた後、皮ごと食べた。その食べ方は桃の産地の人に教えてもらった食べ方だ。皮はさくさくして美味しい。
版画家の菊池君が血尿の検査結果を報告してきた。それは男の生理みたいなもので、さほど危険なものではなかった。今年に入り、友人たちの末期ガン報告が続き、もう、これ以上、友人を失いたくないと思っていたので安堵した。
午後、絵を描いたら絵の具が足りなくなった。
夕暮れ、涼しくなってから絵の具買いに出ようと玄関を開くと素晴らしい夕日だ。急いでカメラを持ってきて何枚も連写した。
それは生まれて初めて見る雄大な夕雲だった。自然はいつも突然に感動を持ってくる。このところ、生きることに疲れを感じていたので、生きていて良かったとしみじみと思った。
赤羽駅まで歩いた。
途中、ともちゃんちに寄って元気になっているか確かめた。iPod touch に入れておいたゴールデンのラッキーの動画を見せると、ともちゃんは喜んでいた。その笑顔がとても可愛いくて嬉しかった。
埼京線の渋谷行きが来たので、絵の具は渋谷駅前の画材店ウエマツで買うことにした。
店は閑散としていたので、古い店員と昔話をした。
「最近、アクリル絵の具が売れなくなりましたが、皆さん、何で描いているのでしょうか。」と店員に聞かれた。イラストレーターは手描きを止めてPCのタブレットを使うようになったからだ。そう話すと、店員はちょっと気落ちしていた。
ミシンのボビンが足りないので、東急ハンズへ向かった。
夜の道玄坂は相変わらず若者ばかりだが、以前より女の子が清楚に見えた。
渋谷東急ハンズまで足を伸ばすのは10年ぶりで、新しい建物に埋没して分かりにくくなったハンズにたどり着くのに少し迷った。
10年前は裏道を行くと、ヘラヘラした若者にドラッグを売りつけられた。私はアルコール・ニコチンを含め薬物依存の傾向は皆無だ。そんなものに頼らなくても、自然にハイになれる。
即、断っていたが、そんな柄の悪さが嫌になって渋谷道玄坂近辺から足が遠のいた。
今は街の浄化が進んで雰囲気が良くなっていた。あのドラッグ売りたちは何でもない住宅地に移ったと噂に聞いている。
夜の渋谷を歩いていると昔のことがフラッシュバックした。
20年前は宣伝美術で関係していたラママの「新人コント大会」へよく行った。近くの円山町には地上げで売り損なった塩漬けの連れ込みホテルがあった。とても古いホテルでベットは木製でギシギシ音を立てた。
その頃、つき合ってくれた人は既に40過ぎだ。思い出しながら人ごみを歩いていると、よく似た女の子とすれ違った。そんな馬鹿な、と思いながら振り返って、センチメンタルになってしまった。
出がけ飲んだ2服目の葛根湯が効いたようで、首のいたみがすっかり消えていた。
センチメンタルな気分の後、少しハッピーになれたのは音楽と美しい夕雲のおかげかもしれない。
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