まぶたのピクピクは消えたが、代わって肩の痛みが始まった。12年8月27日
土曜日、肩が痛いので整形外科に行った。母の生前、その整形外科には母の腰痛のペインクリニックで8年近く通った。
「おや、診察は初めてでしたか。」
顔なじみの医師は私の初めての受診が意外だったようだ。
レントゲンを10枚ほど撮った。
首の骨は年齢にしては奇麗だと言われた。
肩の痛みは上腕骨上端の隙間が狭くなって腱が傷ついて炎症を起こしているからと説明された。
病名は肩腱板炎。分かりやすく言えばスポーツ肩。肩を使うスポーツ全般に起こるありふれたものだ。
「効果的な治療法はありませんが、ご希望でしたら何かやってみますが・・・」
肩関節の模型で説明しながら医師は言った。病名が分かれば自分で何とかなりそうだ。
「療法はネットを調べれば色々ありますので、調べてみてください。」
私のパソコン好きを知っている医師は言った。
それから、死んだ母の思い出を医師と少し話して受診は終わった。
帰りがけ「何か薬を出しましょうか。」と聞かれたので催眠鎮静剤のレンドルミンを処方してもらった。
肩の痛みはこれから長くつき合うことになりそうだ。
しかし、今まで悩まされていたまぶたのピクピクは母の2回目の命日あたりから消えた。
ピクピクは母との死別によるストレスが原因だった。鏡を見て初めて気づくくらいの小さな症状だったが、稀に脳腫瘍などによる神経の圧迫が原因のことがあるので、ちょっと気になっていた。だから、消えてくれて良かった。
夏の間、玄関ドアは1日中開け放ったままにしてある。
長方形の空間に深夜の地上が見えた。今は新幹線も埼京線も止まり静かだ。暫く風景を眺めていると、ふいに寂しさが過った。死別以来、喪失感と開放感の間をいつも揺れ動いている。
その玄関にクモが巣を張り始めていた。出入り口に巣を張られては困るので、クモを捕まえてベランダの植木に逃がした。
夜風が冷たくて心地良かった。
ベランダでぼんやりと夜景を眺めていると、なぜか蚊帳の香りが蘇った。
昔は蚊帳吊りのフック付き赤いヒョウタンがどの家にも、寝室の四隅に下がっていた。蚊帳を吊ったり、たたんだりは子供の仕事で、寝る前の蚊帳吊りと朝の片付けは一騒動だった。
蚊帳は濃緑に染めてあった。朝、私はたたみ終えた蚊帳のふんわりした山を海に見立てて、飛び込んで遊び、姉たちに叱られていた。入る時、裾をパタパタとさせて蚊を追い払い、素早く潜り込んだ所作も思い出す。
昔、白生地の裾へ向かって水色のグラデーションの染めが入ったものもあった。今はそちらが主流になっているようだ。
今でも、殺虫剤を嫌う人に蚊帳は売れているようだ。
私は蚊帳の中のぼんやりした光が好きだった。雨戸も障子も開け放った部屋に蚊帳を吊り、中にいると、とても安らいだ。
今、そのヒーリング効果を目的に、四季を通じて蚊帳を吊って寝ている人がいるようだ。
画像は「グーが来た」
そのシリーズを思いつくのきっかけになった絵。
グーが飛んで来ると、地上のものたちは安らかに眠る。
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