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2012年8月 9日 (木)

初秋のような涼風が吹いた。12年8月8日

好天だが初秋のような涼しさだ。行く夏を惜しむように、ツクツクホーシが鳴いていた。
日差しは強いが熱さは感じない。涼風を心地よく受けながら床屋さんに行った。
私と同年代の彼は年相応にあちこち悪い。彼は調髪しながら、昨日は近くの総合病院へ精密検査へ行ったと話した。
「死ぬまで頭をあたってもらうことにしてるんだから、長生きしてくれなくちゃだめだよ。」と言うと、
「何言ってんだよ。俺の方がちょっと上なんだから先に逝くに決まってんだろ。」
床屋さんはそう言って笑った。しかし、私は本気でそう思っている。彼とは、彼の父親の時代からの長い付き合いで、死ななくても倒れられたらとても困る。彼の代わりの床屋さんなど一度も考えたことはない。
そんなことを冗談めかして話すと、「寂しいこと言わないでよ。」と彼はしんみりしていた。

赤羽に引っ越してきてから40年間に多くの地元の人と知り合い見送った。その頃生まれた子供がすでに中年にさしかかっている。

東京の人は冷たいと世間では言われているが、私は優しく親切な人が多いと感じている。ずかずか入ってこない都会的な節度も心地よい。彼もまたそのような一人だ。

帰宅すると1階のエントランスで近所の0さんに会った。彼は50歳ほどだが仕事はしていない。彼は医師資格を持っているが、体を壊して長い間休職している。

彼は近所のだれとも話さないが、最近、よく話すようになった。彼は両親との三人暮らしだ。母が死んだ時、彼の父親はとても哀しんでくれ、会う都度「お母様はとてもいい人でした。」と悔やまれるのが辛かった。

Oさんは友達と先日の個展にも来てくれた。
その友達を出迎えると「あのー・・・入場料は、払わなくてもいいのでしようか。」と聞いた。
下町にはそのような純朴な人がよくいる。前回の個展の時は入り口で靴を脱ごうとした下町の人がいた。

「お友達は、とてもいい人ですね。」
Oさんに言うと、大切な友達だと話してくれた。
それから、「個展で疲れませんでしたか」と聞かれたので体調を話すと、彼は医者らしく真面目に聞いてくれた。と言ってもただの雑談で専門的な話しではない。

「老後のこと考えていますか。」
突然、彼が聞いた。
「考えていますよ。"何も考えまい" と考えています。」
答えにならない答えに彼が戸惑っているので付け加えた。
「考えて、対策が生まれるなら考えますけど、何も生まれないから考えません。
あえて言えば、自分の才能と運にかけています。」
説明すると、彼は少し納得していた。

「隣近所、お互いに助け合いましょう。何かありましたらよろしくお願いします。」
彼は別れ際に言った。彼は老いた両親のこれからをとても心配している。それについては経験があるので、できることはしたいと話した。

先日、古い iPod が壊れた。
買い物カードにポイントが溜まっていたので iPod touch を買った。しかし、共有された古いMacの iTunes のデータを読み込んでくれない。仕方がないので、手作業でCDから新Macに入力し直している。この文はその読み込み作業の合間に書いている。
iPod touch は画像表示ができるので、人に作品を見せるのに使う。ポケットサイズなので、初対面の人に作品の傾向を説明する時に便利だ。その機能はスマホにもあるが、携帯はまったく使わないので安い iPod touchで十分だ。

画像は「午睡」
上越の樹下美術館の依頼で描いた壁画。
その頃は母の介護中だった。現地で描けないので、自宅でキャンバスに描いて丸めて送った。
仕事場は狭く、絵の半分は台所へはみ出していた。だから、キャンバスを左右にずらしながら描いた。
完成してから、下の公園へ運んで、初めて全体像が分かり、そこで手直しした。
その時、劣悪な環境でも情熱があれば絵を描けると確信した。

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