中国の反日制裁で受ける損失は中国側が遥かに大きかった。12年10月4日
東京北社会保険病院下の公園の林の薄暗がりに午後の斜陽が差し込んでいた。群生している赤いミズヒキの花が赤く輝いて美しい。
キンモクセイも咲き始め、歩いているとふいに芳香が漂って来る。この午後の光は懐かしい。フラッシュバックするように遠い昔の港町の情景が蘇る。貨客船のさびの浮いた船腹にポチャポチャと打ち付ける波音。重油の匂い。歩きながら、それが何処なのか考えたが、想い出せなかった。
7月の個展で意外だったのは、資料を添えて案内状を送った出版社が一社も来なかったことだ。今までの個展では毎回、三,四社の編集担当者が来ていたのだが、それだけ出版界は不況なのだろう。
しかし尖閣問題で、今出版界は活気がある。本屋を覗くと、関連単行本や週刊誌が目白押しだ。
一応、関連書籍には目を通している。ことに興味あるのは中国の対日制裁によって日本経済はどのような悪影響を受けるかだ。現在分かっている範囲では、日本企業全体で受ける減収は0.4%。この数字は企業努力で難なくカバーできる額だ。
対して中国の損失は、日系企業が全体の三分の一納付していた法人税の減収。日系企業の労働者1000万人の失業。中国国内に日系企業が持つ特許などの知的所有権は全体の25%に達し、この悪影響も大きい。
更に日本製素材に頼っている中国企業の受ける損失。もし日本製品の輸入制限がこのまま続けば輸出は減少し、日本市場を失うことになる。
主要な日系企業は70年代に中国側に熱望されて進出し、地元に深く根付いていた。しかし、今回の反日運動で理不尽な被害を被った。この中国の信義のなさは、国際的な信用をがた落ちにさせている。
以上を比較すると、日本より中国の損失がはるかに大きいようだ。
穏やかな話し合いは大切だが、個人間の話し合いと国と国の外交はまるでちがう。外交は双方の軍事力、経済力、国際世論の背景の上になされる。
軍事と経済をすぐに強化することは不可能だが、国際世論を有利にするのは可能だ。これまで日本外交の怠慢と失敗で日本は不利になっている。今すぐに外務官僚は世界の世論工作に本気になるべきだ。
次に日本は中国に首根っこを押さえられているレーアアースを自前で確保すべきだ。
日本の都市鉱山にあるレアアースは、どれも全世界埋蔵量の一割を超える。都市鉱山とは携帯やパソコンに含まれる希少金属のことだ。即刻、中国にゴミとして安価に輸出することは中止し、野積みして確保し、国費を使って2年分程のレアアースを精製して備蓄すべきだ。
尖閣領有については、日本が敗戦時に受諾したボツダム宣言にカイロ宣言が含まれる。カイロ宣言には日本が清国から奪った領土は返却するとある。それは国際法で闘おうとしている日本にとっては不利な条項だ。
今後の国際世論の動向によっては、実効支配で有利なうちに交渉に入るのは仕方がない流れかもしれない。
ただし、無条件で話し合う必要はない。今回日系企業が受けた被害の補償。日本製品排斥運動とレアアースの禁輸外の廃止。その他、日系企業の正当な権利を認めさせた上での話し合いに入るべきだ。
ついでに中国に味方して漁父の利を得ようとしていた韓国について。
韓国は尖閣で日本はすぐに中国に白旗を上げ降伏すると期待していた。しかし、日本は激しい反日デモや経済制裁を受けても一向に音を上げず、むしろ、右派の阿部氏が自民党総裁になったように、強硬に反撃する様相だ。
日本が撤退すれば代わりに韓国が中国市場を手に入れる。この青写真も、中国経済が低迷すればさほどの効果はない。
また、韓国が実効支配している黄海の離於島には中国が武力で取り返そうとしている現実がある。その排他的経済水域は中国漁船に蹂躙され、韓国警備船からは死者まで出ている。実際のところ、中国と共闘は巧く行かないだろう。
以上、冷静に日中の立場を考察すると、意外に日本は有利だ。今、西欧各国は中国に同調し日本非難に回っているが、西欧は昔から日本の凋落を喜ぶ国ばかりで気にする必要はない。
日本が大切にすべきは、対中国勢力として日本に期待している南シナ海域の周辺諸国だ。日本はそれらのアジア諸国を味方にして、堂々としたたかに外交を展開すれば勝つことができる。
「青いナムジル」より、厳冬期のゲルでの団らん。
覆いは厚いフエルトで断熱性は高い。
床の敷物の下には厚く乾いた羊の糞が敷き詰められ、地面からの冷気を防いでいる。
モンゴル人学者バー・ボルドー氏によると、真冬は風がなく、ゲルの煙は一直線に天空に上って、遠くから眺めると実に美しい光景と言う。
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