行ったり来たりしながら月日は流れて行く。12年11月1日
昨日でハローウインは終わり。ディズニーランドの飾り付けはクリスマスバージョンに変わるのだろう。
昨日、床屋さんへ行くと先客がいて1時間待ち。時間つぶしに赤羽駅近くのスターバックスへ行ったが満席だった。
空席のある隣のドトールに入り、巨大なドーナツ形のテーブル席老人二人の間に200円のコーヒー片手に着席した。穴の部分はプールで、中央に透明ガラスを積み上げて捻ったようなオブジェがあり水が静かに流れ落ちている。
右の老人はイアホンで何か聴きながら「大和三山」の本を開き傍線を入れていた。左の老人も同じくイアホンを耳に大量の新聞を丹念に読んでいた。左斜め向こうの屈強な体躯のゲルマン系の老人は何故か日本語のスポーツ新聞。右斜め向こうではOLらしき女性がシステム手帳に書き込み中。皆、黙々と読んだり書きものをしている。
スターバックスのどこか気取った客層と違い多彩で見飽きない。それぞれの人生を空想しているうちに1時間は過ぎた。
散髪を終えると暗くなっていた。
疲労していたので家近くの北赤羽まで埼京線を利用することにした。駅のホームで美しい人が各駅停車の電車待ちをしていた。ベージュ色のコートも靴も栗色に染めた髪型も趣味が良く、体型は完璧に美しいが顔が見えない。前へ移動して顔を見ると、いつも駅前のスーパーライフで見かける人だった。
その人は趣味も体型も完璧なのだが顔だけが異質だ。分厚い唇にニキビ跡の残る荒々しい肌は逞しい漁師のおかみさんのような顔だ。それはそれで美しい顔だが、繊細な手足と体型とのバランスがかけ離れている。
隣の北赤羽で下車して明日の食材を買いに駅前のスーパーライフに入った。
その人も買い物していた。独り者用のご飯に総菜を数種。どうやら一人暮らしの様子だ。
その人は去年の夏辺りからライフで見かけるようになった。あまりにも美しい後ろ姿なので、ついつい前へ回り、いつも目眩のような軽い失望を感じていた。しかし、不思議な謎のある女性だった。
今朝は玄関前通路の行き来が多い。近所の人がいよいよ引っ越すようだ。私が引っ越して来る前からいる人で会えば挨拶や言葉を交わしていた老夫婦だ。後で挨拶に来るだろうが、取り残されるような寂しさがある。
人生にも、ものごとにも必ず終わりがある。
若い頃の変化や終わりは、卒業も上京する時も次の希望に溢れていた。しかし今は、過ぎ去れば二度と会えない喪失感がある。
小田急線柿生に住む版画家の菊池君の家の回りには豊かな自然が残されていた。
それが突然、マンション建設のために切り払われたと彼は嘆いていた。その自然を眺めて育った彼の子供たちも、故郷を奪われたような喪失感に捉われているようだ。
画像「おじいちゃんのバス停」
いくら進んでも おばあちゃんの家は 見つからなかった
キツネが こまっていると ホシガラスが 飛んで来て 言った
「ばあさんの家は 西の空に プカプカうかんでいたぞ」
キツネは よろこんで 大きく かじをきった
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