新年度は負け続けの日本エレクトロニクスの逆襲元年か。12年12月16日
国民には政治より景気回復が切実だ。しかし、産業構造の大変化により、昔のように頑張れば何とかなる時代ではなくなった。基幹産業のエレクトロニクス・自動車などの業界は新興国が先進国に頼らず低コストで生産できるようになり、熾烈な価格競争に多くの日本メーカーは苦しんでいる。これからは汎用工業製品で新興国に価格競争を挑むのは自殺行為だ。日本は、前回記入したIGZOのような革新的な技術で新たな戦略を立て直す他ない。
殊にエレクトロニクス業界は、安く早く大量にの日本の戦後生産体制は終焉した。これからはものを作るだけの企業では存続できない。日本に残されているのは、ソフトと組み合わせた、エネルギー・医療・健康、食料、バイオなどの分野だろう。それには政治的支援は必須で、今日の選挙結果によるねじれ国会の解消は朗報かもしれない。
エレクトロニクス分野では、前回記入したIGZO以外にも日本発の新技術があった。それは九州大学が開発した有機ELの新発光材料だ。それは蛍光材料でありながら内部量子効率がほぼ100%と言う。これまで安価な蛍光材料での高効率は無理とされていた。内部量子効率とは投入した電子の数に対して生み出された光子の割合で、効率が良ければより明るく輝く。
従来の内部量子効率が高い材料はアメリカに特許があるレアメタルを利用するリン光材料に限られていた。しかし、新材料ではレアメタルは利用しない。これにより、次世代テレビや照明器具に使われる有機ELが安価にでき、普及に弾みがつくだろう。
IT界での急速な変化はアプリケーションのクラウド化かもしれない。
話せるタブレットやスマホがあるが、あれは機器内にアプリが内蔵されているのではなく、ネットワーク向こうの大型コンピューター内のアプリが処理している。その大元のCP内のシステムをクラウドと呼ぶ。
このサービスは実に面白く将来性がある。まだ完璧ではないが、会話できる携帯端末完成が目前まで来ている。例えば、端末に天気や目的地への行き順を音声で聞くと懇切丁寧に音声で答えてくれる。これは入力下手の老人たちの朗報になりそうだ。
もっと進化すれば、退屈したり寂しい時に会話に応じてくれる端末が出現するはずだ。しかも、その人の会話履歴までネットワークの向こうの大型CPが記憶しているので、その人好みの感情で助言したり思い出話しをしてくれたりする。
このような技術は日本人が元々得意とする分野だった。このあたりを突破口に、アップルやサムソンに押されっぱなしだった分野で日本の逆襲が始まりそうな予感がする。
画像は昨日の寒い雨の緑道公園。
先日、歳末大売り出しのチンドン屋を仕立てた桐ヶ丘商店街。
玩具屋前の路上に小学生が二人座り込んで携帯ゲームをしているだけだった。土曜のかき入れ時にこの閑古鳥ではチンドン屋の宣伝効果はなかったようだ。
自然公園のネコ。
寒い雨に打たれた冬のツツジ。
今日の選挙予想はネコでも分かる。原発は争点にはならず、民主自滅に寄る自民大勝利。予測が難しかったのは維新だけで他は予想通りの結果だ。
都知事選は人材不足。朝刊もニュースも見る気にならないバカバカしい選挙だった。地元北区は自民が公明に票を譲って太田勝利。これで太田は公明党党首に返り咲き、自公連合は強固になるだろう。
朝から好天で気温も高い選挙日和。いつもより薄着になって出たがそれでも汗をかいた。
選挙では今まで自民と民主には投票したことがない。本音を言うと、嫌というほど見せつけられたねじれ国会が解消されて、緊急な法案が可決されるのは良いことだと思っている。
夜は選挙速報は見ないでEテレでベートーベンの「第九」の解説を聴いていた。曲の分析や歴史が面白かった。発表当座、第九は不人気の曲だったこと。第九番目の交響曲を作ると死ぬジンクスがマーラーまであったこと。
その後、遥かに多くの作曲をした作家が多数現れてジンクスはなくなった。
選挙所で、前回三年前の選挙では母が生きていたことを思い出した。
その日、投票へ出かける前に間違えないように候補者名をメモしてくれと母に頼まれた。
「このメモを投票箱へ入れればいいのね。」
投票所への道々、母は言った。
「絶対にダメ。人に見せてもダメ。」
念を押したが母は不満げだった。
投票所では家族でも車椅子を押すことはできない規則になっている。母の車椅子は係員が押して行った。私はさっさと投票を済ませ、出口で母を待っていたが、母は案の定メモを係員に見せて困らせていた。
「メモを見せちゃダメだって言ったのに」
投票を終えて係員に押されて出て来た母に言った。
「メモの名前を書けばいいんですね、と聞いたのに、教えてくれなかったよ」
まだ、文句を言っている母に係員は苦笑していた。
母は女性が選挙権を得てから一度も棄権することなくそれが最期の選挙になった。それから10ヶ月後に母は死んだ。
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