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2013年1月29日 (火)

メイドインジャパンの問題点と西田哲学は人の求めている一点で繋がっていた。13年1月29日

土曜のNHK「メイドインジャパン・1」を見た。序章では多くは分からないが、なぜ日本企業は高い技術を持ちながら国際競争で負けたかを描いたドラマだ。日本停滞は今も進行中で、当然ながらドラマ終盤に日本の反転攻勢やV字回復のカタルシスは期待できない。

負けた原因の一つは大企業がお役所化して、経営者が果敢な決断ができなくなったこと。労働者が失点さえしなければ豊かな生活が送れるぬるま湯に慣れ切ったこと。同じような企業が大きな国内市場で横並びの競争に明け暮れ国際競争力をなくしたこと。経営陣の事なかれ主義が現場のやる気を押さえつけたこと。高度成長期から積み上げて来た遺産に安住して緊迫感を失ったこと。それらに歴史的円高が加わり、日本は一気に疲弊しまった。ドラマの続編に期待しているが、それは苦渋に満ちていて、楽しい結末ではないだろう。

ドラマの大企業は倒産まで3ヶ月の猶予しかなかった。その切迫感は今の私の状況に似ている。と言っても、絵描きに転向してから安定した時期など殆どない。

バブル後に絵描きに転向した私は知らないが、版画家の菊池氏の話しではバブルの頃の絵描きの稼ぎっぷりは異常だった。中堅作家の個展がビル上階で開催されると、初日には大勢のコレクターたちが競争で階段を駆け上がり、競って買っていたと言う。その景気が永遠に続くと錯覚した中堅作家の中にはアトリエ付きの豪邸を建てた者もいて、ローン破綻して今は大変な状態だ。だから、私が特別ひどいとは思っていない。

転向した当初、売り絵だけでは生活は無理で、不足分はイラストで稼いだ。バブルは崩壊してもイラストの需要は多かった。ポスター、装丁、CDカバー、絵本と、仕事は断るほどあった。しかし、10年前から仕事はぱたりと消えてしまった。デザイン業界も費用対効果が重視され、昔のようなイメージアップ目的の品の良い広告は殆どなくなった。

年々低下するデザイン料を、進化した画像処理ソフトが補い、金のかかるイラスト需要は激減した。私は出版に頼っていたので出版不況の直撃を受けた。音楽もネット配信が主力になりCDカバーの仕事は10年前を最期に消えた。去年夏の個展では、その前の個展までは数社の出版社が来ていたのに一社も来なかった。

広告主力はインターネットに移行して、Webデザイナーの活躍の場は増えた。しかし、Webではイラストの需要は少ない。更に広告はターゲットを絞って無駄がないSNSや検索サイトなどに移行した。流通革命を起こしたGoogleやAmazonの巨額な利益。Facebook広告の潜在能力。いずれも圧倒的な力を持ち、日本の広告業界は太刀打ちできそうにない。いずれ、それらに飲み込まれてしまうのは必然の流れだろう。

散歩コース。赤羽は坂の町だ。至る所起伏があり階段が多い。

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トチノキの新芽。
樹液に艶やかに覆われていた。

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先日深夜Eテレで、日本人は何を考えてきたのか・・近代を超えて・西田幾多郎と京都学派・西田幾多郎を見た。彼は「善の研究」で日本を代表する哲学者だ。戦争の時代に、西田と弟子・三木清ら京都学派はどう向き合ったのか、生物学者福岡伸一氏が最新史料を基に追った番組だ。

番組で印象に残ったのは、悲哀が哲学への道を深めると言った言葉だ。彼は家族との死別などの人生苦の中で参禅し、西欧近代の主客二分の哲学を越えようと苦闘した。

主客二分に対立した西欧哲学は永遠に自我を苦しめ続け救いがない。
東洋哲学では自我と外側を区別せずに融合させ、垣根を無くそうとした。

母との死別以来、私を苦しめて来た喪失感も根底に主客二分の考えがあった。たとえば、住まいと外と区別すると、住まい中である自我はとても寂しい空間だった。もし、家の壁をなくして、自我を世界へ自由に広げて行けば、喪失感は小さくなるはずだ。

西田哲学は現代人の求めるものと合致している。今、世界で彼の研究が盛んなのは、世界が主客二分の限界を知ったからだろう。

西田哲学は、戦前の世界不況、軍部台頭を背景に生まれた。その状況は今と似ている。メイドインジャパンと西田哲学は一見無関係に見えるが、人は何を求めているか、の一点で深く繋がっていると感じた。効率的な物の生産だけを考えていては人は幸せにはなれない。今ほど、何の為に産業はあるのか再考すべき時代はない。

M13128_3赤羽台の梅公園で紅梅が咲いていた。
暖冬続きの近年では12月に咲いていたが、寒い今年は暦通りに厳冬期に咲いた。

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