国民を幸せにするのは円安か円高か。そして、病病介護。13年4月11日
資金力があった頃でも、株を売買したことはない。しかし、株価は絵の売り上げに直結しているので注意は払っている。
知人たちはバブル後の株暴落で大損をして、そのトラウマから株から手を引いてしまった。しかし、株の動向について話すことは多い。殊にマツダ株価が、去年春の公募増資で100円近くまで急落したのに、今は300円越えと3倍近くに上がったことは、大きな話題だ。
「マツダ株の安過ぎは分かっていたけど、ここまで上がるとは思わなかった」
知人たちは決まってぼやくが、大きな値動きの株は賭けに近く、詳細に分析しても、そうそう当たるものではない。
株価については景気の良い話しばかりだが、原動力のアベノミクスについての考えは様々だ。確かなことは、成功するか、失敗するか、本当に分かっている評論家や学者が見当たらないことだ。円も株も思惑だけで動いているのかもしれないし、円安による企業の帳簿上の資産増大が関与しているだけかもしれない。その本当の訳は専門家でも明言できない。
円安誘導に限れば、彼らの考えは概ね同じだ。円安により輸出競争力と海外からの観光客は増すが、輸入エネルギー、原材料、食料は高騰して国民は苦しくなる。しかし、輸出企業は競争力を持ち、関連の下請け中小企業も潤う、と教科書的だ。
私は若い頃から物作りに携わって来て、町工場の人たちとの付き合いは多い。彼らの多くは近年の円高に苦しんで来た。安い海外製品に対抗して、従業員を減らして家族労働に頼り必死に生産コストを下げ、技術革新をして頑張っていた。しかし、1ドル85円を切った辺りが限界で、多くの町工場は廃業し、長年研鑽して高めた技術は中国などに移転した。
円高容認の専門家は円安誘導はやめ、生産現場を海外移転して対応すべきと言う。確かに、それで日本企業の利益は確保できるが、国内の生産現場は空洞化する。空洞化して増えた失業者はサービス業に就けばいいと安易に言うが、人に向き不向きがあることをまったく考慮していない。
物作りは風土に根付いたものだ。20年もすれば海外移転の工場は完全に現地化され、日本人は不要になる。それでも親会社の日本企業は利益を確保できるが、海外での就業チャンスすら失った国民は貧しくなるばかりだ。
暴論と言われそうだが、輸入食品の値上がりは、日本の農民と安全重視の消費者にはありがたいことだ。昨日、泥付きネギを買いに行ったが、いつもの八百屋は休日だった。それで仕方なく、スーパーで綺麗に洗ってある長ネギを買った。今朝、その長ネギを食べると、いつもの国産泥付きネギと比べ格段に不味い。どうやら、安い中国産を買って来たようだ。食の安全保障を考えると、日本農業が健全化する円安は良いことかもしれない。
輸入エネルギーの高騰は大変厳しい。耐えに耐えて、技術革新で省エネと国産エネルギー開発の両輪で乗り越える他ない。社会の不満は、働く場を与えられていないことにより起きる。国民一人一人が能力に応じた仕事に就業できることがとても大切だ。今はグローバル化の言葉だけが一人歩きしている。仮に円高が続いて、安易な海外移転が恒常化すれば、やがて国は滅びる。
日本人は元々マネーゲームは不得意だ。コツコツと優れた工業製品や農産物を作り続けられる地道な社会が、日本の目指す幸せな道だと思っている。アベノミクスの全容は見えないが、地道な社会を阻害しないことを願っている。
陽射しと雨が交互にやって来る不安定な天気だった。
雨に洗われた空が美しい。風は冷涼で季節が戻ったように感じる。
川面に写る夕空が美しい。
寒いくらいだが、春は駆け足で過ぎて行く。
明朝も寒く、霜注意報が出ていた。
雨に濡れた、心が洗われるほど清楚な白スミレ。
太古から、近所の崖に自生している野生のツツジ。
散歩道で統合失調症で休職している内科医のNさんに会った。
彼はいつもより表情が暗い。
「ご両親はいかがですか」
Nさんの老親が更に弱ったのかと思ってたずねた。
「変わりはないですけど、私の方がおかしくなりました」
ストレスから、このところ安定していた統合失調症がおかしくなったと話した。
彼が世話している父親は初期のパーキンソンで、ドーパミンを増やす薬を服用している。
それで、父親にも元々あった統合失調症の傾向が顕在化したようだ。
「父を見ていると、ドーバミンと統合失調症との関連性が大きいことがよく分かります」
彼は、相反する治療方法の、パーキンソンと統合失調症の二つのバランスに苦慮していると話した。父親の経過は思わしくなく、そのストレスで彼自身の統合失調症も悪化したようだ。
統合失調症は、知らない人には、ただ怠け者に見られる。しかし、なんでもない物音が激しい騒音に聞こえたり、普通の光が強い稲光に見えたり、幻聴や幻覚に苦しめられたり、とても辛いものだ。自死願望も強く、その止むことないストレスで、40代頃には心臓を病んだりして早世する人が多い。
しばらくNさんの話しを聞いて別れた。見かけは元気そうだが、心の病を抱えたNさんが老親二人を介護するのは不可能だ。老いは留まることなく進行するだけに、Nさんの先行きを考えると、とても気持ちが重くなった。
平安無事の人は本当に少ない。幸せそうに見える家庭でも何らかの問題を抱えている。老老介護も辛いが、病病介護は更に辛く重い。
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