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2013年4月29日 (月)

無為徒食に生きられる豊かさは人生を蝕む。13年4月29日

連休に入ってから、新河岸川の鉄橋を過ぎる新幹線が楽しそうにスキップしているように見える。40年以上、5月の連休に休んだことはない。旅行や登山は連休が終わってから出かけていた。

介護をしているころは、母が逝ったら、好きに旅行をしたいと思っていた。しかし、時間が自由になってみると、先立つ物がない。人生はそうそう都合良くできていないようだ。もっとも、散歩と仕事が生き甲斐なので、今の生活に不満はない。

日が長くなった。昨日は雑事が多く、午後5時に買い物へ出たが陽射しはまだ明るかった。スーパーの食品売り場は不思議に元気が出る。様々な売り場の中で、これほど虚飾がなく、活気のある生の人の姿が見れる場所は他にない。食品の多彩な彩りも素晴らしく、買い物客が、真剣なまなざしで食品を見定めている姿もいい。

黄昏の帰り、東京北社会保険病院の庭で休んでお茶を飲んだ。傍らは老人介護施設で、すでに食事時間は終わり、どの部屋もカーテンが閉まっていた。入所者の老人たちはベットで休んでいるのだろう。彼らは人生の最後に何を想っているのか、いつも気になる。

彼らの希望は、時たま訪れる家族との再会や、ひと時も休むことのない体の苦痛が和らぐことだ。そして、老人たちは無駄だと知っているので口にはしないが、本心では住み慣れた我が家に戻り、そこで死ぬことを願っている。しかし、在宅介護は中断すると再度の受け入れは難しく、自宅に帰る人はとても稀だ。

老人たちは、そうやって無為に毎日を過ごし、2,3年で急速に弱る。そして有無を言わせず、老人病院か特別の施設に移転させられて、最期を迎える。

10年以上昔、ダム建設のために生まれ育った山村から麓の町へ集団移転させられた老人たちのドキュメンタリーを見た。移転先には補償金で建てられた立派な自宅と老人ホームがあった。老人ホームに入った人たちは、理想的な食事と生活で血色は良かったが、言葉に覇気はなく視線も虚ろで、そこは死を待つための収容所に見えた。

老人の中には、その生活を受け入れられず、故郷へ戻る者たちがいた。ダム工事が始まるのは5年10年先のことだ。更地にされた村跡に老人たちは自力で粗末な小屋を建て、豆やソバを作り、沢で魚を採り、自活を始めた。

山の生活は寒く厳しく食事も粗末で、老人たちの顔色は悪かった。しかし、その老人たちは凛とした人間の顔をしていた。人は安楽で豊かな生活を目指す。しかし、実業の労働や人としての喜びが伴わないと、満足は得られないのかもしれない。

帰宅してから深夜まで絵を描いた。最近、絵に集中できる。老年に入って、まだ挑戦できる時間が残されていることに深く感謝している。もし、私が豊かさに恵まれていたなら、今程に絵に集中しないだろう。無為徒食に生きられる豊かさは、人生を蝕むようだ。

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病院下の公園。午後4時だが日が長くなった。右手の花はシャガ。

朝食を食べながら、録画の米国映画「ウォール街」を見た。これは金融経済を語る時、参考資料にされるほどの映画だ。インサイダー情報による株価操作に乗っ取りと、米国の裏面を余すことなく描いている。

あらすじは・・・実直に仕事をして来たのに苦境に陥った航空会社。それを乗っ取り、資産を細切れにして売却し、巨利を得ようとしている投資家ゴードン・ゲッコー。その使い走りをして第二のゴードンを目指している証券会社社員バド。

最後にバドは人間性に目覚めて、ゴードンを裏切って航空会社を救うが、インサイダー取引で逮捕された。巧く立ち回ったゴードンもバドが司法取引をして逮捕された。映画は、金に翻弄され、人生の意味を見失った強欲な者たちを巧みに描いていた。

投機家ゴードンは、ゲームに熱中して現実社会を忘れてしまった若者たちと大差ない。日本にも小型のゴードンは多い。寝食を忘れてパソコンに貼り付き、株の売り買いに熱中している。彼らは何も生産しない。インスタントラーメンを啜りながら、際限なくお金を増殖させるゲームに熱中しているだけだ。その虚業から彼らが目覚めるのは、再起できないほどに負けた時だけだ。

マネーゲームの覇者たちは巨万の富を得ているが、昔の王侯貴族のように文化は残さない。映画の中の豪邸には、数多くの現代アートが飾られていたが、それは投機のためで、彼らに高尚なセンスがあった訳ではない。

パリ、京都、世界の観光地の殆ど総ては昔の王侯貴族の遺産だ。その建設資金は搾取によって生み出されたものだとしても、搾取された者たちの子孫は、その遺産で潤っている。

対して、現代の投機家は後世に何を残すだろうか。彼らが文化を創り、彼らの残した豪邸が100年後に観光地になるとは到底思えない。

S_1S_2S_6S_5写真1、至る所、ウツギ-別名卯の花-が満開だ。

唱歌「夏は来ぬ」の歌詞・・・卯の花の におうかきねに 時鳥-ほととぎす-早も来鳴きて しのび音もらす 夏は来ぬ・・・の「卯の花」である。

私が育った南九州では見かけない花だったので、子供の頃、歌いながら「どんな花で、どんな香りだろう」と想像していた。

始めて出会ったのは上京してからで、殊に赤羽近辺は多い花木だ。
出会うと歌詞を想い出して香りを確かめるが「におうかきねに」のように匂いはしない。多分それは、視覚を表現した「におう」なのだろう。

しかし、この歌を聴くと、5月の田園風景が爽やかに蘇る。

作曲の小山作之助氏はこのブログのリンク先、樹下美術館館長の杉田氏のご親戚である。
小山作之助氏については美術館ホームページの「館長のノート」に詳しく記されている。

写真2、レッドロビンの花。

今、至る所で小さな可愛い花が満開だ。
ただし、手入れよく剪定された生け垣では花芽がなくなっているので咲かない。
放置された生け垣があれば、必ず咲いている。

写真3、ハルジオン
似た野草にヒメジョオンがある。

見分けるには茎を折って見ると明快に分かる。
茎が中空になっているのがハルジオンで、ヒメジョオンの茎は中が詰まっている。
蛇足だが、良く似た名前のハルシオンは有名な睡眠薬だ。

昨夜は月夜の散歩に出た。
あまりに美しいので、帰宅してから望遠で撮った。

今日のニュース・・北アルプスでの雪崩れ遭難に、「あーいやになっちゃった」で一世を風靡した、ウクレレ漫談の牧信二氏が多摩川入水自殺。享年78歳だった。「牧」繋がりのお笑い芸人さんでは、8年前にポール牧氏が自殺している。享年64歳。お笑い系は心を病んで自死する人が多いと聞く。人を笑わせることはさほどに難しく、ストレスを溜め込むようだ。ご冥福を祈る・・・

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