ためしてガッテン・こんなのアリ・腐っていても食中毒を起こさない?加熱調理を妄信するな。13年6月13日
ようやく梅雨模様。朝から雨で、何となく気怠く眠い。梅雨時は食中毒の季節だが、戦中生まれで胃腸が丈夫な私たち世代は滅多なことでは食中毒を起こさない。冷蔵庫が一般的ではなかった時代だったので、食べ物に対する防衛本能が優れているから、と思っていたが、それは勘違いだった。
昨夕のNHK「ためしてガッテン・こんなのアリ・食中毒・信じられない新常識」は題名通り、驚きの連続だった。
まずはノーベル賞技術を応用した「光る食中毒菌」による実験。
加熱して滅菌した同じ食品を二つを準備。片方は、通常環境の雑菌と「光る食中毒菌」を混ぜて振りかけ、もう片方は「光る食中毒菌」のみ振りかける。
双方を保温機に入れて一定時間放置。その後、出演者に見た目でどちらが危険か判断させた。雑菌を混ぜた方は糸を引き、表面はドロドロで悪臭があり、まさしく腐敗した状態。対して食中毒菌のみは、見た目どこにも異常はない。当然ながら出演者はドロドロ悪臭の方を危険と判断した。
しかし、正解は逆だった。暗室で双方の食品に紫外線を当てて光らせると、ドロドロ異臭の食品は光らず「光る食中毒菌」が殆ど繁殖していないことが分かった。
対して見た目が異常のない食品の方は全面が光って「光る食中毒菌」が大繁殖していた。腐敗菌は食中毒菌より強く、食中毒菌の繁殖を押さえる。対して腐敗菌を加えなかった方は、食中毒菌がのびのびと大増殖していた。この実験では、見かけの異常がない方が大変危険な食品に変化していることが判明した。
食品衛生の専門家は、食中毒菌は自然環境ではとても弱い菌で、腐敗菌が大増殖した腐った食品の中では殆ど増殖できず、実際は腐敗した食品を食べて食中毒を起こすケースは殆どないと説明していた。
ただし、腐敗した食品でも、極めて少量で激しい食中毒を起こすO157などが含まれているケースがあるので食べない方が無難だ。
「腐敗」とはいかにも危険な表現だが、腐敗菌の中で食物を美味しく有用に変化させる菌が酵母・納豆菌・乳酸菌などの発酵菌で、悪臭を放ち不味くさせるのが腐敗菌と呼ばれている。
今まで、見た目と嗅覚に頼って食中毒を防いで来たと信じていたが、番組を見て、事実は全く違うと知った。我々の世代は神経質にならず、大雑把に雑多な菌や乳酸菌を摂取していたために、食中毒になりにくかっただけのようだ。
料理は加熱によって、腐敗菌を殺して食品を長持ちさせることも目的にしている。しかし、加熱は却って熱に強い食中毒菌を繁殖させる矛盾を生じさせていた。例えば、ボツリヌス菌は嫌気性で、加熱しても芽胞と呼ばれる殻を使って耐え生き残る。芽胞は120℃で4分間の加熱しないと死なない。真空パックで加熱が不十分だと生き残り、強敵の腐敗菌がいなくて、酸素も少ない好環境で大増殖する。真空パック食品での食中毒事件では、1984年、熊本で製造された真空パックの辛子蓮根を食べた36人がボツリヌス菌に感染し11名が死亡した例がある。
ボツリヌス毒素1gの殺傷力は約100万人と自然界で最強の毒素だ。死ななくても視力障害など神経系の障害を起こす。
しかし、その神経を麻痺させて筋肉の緊張を緩和させる作用を利用した、極めて少量のボツリヌス毒素を使う治療方法がある。今は治ったが、母との死別後、2年ほど下まぶたのピクピクに悩んだ。その時、症状がひどくなったら、ボツリヌス毒素治療が有効だと眼科医に言われた。
料理における加熱を妄信している人は多い。番組ではその危険性を、カレーでのウエルッシュ菌による食中毒を例に説明していた。
ウエルッシュ菌は嫌気性のどこにでも普通にいる菌だが、とても弱い菌だ。加熱なしの雑菌がいる環境では増殖できず、食中毒は起こさない。しかし、ボツリヌス菌同様に、加熱しても芽胞になって100度で1時間の加熱でも死なない。
番組に登場した主婦は、極めて衛生的に調理してカレー5人前を作った。カレーはできたてより一晩おいた方が美味しいので、翌朝、台所に放置しておいたカレーを更に5分間クツクツと沸騰させた。
この調理過程では、最初の加熱で雑菌は死滅したが、ウエルッシュ菌は芽胞になって生き残っていた。そして一晩、雑菌の居ない、酸素も少ない好環境でウエルッシュ菌は大増殖した。翌朝、再加熱したが芽胞になって生き残り、それを主婦は食べて、急性食中毒の激しい腹痛で三日間入院した。
このタイプの食中毒を防ぐには、調理を終えた料理は速やかに冷やして冷蔵庫に保存し、ウエルッシュ菌の増殖を防ぐべきだ。
ウエルッシュ菌による食中毒は多く、大量に調理した料理で起こすことが多いので、別名、給食菌とかカフェテリア菌と呼ばれている。ウエルッシュ菌は食品1gあたり100個以下なら食中毒を起こさない。ちなみに、主婦の食べたカレーには1gあたり10万個含まれていた。
番組で手の洗い方も説明していたが、石けんを泡立てて20秒以上しっかり洗わないと、手の菌は洗い落とせなかった。確かに、菌がいなければ食中毒は起こさないが、むしろ、自然界にいる雑多な菌や乳酸菌を同時に食べて、弱い食中毒菌を繁殖させない方が現実的なようだ。私は塩麹を料理に多用しているが、これは強い麹菌を使って食中毒菌の増殖を防ぐ方法だった。
昨日は雨の中、病院へ眼科から内科までの定期検診。診断は可もなし不可もなし、変化がなければ良しとしている。
料金計算を待つ間、屋上庭園へ行った。経費削減の影響で、花壇も植え込みも荒れていた。しかし、私はこの少し荒れた野趣が好きだ。植え込みで雑草のように生い茂っているスペアミントを採って、上着のポケットへ入れた。
歩きながら、時折、ポケットから清涼なミントの香りが漂ってきて心地良かった。
帰宅して、カップにミントを入れて熱湯を注ぎミントティーを作った。お湯が淡い緑に変わったら飲み頃。甘くしても美味しいが、私はストレートで味わった。
病院下の公園で、母の遺灰を撒いたアジサイが、雨に濡れて一段と鮮やかに色づいていた。
アジサイは梅雨がとてもよく似合う。
崖地の木製の桟道を下っていると、カタツムリが這っていた。
この雨に喜んで出て来たのだろう。
昔はカタツムリは何処にでもいたが、最近激減した気がする。
昔、カタツムリとアジサイを描いた絵があったので、画像データ探し出した。
散歩をテーマにした童話に付けた絵だ。
絵には以下のような文がつけてあった。
・・・おばあちゃんはお茶を飲んでいた。
ぼくは雨だれで手を洗いながら、夕立をながめていた。
雨で冷やされた風が気持ち良かった。
深呼吸すると、ハッカを吸ったように 胸の中がスーッと した。
「夕立は強くてえらいな」
ぼくは大きな声で夕立に話しかけた。
すると、雨音の中から気持ちのよい音が 聞こえてきた。
「ゴクゴク ゴクゴク」
見回したが、何の音か わからない。
ぼくは遠く雨にけむる森や、ぬれて光る道や、雨に打たれる草原を、端からたんねんにながめた。
すると、クチナシの葉の上で カタツムリと雨ガエルが 雨水をゴクゴク飲んでいた。
クスノキは 太い根元を流れる雨水をゴクゴク飲んでいた。
オオバコやヨモギや猫じゃらしも、アジサイもサルスベリも、地面を流れる雨水をゴクゴク美味しそうに飲んでいた・・・・
そう言えば、今年はまだツバメを一羽も見ていない。
環境変化のせいなのだろうか、梅雨の風物詩が消えて行くのは寂しい。
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近況・・・絵本「おじいちゃんのバス停」を完成させて、Amazon Kindleの電子図書 にてアップした。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0B79LKXVF
Kindle Unlimited 会員は0円で購読できる。
上記ページへのリンクは常時左サイドに表示。画像をクリックすればKindleへ飛ぶ。
絵本の内容
おじいちゃんのバス停・篠崎正喜・絵と文。老人と孫のファンタジックな交流を描いた絵本。
おじいちゃんは死別した妻と暮らした家に帰ろうとバス停へ出かけた。しかし、家は取り壊され、バス路線も廃止されていた。この物語は、20年前に聞いた知人の父親の実話を基にしている。対象は全年代、子供から老人まで特定しない。物語を発想した時、50代の私には77歳の父親の心情を描けなかった。今、彼と同じ77歳。ようやく老いを描写できるようになった。
概要・・初めての夏休みを迎えた小学一年生と、軽度の認知症が始まったおじいちゃんとの間に起きた不思議な出来事。どんなに大切なものでも、いつかは終りをむかえる。終わりは新たな始まりでもある。おじいちゃんと山の動物たちとの、ほのぼのとした交流によって「終わること」「死ぬこと」の意味を少年は学んだ。
描き始めた20年前に母の介護を始めた・・
絵は彩色していたが、介護の合間に描くには画材の支度と後片付けに時間を取られた。それで途中から、鉛筆画に変えた。鉛筆画なら、介護の合間に気楽に描けた。さらに、水墨画に通じる味わいもあり、意外にもカラーページより読者に評価されている。それはモノクローム表示端末で正確に表現される利点がある。
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