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2013年7月18日 (木)

非常階段の踊り場での、寂しい送り火。13年7月18日

お盆は、あっという間に過ぎてしまった。この数日は涼しくて仕事が捗ったが、今日からは、再び暑さが戻って来た。

送り火の夕暮れ、散歩帰りに西の非常階段を上った。その階段は、普段は夕日の火照りが残っているので使わないが、その日は曇り空で涼しかった。

階段を中程まで上ると、踊り場で80歳程のおばあさんが素焼きの皿で麻ガラを焚いていた。
「おじゃまして、ごめんなさいね」
おばあさんは慌てて、傍らのバケツの水で、火を消そうとした。
「大丈夫です。気にしないで下さい」
消すのを制して立ち止まり、送り火を眺めた。ここに引っ越して来てから、送り火は止めているので懐かしい。

「息子の新盆ですけど、送り火をする場所がなくて」
小さな炎を見つめている私に、おばあさんは笑顔でポツリと言った。
「それは、寂しいですね」
慰めると、おばあさんはちょっとうつむいた。

麻ガラはすぐに燃え尽きておき火に変わった。
私は軽く会釈してその場を離れた。
住まいへの階段を上りながら、一人で送り火をしていたおばあさんの心境が頭から離れなかった。
息子の家族は離れて住んでいるのかもしれない。彼女の連れ合いは弱っているのか、それとも、すでに亡くなったのか・・・彼女の身辺のことが、次々と気になった。

子供の頃のお盆は、死者たちや離れて働いていた家族たちが戻って来る、にぎやかで楽しい行事だった。迎え火も送り火も、子供たちはおおっぴらに焚き火ができるので楽しかった。殊に、郷里では、松ヤニの多い松の根を使っていたので、乳香のような甘い香りと共に、長く燃えた。

子供たちは迎え火の回りで、花火をして遊んだ。
新盆の家の前では、老人の歌う"くどき"にあわせて深夜まで、近所の人たちが盆踊りをして死者と遺族を慰めた。単調な太鼓の音と、「やっとこせー、よーいやな」のかけ声が、60年過ぎた今も、夢のように蘇る。

新盆の送り火をしていたおばあさんも、死者たちや遠い昔の思い出を、送り火の中に見ていたのかもしれない。先ほど、同じ階段を上って帰った。夕日が照りつける、乾いたコンクリートの踊り場に送り火の跡はなかった。そこに、猛スピードで変化して行くものたちへの、無惨な渇きを感じた。

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先日の驟雨の後の青空。

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緑道公園のアゲハ。
白昼夢のように雌雄が舞っていた。

郷里の知人から「おきよせんべい」が届いた。最中の皮と同じ薄焼き二枚に、ユズなどの餡を薄く塗って挟んだものだ。明治維新後、飫肥藩の職を失った武士たちが工夫して作った菓子だが、今は飫肥の名物になっている。

あまり甘くなく、サクサクと香ばしくて子供の頃から大好きだった。そのおばあさんは高齢になっても、私の好きだったものを覚えていて、そうやって色んな好物を送ってくれる。

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緑道公園の百日紅。北区の公園課が極端な剪定をしたので、しばらく花が殆ど咲かなかったが、今年の夏は莟が多い。

昨日の散歩では、統合失調症の元内科医のAさんと会って1時間ほど話した。ただ、彼の悩みを淡々と聞いているだけで、気のきいたことを話す訳ではないが、それだけでも、彼は癒されるようだ。

最近、Aさんと話していて気づいたことがある。Aさんは病を巧くコントロールしているからかもしれないが、彼は健常者より正常である。彼と比べると、私との回りの現役で働いている者たちのほうが、遥かに心を病んでいる。

安泰と思われていた大企業のサラリーマンや技術者でも、グローバル化の影響で、慣れない職場への配置転換やリストラの不安に苦しんでいる。現実にはじき出されてしまうと、多くは鬱を発症し、自殺を試みる人さえいる。

S_3暑さが戻ったので、ぶどうのグラスに冷酒を入れて仏壇に供えた。母の家系は酒豪が多い。酒は母ゆかりの久留米の酒を入れた。

その国が病んでいるかいないかは、自殺者の数で推測できる。
自殺率1位は韓国で次に旧ソビエト諸国が続き、日本は8位。社会福祉先進国の北欧がやや多めなのは意外な結果だ。

米国の自殺率は先進国中では少ない方だが、心臓病などのストレス起因の死を緩慢な自殺として捉えると断トツに社会は病んでいる。

中南米が自殺が少ないのは、カトリックの抑えが強いせいで、他殺率となると極めて高い。皮肉な言い方をすれば、誰かが殺してくれるので、自殺をする必要がないのかもしれない。

イスラム国も宗教上の理由で自殺は少ないが、テロなどの政治不安に晒されて病んでいる。

日本の自殺率は8位と高いが、他殺率が極めて低く、総合した社会的な死亡率は世界でもかなり低い国だ。

Aさんと話していて、ラオスやブータンなどの仏教国は自殺が少ない、と言った話しになった。しかし、ブータンは先日、野党が圧勝して政権が変わった。原因は、長年経済援助して来たインドが手を引いて、燃料が高騰し、国民の不満が鬱積して野党が圧勝した。

「貧しくても幸せ」を標榜し、憧れの国だったのに、それでも国民の不満が渦巻いていたと思うと、我が国の理想国家への道は更に険しい。

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