« 新富裕層 vs 国家・富をめぐる攻防・NHKスペシャル、それは利己的に世界を崩壊させる。13年8月18日 | トップページ | 快感物質ドーパミンは3年限度で終わるが、愛情ホルモン・オキシトシンは長期の幸せをもたらす。13年8月25日 »

2013年8月22日 (木)

逆走する人生と新しい測定技術二つ。13年8月22日

昨日午後、雷鳴とともに激しい驟雨がやって来た。慌ててベランダのガラス戸を閉めていると、姉から電話があった。

それは離婚した義兄の訃報だった。彼は先月から危篤状態だったが、いよいよ旅立ってしまった。
義兄と最後に会ったのは10年ほど前、上野寛永寺の墓地だった。若くして事故死した甥の墓参に行くと、偶然に義兄がやって来た。彼は感謝したあと「この墓を維持するのが大変です」と、少し自重気味に話した。訃報を聞きながら、その時の彼の顔が蘇った。そのころは母も元気だったが、年月は風のように過ぎてしまった。

遺骨は姪が沖縄の海に散骨すると話していた。湯島の資産家の家庭に生まれ、波瀾万丈の一生を終えた彼にとって、死後も世俗がつきまとう墓地より光溢れる南国の海の方が安らぐだろう。今頃はあの世で、夭折した甥と再会しているかもしれない。電話を切ったあと、仏壇に灯明を上げて冥福を祈った。

M_5

先日、久しぶりに古い友人と会った。
二人で飲んでいると突然、彼は私が忘れていた40年前の出来事を話し始めた。それは高校3年のマラソン大会の時のことだ。前年の大会で私は2位で、トレーニングを積んで臨んだその大会では、終盤までトップグループを走って一位を確信していた。しかし、私はゴール間近で逆走を始めた。

友人が話すまで、逆走したことを私はまったく忘れていた。なぜそのような行動をとったのか今もって不可解だ。その出来事を聞きながら、フラッシュバックするように、逆走する私を後続走者たちが驚いて見ている姿が蘇った。その後、再度ゴールを目指したのか、そのまま離脱したのか、田畑の間の白い一本道以外、何も思い出せない。

それほどに不可解ではないが、人生の大きな局面で世間の常識に逆らったことが幾度もある。中年になって、安定した豊かな生活を捨てて絵描きに転向したのもその一つだ。今、独り身を続けているのも、巧く行っていた恋愛で逆走してしまったからだ。人生終盤の今、若さへの逆走は無理でも、人生へ一矢を報いる逆走なら、もう一回くらいできるかもしれない。

M_6

ベランダの手すりを音を立てて打っていた驟雨はすぐに過ぎ去り、青空が見えた。

高校野球の熱戦が続いている。昔は夏の風物詩で、真昼の町を歩くと、ラジオの実況放送があちこちの住居から聞こえた。試合経過に耳を澄ませながら歩いたあの白昼の眩しい静寂が懐かしい。

しかし、PLが連勝していたあたりから興味が薄れた。有名私立高校の選手は全国からスカウトされ地元とは何のゆかりもない。そのうち、キューバ辺りの若者を帰化させて、自校の選手にする高校が出てくるかもしれない。だから、たまに地元出身ばかりの弱小の公立高校が全員野球で善戦すると嬉しくなる。

昨日、買い物から帰るとエントランスで老人がウロウロしながら、チラチラ私を見ていた。怪訝に思いながらエレベーターに乗ると、老人は後へ続いた。上りはじめると老人は「前橋が勝っちゃったよ」と話しかけた。彼はそれを誰かに話したかったようだ。
「初出場でしたね、それは良かったです」
答えると、老人は嬉しそうに途中の階でエレベターを下りて行った。

先日の記事に、65歳以上の一人暮らし男性の多くは1ヶ月以上誰とも話していないとあった。彼はまた、エントランスへ下りて、誰かに話しかけるのかもしれない。

景気指数は良くなっているのに実感がない。原因は中間所得層の減少によるものだ。中間所得層が厚い社会なら、お金はすぐに社会全体に行き渡り好景気を実感する。しかし、お金が偏在している現代では、お金は上空を飛び交うだけで地上を潤さない。それでも安倍政権は景気を活性化させようと躍起だが、この社会構造が変化しない限り難しい。日本を始めとした先進国の国民は、過去の恵まれた生活は難しいことを自覚すべきかもしれない。

S_1S_2S_3スペアミントの花

よく出会う大きなワンコ。

声をかけてもらおうと、立ち止まって待っていた。

早くも穂を出したパンパスススキ。

ススキと違い、実生による繁殖力がないので、最近よく庭園に植えられている。

最近注目した新測定技術二つ。

福井県の若狭の海岸近くにある「水月湖」が世界の年代測定の基準物差しに選ばれた。水月湖湖底の堆積層は1年刻みに7万年分連続した縞-年縞が奇跡的に残っている。世界の考古学者・自然科学者にとっては大変重要な湖で、グーグルで英文検索すると、8万2100件がヒットする。

地層や発掘遺物の年代測定は炭素14の量で測るが、その推定値の誤差は大きい。しかし、水月湖の湖底の堆積物の縞の炭素14量が一致する箇所を見つければ、正確に特定できる。

水月湖の1年分の堆積層は0.8から0.7ミリだが、春夏秋冬の変化まで読み取れるほどに安定した層を成している。このおかげで7万年前までの世界の環境変化を含めて、その年と季節まで正確に測定できるようになった。

もう一つは原子時計。従来のセシウムではなく、ルビジウムを使うことで小型化ができた。ルビジウム原子時計はセシウムほど正確ではないが、それでも300年に1秒ずれと、クオーツ(水晶発振子)の1万倍は正確だ。

一見、身近な生活とは無縁に見える技術だが、これがスマホに掲載されると、電波の到達距離が正確に計測できて、持ち主の位置が誤差15センチで特定できる。レーダーに備えると、測量したのと同じほどの精緻さで位置関係が分かるようになる。

Ma_3

Ma_4

Ma_5


|

« 新富裕層 vs 国家・富をめぐる攻防・NHKスペシャル、それは利己的に世界を崩壊させる。13年8月18日 | トップページ | 快感物質ドーパミンは3年限度で終わるが、愛情ホルモン・オキシトシンは長期の幸せをもたらす。13年8月25日 »