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2013年10月12日 (土)

モンゴルの大草原と秋の味覚。オバマケアの国民皆保険阻止のためにデフォルトの危機。13年10月12日

先日のNHK地球イチバンはモンゴルの夏の祭典ナーダムだった。ナーダムでの世界最大の長距離競馬では、6〜13歳の騎手延べ1万人近くが競う。番組冒頭の大草原に切々と流れる馬頭琴のメロディーは江差追分に似ていて心を打った。最後の画面の草原を左右一杯に弧を描く虹も、例えようもなく美しかった。

番組は子供たちと馬のふれあいと成長を淡々と描いていた。私は画面を見ながら、モンゴル民話の絵本「青いナムジル」制作に熱中していた10年以上昔のことを思い出した。その頃知り合った、日本の大学で教鞭をとるモンゴル相撲の力士のバー・ボルドー氏 (日本名・富川力道氏) とは長く会っていないが、年賀状は今も交わしている。制作中、彼らと行ったモンゴル料理屋で、どんぶりに満たした馬乳酒を交わしたことを眩しく思い返す。

あの頃健在だった肉親、友人、知人の多くは鬼籍に入った。関係していた出版社の幾つかは倒産し、編集者たちの多くは転職した。ごく少数は成功したが、ほとんどの生活が暗転してしまったのは、それからの時代の変化によるものだろう。過去を振り返り、今と比較してしまうのは人特有の弱さだ。ネコや犬のように、常に今を自然に生きられたら素晴らしいのだが。

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「青いナムジル」の一場面。
モンゴルから西域へ転戦した青年ナムジルは、西域の美しい女性と恋に落ちた。
彼は別れに貰った天馬を駆けて、夜な夜な数千キロ彼方の恋人へ会いに行った。


台所のウイスキーグラスは調理で水差しをする時に重宝している。グラスは父の遺品で、使う時、一瞬父のことを思い出す。

母のことは絶えず思い出すが、父のことは殆ど思い出さない。父との会話は殆どなかった。父親の話すのは、命令か小言ばかりで、家庭ドラマにあるような心と心の交流は殆どなかった。父について知っていることは母に話してもらったことばかりだ。

だから、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」での貧乏小説家茶川竜之介と父親の関係はよく理解できる。劇中の父親は息子茶川竜之介を叱咤するばかりで、ねぎらいはなかったが、影では息子を常に誇りに思い励ましていた。それが、前時代の父親像で、私の世代の父と子の普通の関係だ。

S_2S_1忘れていた、手作り人形のお雪さんの衣替えをした。

母が健在なら決して忘れることはなかったのだが、私は気づかず浴衣のまま10月を迎えてしまった。

しかし、衣替えした途端、連日の30度越えだ。

10月としては遅い新記録だ。

豆苗は三度目の刈り取りをして、根は処分した。

徹底的に搾取してしまったような複雑な気分だ。

豆苗を生のまま食べるとキヌザヤのようなほの甘さがあって美味しい。

食品売り場にサツマイモが並び始めた。あの紅色がたまらなく好きだ。ことに水洗いして濡れた表面の鮮やかさには感動する。

調理はアルミ箔でしっかりと包み、網の上において中華鍋を裏返しにかぶせ、とろ火で2時間以上かけて蒸し焼きにする。温度を上げ過ぎず時間をかけることで、でんぷん質がサツマイモの酵素で糖化され、安納イモのようにねっとりと甘くなる。

サンマも季節だ。
サンマは丸ごと、傘のしずく取用の細長いビニール袋に多めの塩と一緒に封入して、3日ほど置いて焼いて食べる。内蔵の消化酵素が身に行き渡り、アミノ酸分解が起きて驚くほど旨味が濃厚になる。これは料亭でも行われている調理方法だ。昔の西日本では生サンマは手に入らず、売っているのは総て塩漬けで、とても美味かった。サンマの皮に切れ目を入れないので、多量に塩を使っても塩分はしみ込まず、塩辛くはならない。

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午後の空。
夏のように陽射しが強い。

米国の共和党と民主党の政争は膠着したままで、10月17日にはデフォルト(債務不履行)の危機すらある。デフォルトになれば世界経済は大混乱を起こす。殊に膨大な米国債を持っている日本は大きな悪影響を受ける。このまま世界危機を起こすまで、共和党がごり押し続けるとは思えないが、このような義のない政争は醜い。既に公共機関の一部が閉鎖され職員の一時帰休が続いて、彼らの消費力減衰による年末商戦への悪影響は避けられない。

今回の政争原因のオバマケアは、民間保険未加入の米国民が支払う高額医療費解消のために生まれた。例えば、未加入者が支払う風邪の診察料金は1万5千円。虫歯治療は10万円。虫垂炎手術は330万円。ちなみに、米国民の破産原因の最大のものは高額医療費である。国民皆保険は日本ならごく当たり前だが、オバマケアで貧困層の医療費を富裕層が負担することを富裕層代表の共和党は猛反対している。オバマケアは10月1日からスタートの予定だったが、これで先行き不透明になった。

日本国民は治療費の7割を国に負担してもらっている。米国にそのような国民皆保険はなく、高齢者と低所得者層向けに「メディケア」「メディケイド」の公的保険があるだけだ。それ以外の国民は民間保険に自費で加入しなければならない。

米国企業には福利厚生として保険料を負担してくれるところもあるが、すべてではない。低所得者層ほど貧しくはなく、民間保険料を支払えるほど年収が多くない階層は6人に1人いる。その5000万人の人たちは病気になれば上記の高額医療費を支払うことになり、家族が少し大変な病気に罹ると破産してしまう。

保険加入者でも、総ての病がそれでカバーされている訳ではない。そのために民間保険会社と加入者の間でしばしば係争が起きる。日本なら誰でも月に数千万かかるような高度医療でも受けられるが、米国の低所得層保険では現実的に高度医療を受けるのは難しい。

米国の研究機関によると、日本の医療保険制度は世界で最高に素晴らしいシステムだ。しかし、TPPの受け入れ方によっては、日本に進出した米国の民間保険会社保護のために、日本の優れた医療保険が後退すると言われている。

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