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2013年12月 4日 (水)

ベンツの車ネット通販開始に流通生産革命の予感。額装した彫金作品。13年12月4日

高級車のベンツがネット販売を始めたニュースに驚いた。ドイツも日本同様に若者の車離れが大きく、その打開策として始めたようだ。系列ディーラーの反発があるので一気に広がることはないが、車の世界にも家電量販店と同様のショールーミングがこれからは広がりそうだ。

年配者にはディーラのサービスは心地よく便利なものだ。殊にベンツ・ディーラーの持つ高級なイメージは他では得られないものだろう。しかし、若者たちはそのようなサービスより安さを求め始めた。

ディーラの敏腕営業マンには様々な逸話がある。車に洗濯仕立てのワイシャツが幾つも積んであって、真っ白なワイシャツが汚れるのも構わず、賓客の車の下へ潜って点検して信頼を得たと言った逸話は事欠かない。そのような人間臭いサービス精神は年配者には魅力的でも、若者には通用しなくなったようだ。
ショールーミング・・買いたい商品を小売店で確認して、最安のネット通販で購入する形態。

大量生産品の総てにショールーミングが進行するのは止められない。そこから新たに生まれそうな業種はメーカーから完全に独立した商品情報サービスだ。そこでは購入の代行から購入後の問題解決までカバーする。言わばディラーの営業マンのサービスが独立したような存在だ。

それらのサービス業務に参入しやすいのは通販と配送業者だ。アマゾンはすでに、スマホで製品のバーコードを撮ればすぐに解読して最安価格表示するサービスをしている。その場で最安通販に注文し、帰宅時に注文品が届いていることさえあり得る。しかし、もの作りや買い物の魅力は無駄にある。合理的に無駄を落とし過ぎた物優先社会は楽しくない。

昔は小さな村にも鍛冶屋が1軒はあった。そこでは使い手と作り手の間で会話が交わされ、スキ、クワ、刃物をオーダーメイドで生産供給していた。そのように作られた道具は使い勝手が良く長く使え、結果的に量産品より安上がりだった。

近未来では生産流通は村の鍛冶屋のようなオーダーメイドに行き着きそうだ。それを可能とするのは3Dプリンターだ。車メーカーも家電メーカーも服飾メーカーも、企画・デザイン・設計に特化し、インターネットで送られて来たデーター・部品・素材を各地の生産拠点で、購入客の希望を加味させながら製品を完成させる。10年後か20年後の生産流通はそのように変貌しているかもしれない。


仕事をしながらSLの映像を流している。蒸気の音、煙りの匂い、汽笛、どれも懐かしく、若い頃を想い出す。その頃の旅先での楽しみは駅弁だった。今は発泡スチロールの味気ない弁当箱に変わったが、昔は総て木の折り箱で風情があった。最初に折り箱の薄板の蓋に付いたご飯粒を丁寧に食べて、それから仄かに木の移り香がする煮しめやご飯を頬張ると幸せで一杯になった。

折り箱には主に北海道のエゾマツが使われたが、誤った環境保護論によって折り箱は使われなくなってしまった。日本は世界屈指の森林国で木材は自給できる。しかし、営林労働者の高齢化により荒れ放題になっている。自然林と違い、植林された杉檜は定期的に伐採しないと年老いて、CO2吸収効率が極めて悪くなる。根の張りも悪く、保水力がなくなり大雨でしばしば崩落し大災害を招く。

もし、弁当箱を始めとして使い捨て容器を木製品に変えるように法制化したら、値段が高くなったとしても経済は活性化する。木製品は廃棄しても自然へ戻る完全エコ商品だ。国産森林資源は活用され、木製品業界は拡大し、今のインフレ誘導政策より実効性がある。

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夕暮れが早い。散歩帰りに宵の明星が見えた。

介護施設下の遊歩道を歩いていると、斜面で遊んでいた子供たちが「こんにちわ」と笑顔で挨拶した。
「やあ、こんにちは」と挨拶を返すと、
「危ない所で遊んでいると思うでしようけど、気をつけていますから心配しないで下さい」
子供たちは長々と可愛い言い訳をした。大人に「危ないよ」と注意されたのかもしれない。しかし、野山を駆け回って育った私には少しも危なくは見えない。
「ちっとも心配はしていないよ。みんな薄着で元気だね」
ティシャツ一枚の子も交ざっていたので、そう言うと、歓声を上げ飛び跳ねて喜んだ。その無邪気さがとても可愛い。知人がよく、遊びに来る近所の子供たちが楽しみだと話していたが、私も無邪気な姿に接すると幸せを貰ったような気になる。

最近、その子供たちが介護施設に入所している老人と仲良くしている姿を見かける。子供たちは知らず知らずのうちに、老人たちから良い影響を受けているのかもしれない。昔の年寄りは頑迷で威張っている人が多かったが、今はそのような人は少ない。入所して、死を待つばかりの寂しい老人たちも子供たちに励まされ、良い影響を与え合っているようだ。


テレ朝の「ドクターX」を最近見始めた。毎回、権力者や資産家患者の処置を巡っての医局内の権力闘争を描いている。前回は、蛭間外科統括部長(西田敏行)と彼によって金沢に左遷された前主任教授の鷹野(浅野和之)の争いだった。

前主任教授の鷹野は膵臓がんに罹った厚労省医政局長の母親・浅井久恵(白川由美)を金沢から本院へ転院させることで、次期主任教授復帰を計っていた。

しかし、鷹野教授は功を焦り、抗がん剤治療で十分にがんが縮小する前に手術に取りかかってしまった。開腹すると手術不可能なほどに病巣は広く、愕然としたショックで急性のイレウスを起こして倒れた。

その先を引き継ぐのはドクターX大門未知子(米倉涼子)なのだが、彼女は特別患者・浅井久恵の手術を中断して腹を閉じてしまった。大門未知子は浅井久恵の代わりに鷹野教授を緊急手術で助けた。

回復した鷹野教授は後日、浅井久恵の手術を成功させた。その結果、大門未知子は蛭間外科統括部長に更に憎まれることになった。次回の見所は蛭間教授と大門未知子の熾烈な対立のようだ。

ドラマで注目したのは、手術台で麻酔で眠らされている浅井久恵(白川由美)の閉じた目から一筋の涙が落ちたシーンだ。天才大門未知子なら困難な膵臓がん手術でも続行できたかもしれない。しかし、彼女はその涙を見て思い留まってしまった。

母に死が身近に迫った時、まったく同じように涙を幾筋かハラハラと流した。
絵描き仲間の宮トヲル氏が死に瀕した時も同じように涙を流したと夫人から聞いた。これまで私が立ち会った人たちは、最期に同じようにハラハラと涙を流した。今、それは人生への決別の涙だと思っている。大門未知子も同じように感じて手術続行を止めたのかもしれない。

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写真の彫金作品「三姉妹」は25年の修行で最高に技術が完成した頃の作品。
曲面への平象眼、顔・髪・目・唇・衣服をつなぐ技術は大変に高度なものだ。額装に迷いがあり、この形を完成させるのに長年を要した。バックは作品を引き立たせるように、荒々しくアクリル絵の具で描いた。

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黒服地--赤銅・金5%含有の銅。猫--赤金 (金と銅の18K合金)。百合--青金 (金と銀の18K合金) と赤金を平象眼。靴--赤金と青金を平象眼。人肌--銀。目--青金に赤銅を平象眼。唇---赤金を象眼。髪--四分一・銀と銅と少量の金の合金。床--素銅。窓--黒味銅25%の空へ黒味銅象眼。椅子・照明具・窓枠--各種四分一。サインとドアノブ--金象眼。

注、一般に赤銅は赤茶色と誤解されているが、写真の黒が正確な赤銅色。金5%含有の銅は伝統的な緑青・硫酸銅に少量の梅酢を加えた水溶液で煮ることで漆黒に発色する。

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