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2013年12月 1日 (日)

仮想通貨ビットコインと、平成四半世紀東京は絵描きへ転進した25年と重なる。13年12月1日

以前、NHK NEWS WEB で面白いニュースをやっていた。英国の青年が、仮想通貨・ビットコイン・日本円換算で7.5億円が入っているハードディスクを誤って捨ててしまい、毎日、心当たりのあるゴミ捨て場を探し回っている、と言うものだ。彼はビットコインの草創期に安く手に入れ、忘れているうちに値上がりして7.5億円まで膨らんでしまった。ハードディスクには、ビットコインのパスワードなどが入っていて、それがないと絶対に換金できない。

それらはクローズアップ現代「仮想通貨VS国家・ビットコインの衝撃」で取り上げていた。
ビットコインは2009年に誕生したネット上の仮想通貨だ。開発者は日本人・中本哲史氏で、欧米のハッカー集団が進化させたと言われている。現在のアプリは米国のソフト開発グループが更に改良し完成させたものだ。

ネット上で匿名取引されるビットコインはその動きが掌握しにくく、マネーロンダリングや麻薬取引に使われているので米財務省から警戒されている。ビットコインは現通貨のように紙幣や硬貨はない。使用者パソコンの専用アプリに、偽造や書き換え不可能な形で記録され、厳格なパスワードで管理されている。

価値変動は大きく投機性がある。先の英国青年も極めて安く手に入れて7.5億円まで高騰した。
2013年初めに1ビットコイン=13ドル台だったが、4月に266ドルに急騰した後すぐに70ドル台に急落した。ビットコインは流通総量がプログラムで決められているので、金融危機が起きれば、流通量に限りがある金やビットコインにマネーが集まると考えられている。

ビットコインによる決済はシンプルで一瞬で終わる。送金や為替に関する手数料は一切かからない。買い物は、まだ一部だがネットや現実の商店・レストランなどでスマホやパソコンを使って決済できる。

ビットコイン登録者数は現在、世界で57万人。米国人36%、英国人7%、中国人5%、日本人は約1650人と1%に満たない。その中で、中国人が一番熱心に投資していたが、2013年年末に中国政府の規制が入って半値まで暴落した。しかし、その数週間後に再び値上がり始めて元に戻った。そのように国家の強力な規制をかい潜って通用するのもビットコインの特徴だ。

使い方は指定銀行口座に、たとえば日本円を振り込むと、翌日からその額相当のビットコインをネット上などで使って商品の購入ができる。ビットコインの相場は刻々と変動している。2013年7月1日に1ビットコイン=9000円前後が、5日に6000円台まで下落して再度上昇した。余っているお金で運用するには良いが、リスキーで本気で入り込むと大やけどしそうだ。

国家の支配を受けないビットコインは現在の通貨体制や銀行の存在を危うくする。各国政府はその動向を警戒していたが、キプロスの通貨信用不安がきっかけに大きく一般化した。現在の流通規模は1兆円で、1年で100倍以上の値上がりをしている。容認しているのはドイツとシンガポール。米国とフランスは警告に留まり、自己責任で使うのは容認している。その他の国・日本は今検討中だ。

ビットコイン同様、今、世界で流通している通貨も総て仮想のものだ。発行した政府の保障が消えたら、ただの紙くずになってしまう。昔の金貨は政府の保障なしでも価値を保てた。しかし、今はお金の必要量なだけ金の絶対量はなく、金本位制に戻すのは不可能だ。

NHK NEWS WEB のキャスター橋本奈穂子は昔から好きだった。色白で可愛い顔をしているのに、硬派でどきりと鋭いことを言う。民放には、あれほど切れ味の良い女子アナはいない。

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夕富士。

金曜夜は仕事をしながらアニメ「おもひでぽろぽろ」を見た。ストーリーは頭に入らなかったが、断片的に田園風景が記憶に残っている。風景は半世紀前の旅先、磐越西線の夕暮れの車窓を思い出させた。

まだ蒸気機関車の時代で、田んぼの中に点在する農家から夕餉の煙りがたなびいていた。開け放った縁側から、暖かい電灯の光に包まれた食卓を囲む家族が見えた。「ああ、幸せな光景だ」と子供の頃の一家団欒が蘇ったが、すぐに遠ざかって消えた。

それから25年過ぎて絵描きに転職した。そして更に、NHK首都圏スペシャル「平成四半世紀・東京」に重なる25年が過ぎた。

番組では、ゲスト作家の林真理子と平野啓一郎も、Hanakoの編集長も、ただ25年の負の歴史をなぞるだけで、未来は何も指し示せなかった。成功した特殊な人たちをゲストに選ぶ必要はない。むしろ、バブル崩壊、リーマンショック、国内産業の空洞化と落ち続けて行く時代をギリギリで生き延びた市井の人たちの言葉が胸に響き、未来を指し示していた。

昭和の頃は大学を出た者が派遣の不安定な単純作業をさせられることは殆どなかったのだが、派遣切りに会った40代大卒男性は、社宅の即時退去を求められ、どん底に落ちていた。絶望して行き場を失った彼を救ったのは知らない人たちだった。彼は生活と心と二重に救われ、人と人との繋がりの大切さを知った。倒産した山一証券の元社員は、証券会社への再就職はせず、社会の役に立つ社会保険の仕事を選んだ。

一度底辺へ落ちた人たちを主体にすれば、番組は辿るべき未来を明確に示せたはずだ。バブル崩壊から激動の25年は、世界がこれから晒されることになる未知の問題を先取りしていた。その重要な25年をなぞるだけではもったいない。

番組最後に出た若者たちには未来を感じた。彼らが目指すのは収入の高さでも地位でもなく社会貢献を実感できる仕事で、健全な心を感じた。

彼らが仕事へ求める重要な要素の一つは面白さだ。
若者たちは耕作放棄された茶畑に注目していた。放置された茶は大きく成長する。その茶の木の新芽は良質で茶畑の茶の5倍10倍で売れ、そのお茶の花は化粧品メーカーが高く買ってくれた。彼らには禁欲的なボランティア感覚ではなく、実利を伴うワクワク感を感じた。この25年の意味は、物欲の虚しさへの反省が生み出した、そのような健全な若者たちにあると感じた。

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絵描きは経済の動きに敏感だ。それは、昔の炭坑でガス検知器代わりに飼われていたカナリアに似ている。ガス濃度が高まると、人が気づかない濃度でもカナリアは真っ先にぐったりして鳴かなくなる。炭坑夫はそれに気づいて避難することができた。

景気が頂上まで上り詰めてから絵は売れ始める。そして、景気が下降し始めると真っ先に絵は売れなくなる。だから、絵描きは経済に敏感なカナリアだと思っている。
世界中どこでも売れっ子作家は景気には関係ない。しかし、私程度の絵描きは普通より少し上の階層に支えられているので、景気に影響されやすい。

25年前、絵描きに転職した頃はバブルの余韻が残っていて、絵がとてもよく売れイラストの依頼も断るほどに来た。

その頃、下心があって若いとびっきりの美人たちとつき合っていた。
下心と言っても俗なそれとは違う。彼女たちは、弁護士、若い企業家、医師などと見合いしたと、よく話していた。だから、彼女たちは絶対に金持ちになると私は確信していた。
「貧乏になったら絵を持って行くから、黙って買ってね」
彼女たちにお願いすると、皆「必ず助けて上げる」と約束してくれた。
だから、零落したら、そうやって1年くらいはしのげると期待していた。

しかし、世の中は思い通りにいかないものだ。私がつき合った美しい女性たちはみんな情に篤く、夢ばかり追いかけてお金に縁のない男たちと結婚してしまった。中には水商売やモデルをしながら男を支えている者がいるくらいだ。だから、絵を買って欲しいとお願いできなくなってしまった。

S_m情に篤い彼女たちに母は似ていた。
昭和初期、母は友人の映画監督たちから女優にならないかと熱心に誘われたが、演劇の素地はなかったので固辞した。しかし、舞台美術や衣装制作の誘いなら喜んで受けていたはずだ。

母は美術の才能があり、手芸関係でいくつも受賞している。舞台も子供の頃から大好きで、晩年まで月に一度は必ず観に行っていた。もし、母が舞台美術を選んでいたら私は存在しなかった。

若い母は高望みができる立場にいたが、結局、どうしようもない父と結婚して私を生んだ。そして、人生の半ばまで、事業を起こしては失敗し借金を重ねる父に苦労させられた。

母の介護を始めた頃、車椅子を押す私に「どうしようもない人と結婚したばかりに、苦労かけてごめんね」と母が謝った。父がいなければ私は生まれていない訳で矛盾した話だ。
「結婚していなかったら俺はいないよ」と言うと「そうだったね」と母は明るく笑っていた。

母は末っ子の私に介護されて看取られるとは夢にも思っていなかったようだ。
「私は世界一幸せな年寄りだよ」
車椅子を押す私に母が言ったことがある。何と大仰なと思ったが、自分が老いてみると、その意味が痛いほどよくわかる。

物入れのCDを整理していると9年前、母の介護を始めて間もない頃に描いたパンフレットが出て来た。アメリカの男だけのバレー団・Grandiva の販売用パンフ。完全に忘れていた仕事で、いつもと違う試みが面白くて懐かしかった。

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コミカルな男性ダンサーたちをアクリル絵の具でパステル画風に描いた。

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上の絵を舞台を描いたケースに入れた表紙。

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裏表紙。男性であることが分かるように描いた。

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裏表紙に足を付け、組み立てて立てられる。
シューズに伸びる手は男性ダンサーの手。

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ニューヨークをダンサーたちの背景に描いた。全員男。


洗濯したセーターをベランダに干した。絵描きに転職前の裕福な頃に買ったセーターなので分厚く丈夫だ。重みで伸びないように、物干し竿を抱かせるように干した。

見上げると星空が見えた。冬の空は埃が少なく地上の光を反射しないので星がとてもよく見える。消滅したアイソン彗星が見えないかと、しばらく夜空を見上げていた。


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