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2014年2月24日 (月)

ソチオリンピックの熱い17日が終わった。そして、睡眠は時も死も超越させる。14年2月24日 

オリンピックが終わりようやく安眠できる。昨夜は閉会式を見ていた。テーマはロシアの芸術史を辿り、ソヴィエト以前の重厚なロシア文化の厚みに圧倒された。次の冬のオリンピックは韓国平昌だ。韓国はロシアのような近代文化は避けて、古代にITやKポップを絡ませた軽めのショーになりそうだ。

今回のフィギュアスケートはドラマチックだった。序曲は、佐村河内守(さむらごうちまもる)氏のゴースト桐朋学園大学非常勤講師の新垣隆氏の告白。彼の曲が高橋大輔の演技に使われているのが気になり、男子フィギュアスケートを、最初から総て見てしまった。おかげで、19歳の羽生結弦が金メタル快挙の瞬間を見ることができた。

その次はまさかの真央ちゃん16位発進。
しかし、翌日の絶望的なフリーで、3〜3.5回転を驚異的に8回成功させて、どん底から捨て身で這い上がった。これは最高のドラマだった。現在、私はどん底に追い込まれている。ともすればくじけそうになる私に、彼女は勇気を与えてくれた。この感動は日本人だけでなく、世界中に共感されたようだ。

閉会式のショーで、ロシア気鋭のピアニスト、デニス・マツーエフが登場して、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」を演奏した。これは真央ちゃんがフリーのBGMに使った曲だ。真央ちゃんが使う曲は早くから分かっていた訳で、偶然とは思えず、圧巻の演技が蘇った。

今回のドラマに登場した役者は実に多彩だった。真央ちゃんと王子様のような羽生結弦。悪役の森元総理に佐村河内氏。その影で陰翳深く脇を演じた新垣隆氏。これだけ役者の揃ったドラマは滅多にない。

フィギュアスケート・エキシビションでは、アイスダンス銀メタルのカナダ代表が最高に妖艶だった。アイスダンスはこのドラマの背景として、最高に素晴らしかった。関東地方史上最大の積雪と17日間のドラマは、真央ちゃんの涙とともに生涯記憶に残りそうだ。

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例年、この辺りは最後まで雪が残る。

散歩に出る前に、テレビ東京の午後ロードで "ハード・トゥ・キル・7年の眠りから覚め復讐する男"の冒頭だけ見た。何度か見た映画なのでほぼストーリーは頭にある。映画は24年前の1990年制作。スティーヴン・セガールがとても若くてスリムでアクションに切れがあった。その頃の日本は、まだバブルの余韻が残っていて、今より景気は良かった。

・・・セガール扮する刑事ストームは下院議員が上院議員暗殺をギャングに依頼している現場のビデオ撮影に成功する。しかし、警察内部に下院議員に繋がる悪徳警官がいて、隠蔽のためストーム一家は襲撃に遭い、妻は射殺され一人息子は行方不明になった。そしてストームは瀕死の重傷を負って病院に運び込まれ意識不明のまま病床で7年を過ごした。

彼は奇跡的に目覚めたが、再度、命を狙われることになった。ストームは女医アンディに助けられ、病院からの脱出した。

アンディの知人宅で体力回復した彼は警察を退職していた旧友の助けで復讐に立ち上がる。いつもの痛快アクションで彼は復讐を遂げ、密かに生きていた一人息子と再会した・・・

ストームの植物状態から、先日のNHKのサイエンスのクイズ番組を思い出した。
クイズ番組のテーマは睡眠についてだった。

植物状態と睡眠の違いは興味深い。自動車に例えれば、共にアイドリングしている状態だ。違いは眠りではすぐに目覚めて行動に移れるが、植物状態では行動を命じる回路が遮断され目覚めることはない。

クイズ番組では何故眠りが必要なのか問うていた。眠りは脳の休養の為に必要などと様々言われているが、ゲストの生理学者は、なぜ睡眠が必要なのか、本当はよく分かっていない、と話した。

それに対して、ゲストの若い研究者が面白いことを言った。
彼によると、眠っているのが生物の普通の姿で、起きていることが特別のことだと言う。それについては、2月14日に絶食6年目に亡くなったダイオウグソクムシで納得できる。ダイオウグソクムシは6年間殆ど眠って過ごしていたが、それこそが彼の生きている自然な姿だった。

動物は眠っている普通の姿から、栄養補給、危険回避、生殖のために目覚め、行動に移る。もし、本能的な欲求が不要なら目覚める必要はない。眠っていては、生き甲斐とか生きる喜びとは無縁だが、視点を変えると眠りは極めて悟りの状態に近い。悟りは命をアイドリングさせなにがら、感覚を微かに研ぎすませている状態だ。

眠っている時と起きている時、どちらが人にとって幸せなのか、結論は難しい。若く元気な頃は間違いなく起きている時が楽しくて、寝るのが嫌なくらいだ。しかし、重病に陥ったり、老いたりすると、目覚めているのは苦痛で、ひたすら眠りに憧れる。そして、殆どの死において眠りは最後の姿となる。

セガールの映画に戻ると、彼の7年の植物状態の間、時間は止まっていた。言い換えると、彼は時間も死も超越して永遠に生きていた。それを思うと、死の前の眠りは人に与えられた最後の救いなのかもしれない。


大脳がダメージを受けても生命維持装置のある脳の原始的な部分が生きていれば植物状態は長く続く。生きる上で脳の原始的な部分は大脳より優位にある。

しかし、生命維持に対して大脳の力が逆転することがある。例えば、インデアンの老人は死期を悟り「今日は死ぬのに良い日だ」と草原へ一人腰を下ろして、死を迎える。その真偽については、母を看取ってから本当だと思うようになった。祖母は5月1日、父は6月1日に死んだ。母が元気な頃、1日に死んでくれたら5、6、7月とぞろ目になって覚えやすいと、母とよく話していた。

そして母は、6月に入ってから急速に弱り7月1日に死んだ。今、母は7月1日に死のうと決意していたと思っている。加えて、私が外出している時や眠っている時を避け、私の傍らで死のうと決意していたはずだ。だから、私は母の最後の吐息と最後の心音を聞くことができた。看取りはとても哀しいことだが、それができたことは、母も私も幸せだったと思っている。その所為か母の死に顔は「どお、7月1日に死んでみせたでしょう」と威張っているように見えた。

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緑道公園のロウバイ。

春が間近に迫っているので、床屋さんへ行った。
「10年後もこうやって頭をかってもらえるかな」
頭を刈ってもらいながら同年代の床屋さんと話した。
「10年後は危ないね。手が震えてカミソリが使えないかもしれないよ」
彼は自信がないと話した。
「分かっているけど、歳ばっかりはどうしようもないね」
いつもと同じ話題を二人で繰り返していた。

最近、同世代の者との会話に必ず老後と死が話題になる。そうなるのは、皆、時間の過ぎる早さを実感しているからだ。10年前を振り返ると、昨日のことのように思える。多分、死を間近に控えた時、一生は一瞬で過ぎたと思うはずだ。

一瞬で過ぎたとしても、良い人生だったと思っている。
散歩帰り、まだ寒いが何となく陽射しが暖かかった。
直ぐに春が来て桜が咲く。やはり生きているのは素晴らしい。


国会図書館の膨大な書籍の電子配信が始まった。学生・研究者・大学図書館などに限定されているのは不十分で、最初から、いつでも誰でも受信できる一般公開を目指すべきだった。そのことで、日本の文化水準は著しく上げられるはずで残念だ。

以前記入した米国の15歳の少年は一般公開されている大学や研究機関の研究資料だけで、画期的な膵臓がん検査紙を開発した。アジアでは、日本は膨大な科学論文や資料が母国語で読める稀な国だ。日本語の膨大な資料を一般公開すれば、日本からも10代の研究者が生まれる可能性があった。

日本の大学生の就職内定率は上がったが、世界の失業率は上昇している。殊に中国や南アジアの悪化が目立つ。経済が拡大しているのに失業率が上昇するのは経済システムが破綻へ向かっている序曲かもしれない。

その根底に大量生産の功罪がある。中国では生産力が増大しているのに失業者が増えていて、大卒の就職率は3割程度しかない。日本などの先進国では失業者はサービス業へ向かうが、中国では一般の購買力がまだ弱く、その図式は難しい。


先週のEテレではビーバーを取り上げていた。
ビーバーは人以外で唯一土木工事をする動物だ。その勤勉さは驚異的で夜昼休みなく木と泥でダムを作る。彼らは一夜で畑や道路を水没させてしまうので、農園主たちはダイナマイトでビーバーダムを爆破するが、一夜で修復してしまう。

ビーバーのその勤勉さを利用して、荒れ地化した環境を再生させる試みがある。その方法はとてもユニークだ。ビーバーは水音がすると、その場所に延々と木を積み上げ水底の泥で目張りをする習性がある。そこで、せせらぎに杭を立てて水音がするようにしておくと、そこに立派なダムを無報酬で造ってくれる。ダムができると、荒れ地に緑が回復して、サケが戻って来る。

そう言えば、ディズニーランドのクリッターランドではビーバーが作ったダムが決壊する話が入っていた。ビーバーは陸上では歩くのがとても下手で、オオカミなどに簡単に捕食されてしまう。性格は温和で、番組では簡単に人に捕まり、可愛い顔でだっこされていた。

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