不安で踏ん切りが付かない時に「とりあえず・・・」の接頭語は著効あり。そして、漢方原料の高騰。14年4月16日
寒くも暑くもなく新緑が溢れ、本当に良い季節になった。少々憂鬱なことがあっても、外を歩いていると消えてしまう。
湿度は低く、軽井沢では4%と観測史上最小湿度記録になった。これはサハラ砂漠よりずっと低い。
もっとも、日本の冬の湿度は砂漠より低い。
砂漠の大気には意外に多く水分が含まれている。
南アフリカのカラハリ砂漠の甲虫には空気中の水分を足や羽に結露させて水分補給しているものがいる。その仕組みを元に、つぼめた傘を逆さに立てたような形状の装置で、大気中の水を集める装置を最近の科学ニュースで見た。砂漠の住人が飲料水をその装置で補えるほどに、砂漠の大気中水分は多いようだ。
好天で空気は乾燥しているが杉花粉は少ない。早速、窓とベランダのガラス戸を開けておいた。
先日、転んで激しく打った膝小僧の怪我が治らなかった。
切り傷だけでなく、直径3センチ程皮が剥けている。かさぶたができれば直ぐに治るのだが、膝小僧はよく動く場所なので、すぐに血がにじみズボンに貼り付く。対策として、多めに紫雲膏を塗って、カーゼをあて絆創膏で止めた。今まで、大抵の外傷はそれで治してきた。
紫雲膏は江戸時代に世界初の全身麻酔手術を成功させた名医・華岡青洲が、中国漢方にあった膏薬を改良進化させたものだ。火傷の特効薬で、虫さされでも外傷でも皮膚トラブル全般に効く。
常備薬の紫雲膏は20年前のもの。絆創膏は買ってから5,6年は経っている。絆創膏は古過ぎて、貼った箇所が三日ほどでかぶれてしまった。粘着部分が酸化し変質しているようだ。
直ぐに紫雲膏を買い変え、傷口のガーゼを伸縮包帯を巻いて、古い絆創膏は包帯止めに使った。しかし、痒みは一向に治まらない。どうやら古い絆創膏から出ている揮発成分でアレルギーが進行しているようだ。すぐに、包帯止めも新しい絆創膏に代えると痒みは治まった。
新しい紫雲膏のおかげで傷には肉芽が盛り上がり治って来た。包帯なしで散歩できるのは快適でありがたい。
赤羽台の新緑。
赤い花はハナミズキ。桜の次に赤羽に多い花だ。
「とりあえずビール」
誰もが飲み屋でまず口にする言葉だ。
注文は、ビールを飲みながらゆっくり考えるから、とりあえず、と言った意味だ。
「とりあえず働いて・・・」
「とりあえず、今月分だけでも支払って・・・」
「とりあえず、コーヒーでも飲みながら・・・」
そのように、この言葉は日常的に重宝されている。
晩年の母は、あちこちの不調に苦しんだ。
「とりあえず、食欲不振だけでも治してもらえませんか」
病院に行くと、母は医師にそんなことを頼んでいた。食欲が回復したとしても、疲労感や老いが解決する訳ではないが、次々と起きる問題に「とりあえず」を付けると、死を受け入れるまでのクッションくらいの役に立つ。
今の私も「とりあえず生活費を稼いで他の問題はゆっくり考えよう」と思っている。しかし、仮に生活を立て直せたとしても「とりあえず」に続く言葉は次々と生み出され、問題が解決しなくても、その大雑把さがとても良い。
自殺を思いとどめさせる時「とりあえず、死ぬのは止めてみようか・・・」と言うと意外に効果があると言う。
「生きていれば良いことがある」とか
「死んだら皆が悲しむよ」とか、理詰めに説得しても効果は薄い。
しかし、「とりあえず今は死ぬのを止めて、後で考えよう」と大雑把に取り繕うと巧く行くようだ。
そのように人生は大雑把なものだが、最期だけは「とりあえず生き返ってみたい」とはいかない。だから「とりあえず死んでみようか」とつぶやけば、楽に死ねそうな気がする。
以前見た、悩み解決の番組で、悩んでいることを客観視すると気持ちが軽くなると言っていた。
例えば失業の不安に苛まれている時に、
「失業するかもしれない、と思った」とか
「失業しても、まぁいいか」と言った具合だ。
「とりあえず、失業してもいいか」も、効果がある気がする。
困った時や踏ん切りが付かない時は、その問題点と繋げて、
「とりあえず・・・」「・・・と思った」「・・・しても、まぁいいか」
とつぶやいてみると、行動しやすく結果も良いようだ。
この斜面は、彼の小さなテリトリーだ。
最近毎日のように、ここで出会う。
漢方薬の原料が猛烈に高騰している。それは2割3割ではなく2倍以上だ。原因は中国での需要が激増しているからだ。先日、それに関した日経ニュースがあった。
記者が中国一の大気汚染の町、河北省石家荘を訪ねた時、他の大都市と同じように駅前には高層ビルが林立していたが、PM2.5の濃霧のために200メートル先は全く見えなかった。
そんな建築現場で、記者は四川省から来た建設労働者にインタビューした。
「会社がPM2.5対策の漢方薬をたくさんくれているので、何とか働ける」
詳しく聞くと、毎週、多くの作業員が大気汚染で倒れているので、漢方薬は必須のようだ。
石家荘での取材から記者が上海に戻ると空気がおいしいと感じた。
石家荘のPM2.5濃度は1立方メートル・600マイクログラム。上海は100マイクログラム前後だ。100マイクログラムでも、日本と比べると異常な劣悪さだが、その6倍の石家荘の汚染は殺人的だ。
中国の危険な環境は大気だけではない。
食物総てが安心して食べられない。昔の中国は不潔さに気を付けておけば良かったが、今は食材そのものが危なくて食べられなくなった。
私も以前、中国産の安い殻付き落花生を食べて酷い頭痛と吐き気を起こしたことがある。その時は、体調が悪かったからだと思った。しかし、数日、間を置いて食べても全く同じ症状が出たので、農薬汚染を考え残りは捨てた。
今の日本の検査体勢は厳しいので、そのような汚染はない。しかし、中国では総ての食品がそのように汚染していると注意すべきだ。上記の記者は、異常に青々とした野菜や妙に白っぽい野菜などは、化学薬品の臭みがないか確かめながら口にすると言う。
今、中国人が最大に警戒するのはモヤシだ。根がなくて、茎が太く白すぎるモヤシは、ほぼ確実に禁止薬剤を添加して栽培されているので、専用の洗剤にしばらく漬けて食べるのが常識になっている。
他の日経ニュースで、水道水源に使われる河川に大量の豚の死体が捨てられていたと報じていた。それらは病死した豚を専門に買い取っていた業者が政府規制で一時的に休業したので、処分に困った養豚業者たちが捨てたものだ。
業者は病死豚をタダ同然で買い取ってハム、ソーセージ、チャーシューなどに加工して大儲けしていた。だから、野菜だけでなく、肉類も気持ちが悪くて食べられないと記事にあった。そのような劣悪環境に晒されている中国人は身を守るのために漢方薬を常用するので需要が急増し、輸入漢方薬原料が高騰した。
・・・日本で漢方と言われるものは、中国由来の診断技術や処方を日本独自に改良したものだ。明治初期に来日した西洋の医学者は、幕末の日本の医療水準は世界最高だったと記述している。明治維新後、その診断技術や処方の大半を西欧医学に置き換えたのは大きな損失だった。
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