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2014年5月25日 (日)

軽いぎっくり腰のおかげで床屋へ行き、皮膚科で凍結治療をした。14年5月25日

「幸せは、ため息つくたび逃げて行く」
よく分かっているのに、気がつくと、ため息をついている。原因は老化による失敗が多いからだ。

ベランダの植木用の水ポリタンクを浴室で満タンにして運んでいた時のことだ。先日から始めている断捨離のため、部屋は様々なものが散乱していた。手間を惜しまず、ちょっと片付けて行けば良かったのだが、空き箱や画材の間を縫うように、重いポリタンクを中腰で、提灯を捧げるように運んでいたら、ギクリと激痛が走った。

「しまった! ぎっくり腰だ」
この腰の激痛は始めての経験だ。痛みをこらえながら仕事部屋へ戻り、常備薬の消炎鎮痛剤フェルビナクのスティックを腰にたっぷりと擦り込んだ。幸いにも、一人で立ったり寝たりはできる。しかし、前かがみになると激痛が走るので、床のものを拾う時は背中を直立したまま腰を下ろす。洗面所で顔を洗う時も、椅子に腰掛けないと無理だ。

痛みが憂鬱で、仕事も片付けものもする気がなくなって外出した。痛みはあるが、背筋を伸ばしておけば、歩くことはできる。まず、床屋さんへ行って、伸び過ぎた頭髪を刈ってもらった。すっきりしてから、赤羽駅東口近くの皮膚科へ行って、背中の気になっている隆起を凍結除去してもらうことにした。それは3ミリ程の老人性の柔らかい疣贅だが、最近痒みを感じるのが気になっていた。

服に覆われていて紫外線に当たらない背中に異変が発生するのは、若い頃に思いっきり日焼けに励んだからだ。当時は真っ黒に日焼けするのが健康法の一つで、夏休みになると子供たちは南国の砂浜で思い切り日光浴をした。

皮膚科は2年ぶりだ。以前より大繁盛していて2時間待ちの整理券を渡された。待合室に座って待つ気にはなれず、直ぐにアメ横へ向かった。電車で往復40分。向こうで買い物をして帰る頃に私の順番が来ているはずだ。

アメ横のいつものカワチヤは定休日だつたので、「仁木の菓子」でアーモンド600g1100円を二袋と徳用とろろ昆布、計2850円を買った。アーモンドは主産地のカルフォルニア大干魃で高騰していた。

それから、のんびりと上野駅へ引っ返し、赤羽到着は診察予定時刻の40分前。まだ時間は余っている。駅前広場でストリートミュージシャンの ♪とても寂しくて、哀しくて辛い♪ と言った若い苦悩の歌を聴きながら、キオスクで買った0.5リットルのお茶をゆっくりと飲み干した。それから皮膚科に戻ると、待っている患者は5人と丁度良かった。

待っていて奇異に思ったのは、患者の殆どが小学生の女の子と付き添いの母親だったことだ。少女たちに皮膚トラブルが急増しているのは、極端な清潔志向の所為かもしれない。

人の口腔、鼻腔、胃、腸、皮膚、膣など全身に共存している常在細菌の数は人の細胞60兆個に対し1千兆個に及ぶ。常在細菌は人を有害な菌などから守る善玉菌のビフィビス菌などを代表として、とても重要な働きをしている。行き過ぎた清潔志向で善玉菌のバランスが壊れると、様々なトラブルを起こす。少女たちの皮膚疾患はそれが原因かもしれない。

それに関し、大便移植による腸疾患治療の医学ニュースを思い出す。
腸内粘膜を顕微鏡で見ると様々な細菌群がお花畑のように見える。それらの細菌たちは消化されない食物から栄養素を作ったり、感染症を防いだり、有用な働きをしている。ただし、善玉菌を1種類だけ取りだして増やすことは難しく、様々な細菌がバランス良くいて、善玉菌は増加してくれる。

そこで、健康な人の大便を病気の人に移せば、難治性の腸疾患の治療ができるのではないか、の発想が生まれた。実際は人の大便を直接に注入するのではなく、生理食塩水に溶かして濾過したものを使う。従来の治療法より明らかに治癒効果があり、メタボへの効果も期待されているようだ。

そんなことを思い出しているうちに、すぐに私の順番が来た。
この皮膚科は、開業して患者が殆どいなかった頃からの付き合いだ。
「久しぶりですね」
診察室で医師は笑顔で迎えてくれた。
「いつもの凍結、お願いします」
Tシャツを脱いで背中を見せると「小さいのも取っておきましょう」と液体窒素で3,4箇所を凍結してくれた。軽い痛みと共に「ジュー」と液体窒素が発砲する音が聞こえ爽快だった。皮膚の気になる変化は早めに手を打っておくと皮膚がんを防止できる。次に皮膚科へ行くのは2年後辺りだろう。治療費は初診料と合わせて1200円と安かった。


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帰り道の空に入道雲が見えた。
途中、愛犬を連れた知り合いに出会って立ち話をしていると、空が急速に暗くなってポツポツと雨粒が落ちて来た。家までは15分程の地点。ザーッと来てもさして濡れないだろう思ったのが甘かった。たちまちバケツをぶちまける程の豪雨に坂道が沢になっていた。

下着から靴の中までびしょ濡れになり、帰宅した時はアーモンドの袋を入れた買い物袋は雨水で一杯になっていた。着ていたものは総て洗濯機に放り込んで、熱いシャワーを浴びた。その時、出がけに俯くのも辛かった腰痛が軽くなっているのに気づいた。自然の猛威の刺激で、眠っていた自然治癒力が目覚めたのかもしれない。夜のニュースでは、その日の豪雨は場所によっては霰も交ざっていた。

断捨離は、腰痛が残っているので中断のままだ。腰痛についてネットで調べると、痛みを起こさない程度の軽い運動は治療効果があるとあった。それで、せっせと歩いている。確かに、歩いた後は腰痛が軽くなっている。明日辺りから少しずつ断捨離は再開できるだろう。


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この1年、散歩コースの小さな公園の、この芝生のベンチでお茶を飲むのが最高の楽しみだ。今日も腰掛けて魔法瓶に入れて来た熱いブラックコーヒーをゆっくりと飲んだ。

私はこの手入れの行き届かない芝生が大好きだ。今はイネ科の植物が実をつけ枯れ始めている。クローバーは白い花が満開。芝生の右向こうにはシデノキの巨木。その梢はゆったりと風に揺れ、その上を白い雲が流れて行く。この一瞬に、生きている喜びが凝縮されているように感じる。

世間は成功とか達成とかのイベントを重視し過ぎる。大切なのはイベントとイベントの間を埋める、空を見上げているような平凡な時間かもしれない。1週間先のことは考えないが、多分、明日は今日と同じ心地よさを味わえると思っている。

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絵描きに転向して直ぐの頃、ダイエーブランドのチョコポッキーのパッケージ用に、エアブラシは使わず面相筆だけで描いた。絵は売れなかったので、この仕事には助けられた。

当時の本家グリコのパッケージはマッチ箱の中身みたいに、ポッキーを整然と並べて描いてあったが、私のイラストは宙にランダムに浮いているように描いた。

今ならCGで自在に描けるが、フリーハンドでは難しい作業だった。スーパーリアルのイラストは正確に描くと魅力がなくなる。だから現実にはあり得ない影をデフォルメして描いたりする。白地は昔は印刷所の技術者が手作業で丹念に白く抜いたが、今はホトショップの塗りつぶしツールで簡単にできる。

このイラストはポッキーのパッケージとして業界で高評価され、これ以降。ポッキーのパッケージイラストはこのようなランダムな形に変わった。


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描いたのは20歳頃だ。
生活に疲れ切った裸婦のモデルさんだった。
視線が定まらない顔が印象的でアップに描いた。

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