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2014年6月 1日 (日)

お台場の海に四季劇場のミュージカル。根無し草に一時の楽しみ。14年6月1日

昨日は劇団四季「ウィキッド」の招待日だった。同行する版画家の菊池氏と金融関係のHさんと、新橋駅で早めに待ち合わせをした。暑いが好天で心地良い。二人は先に到着して、ゆりかもめ新橋駅前のベンチで待っていた。

すぐにゆりかもめに乗車して日の出へ向かった。車中で菊池氏が500円を入れた小銭入れをくれた。以前も貰ったがまだ殆ど傷んでいない。
「前に貰ったのが後5年は使えるから、新しいのを使い潰す前に俺の寿命は尽きるよ」
私は礼を言った。
「100歳まで長生きできるから、そんなことはならないよ」
二人は笑っていた。

今はいているジーパンはどれも30年前に買ったものだ。だから、新しく買ったジーパンはどれも一生ものになると思っている。

若い乗客たちのミニスカートに生足がまぶしい。郊外暮らしの二人には、この光景や沿線の都会風景が新鮮なようだ。日の出で下車して、お台場行きの船着き場へ向かった。途中の駐車場に観光バスが沢山止まっていて、台湾からの観光客が多勢下車して東京湾周航のシンフォニー乗り場へ向かっていた。

目的のお台場行きは到着するとすぐに出航した。こちらの乗客も台湾からの観光客が多かった。連絡船は松本零士デザインの流線型の未来型だが、屋上デッキの手摺はグラグラしていて心許ない。松本零士のアニメの台詞がスビーカーから流れているのも、静かに海景色を楽しみたい大人たちには余計なサービスだった。

しかし、東京湾岸風景は最高に素晴らしかった。南のレインボー・ブリッジ、に湾岸に林立するコンテナ積み込み用のキリン型のクレーン。隅田川河口方面の高層ビル。その無国籍の広大な風景にはいつも感動する。

お台場から、人口砂浜をのんびり歩いてお台場海浜公園駅へ向かった。浜辺に多いオリーブは花が終わったばかりだ。真夏の強い陽射しが照りつける砂浜や芝生では若者たちが日光浴をしていた。波打ち際では早くも子供たちが楽しそうに水遊びしている。紫外線が強く、帽子なしのHさんは紅潮していて、日に焼けそうだった。

公園から住宅地に入った。ビル一階のレストランのオープンスペースで結婚式をしていた。モノトーンを主調にした都会的な趣向がお洒落で、飛び入り参加したいような雰囲気だった。

再び、ゆりかもめに乗って汐留駅へ引っ返した。駅から高架の歩道を少し歩くと電通四季劇場「海」への下り階段があった。開演20分前で、劇場入り口には長い列が出来ていた。受付で1年ぶりに会う四季の関係者と挨拶を交わし、劇場に入ると冷房がよく効いていた。

上演の「ウイキッド」は世界で3600万人が観た大ヒットミュージカルだ。「オズの魔法使い」をまったく別の形に解釈した物語で、ドロシーは直接登場しない。悪い魔女エルファバは生まれながらの緑の肌に苦悩し、陰翳のある頭の良い自立した女性として描かれていた。良い魔女のグリンダは単純に良い魔女ではなく、我がまま気ままの自由なキャラクターで、この天衣無縫の可笑しさが、ミュージカルを大成功させた要因かもしれない。

「ウイキッド」は「ライオンキング」や「美女と野獣」などのファンタジーとはひと味違っている。運命に立ち向かう魔女エルファバの姿は、大ヒット中の「アナと雪の女王」の、触れたものを凍らせる魔力を持つ王女・エルサの苦悩と通じるものがあった。


ミュージカルの見事な歌唱力に初老と熟年の男三人は圧倒された。観終えて外へ出ると、ビルの間のトワイライトの空が心に染み入った。

お台場の海にミュージカルと、非日常の空間を楽しんだ1日を噛み締めながら銀座へ向かった。山手線に沿った高速高架下のコリドー街は、近年、手頃なグルメ街に変身している。三人で店を見定めながらのんびり歩いて、お洒落なしつらえのタイ料理屋へ入った。

従業員はタイの人たちで、笑顔の接客が感じ良かった。タイビールを飲みながら辛いタイ料理が美味しい。最近、生活に追われて、のんびり楽しむことが少なく、男三人での気を使わない飲食はとても楽しかった。代金は菊池氏とHさんが負担してくれて、とても助かった。二人に感謝。

二人と別れて北赤羽着は12時5分前。閉店間際のスーパー・ライフに飛び込み、仏壇の供物にする瓜と花と神棚のサカキを買った。明けて6月1日は父の命日。生前の父の借金の始末には大変な思いをさせられたが、死別して30年過ぎて、母と同じように父もまた大切な思い出に変わった。深夜、仏壇に酒と供物を上げ父の冥福を祈った。


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父のデスマスク。通夜をしながら描いた1枚だ。父は1ヶ月以上意識がなく、ほとんど絶食状態で別人のように痩せてしまった。当時は今のように高度輸液は一般的でなく、在宅での摂取カロリーはブドウ糖の点滴だけだった。しかし、父は人一倍心肺機能が強く、なかなか死ななかった。

今日は、人形の「お雪さん」の衣替えをした。それから、散歩へ出て、公園の日陰の芝生に腰を下ろし、30分程かけて熱いお茶を飲んだ。

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昔の絵「白昼夢」。
40年くらい昔、谷崎潤一郎の「白昼夢」が映画化された。その時観た歯科診療所でのエロチックな夢想の記憶を元に描いた。

最近、自分が根無し草に思えて、空虚感に囚われることが多い。
優しい家族に恵まれた友人にそのことを話すと
「空虚なのは俺も同じだ。それは歳を取って行く者の宿命だろう」と応えていた。

目の前の生活の問題を解決できたとしても、この根無し草の虚無感は生涯消えるものではない。昨日のお台場の海にミュージカル。いつもの散歩で感じる満足感。それが一時の喜びであっても幸せなことかもしれない。


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午後1時過ぎの猛暑の中、散歩していると救急車が病院への坂道を上って行った。搬送患者は熱中症かもしれない。昨日も暑く、二人が熱中症で亡くなった。

今日は今年最高気温。練馬は34.8度と猛暑日に肉薄していた。この高気温は地球温暖化と結びつけられているが、実際は違う。先日のバークレー白熱教室でカリフォルニア大のリチャード・ムラー教授は「この異常高温は単なる都市化現象で、過去の気温と比較すべきではない」と科学的に説明していた。

確かに東京の観測地は昔の環境と違った。今はビルに囲まれ、排気ガスや冷房の排熱に覆われ高温になる条件が揃っている。比較するなら、郊外の似た地域の観測点を比較すべきだ。ちなみに、今日の千葉辺りの最高気温は30度前後。この地域は戦前東京の観測環境に近く、比較してみると大して温暖化していないことが分かる。

リチャード・ムラー教授は、世間で言われている程に地球温暖化は起きていないと話していた。ただし、中国などが今の増加率で野方図に炭酸ガスを排出し続ければ、地球が危険領域に入るのは間違いなさそうだ。


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公園の木陰で老人三人がアコーデオンの演奏をしていた。曲目は「故郷」。この曲をアコーデオンで聞くと、懐かしくて切なくなる。

今日は府中競馬場でのダービー。バドックでの馬体を見ながら解説者が、汗をかいている馬は暑さの調整が巧く行っているので元気だと話していた。馬券を買ったことはないが、手を抜かず一心に疾走する馬たちを見るのは大好きだ。

ダービー疾走前に、TOKIOのボーカリスト長瀬智也が、気が抜けたサイダーみたいなヘロヘロの君が代を独唱していた。国歌は朗々と歌い上げる実力派が良い。米国でのビックイベントで登場する国歌独唱はどれも抜群の歌唱力で感動させられる。日本には力のある歌手が沢山いるのに、何故にTOKIOを選んだのか理解に苦しむ。

優勝は横山騎手のワンアンドオンリー。最終コーナーから直線で抜け出しを図る1番人気イスラボニータを3/4馬身抑えて優勝した。奇しくも、貴賓席の皇太子さまと、横山騎手とワンアンドオンリーの誕生日は同じ2月23日だとアナウンサーが話していた。


経済ニュースで、ホッカイロやアイスノンの白元の倒産を報じていた。民事再生法が適用されるので、製品は存続するだろうが、両製品を母が長年愛用していたので一抹の寂しさを覚えた。


日曜午後の傍らのテレビ、TBS「生き物にサンキュー」で蟻を取り上げていた。
この手の科学番組はEテレと比べると民放はとても劣悪だ。ゲストの蟻の専門家が「サムライアリはヤマクロアリの巣に侵入して繭を奪って来て、孵化したクロアリを奴隷にして働かせる」と、とても面白い話をしていた。すると、出演者の薬丸裕英が長過ぎると話の腰を折って止めさせた。その専門家が他にも面白い話をするとすぐに、出演者たちが中断させる。限られた番組時間を考慮してそうしているとは思えない。なぜなら、内輪受けの下らない出演者同士の"いじり"はダラダラ続けていた。これは制作側のセンスのなさによるものだろう。


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