世界の著名人にシャンプー・石鹸なしの洗い方が普及。そして、タカタ製エアバッグのリコールの遠因。14年11月27日
シャンプーも石鹸も使わない体の洗い方が、No Poo (No Shampoo の略)として、世界中のスターや著名人たちが実践している。日本ではタモリ氏や福山雅治氏が行っていることで知られている。
かく言う私は30数年前から実践している。きっかけは頑固な湿疹に悩まされたからだった。
30代まで、夏になるとひどい湿疹に悩まされた。皮膚科に通院、薬用石鹸、ぬか袋、アレルギーに効く食品と、できる限りの治療を試みたが一向に良くならなかった。
そんな時、皮膚科の専門書に、昭和20年代の占領時代の進駐軍兵士の湿疹についての記述があった。当時、米軍兵士に湿疹が多発し、それを日本人医学者が調べたものだ。
原因はすぐに判明した。それは米軍兵士たちが本国同様にバスタブに石鹸を放り込む入浴方法を行っていたからだ。
バスタブのお湯に石鹸を入れるのは、米国の水は脱脂力の弱い硬水が多く、大量の石鹸を使わないと脂汚れが落ちないからだ。その点、日本の水は軟水で脱脂力が強く、その上に大量の石鹸を使ったので皮膚を守っている皮脂まで抜けてしまいトラブルが起きた。その調査結果を元に、担当医師が米国式入浴をやめさせると湿疹はすぐに治った。
それを知ってから思い切って石鹸を止めてみた。すると、いつの間にか湿疹から解放されていた。後年、母にも石鹸なしを薦めた。母は死ぬまで石鹸を使わなかったので、老人特有の掻痒症とは無縁だった。
母の介護を始めた頃のことだ。
「千代野さんの肌は張りがあって、若い人みたいにシャワーの水を弾きますね」
入浴介助をしていたヘルバーが母をほめた。
それは石鹸を使わなかったので、健康な皮脂を保っていたからだ。
とは言っても、機械油などの頑固な汚れは石鹸で落としている。
しかし、普通の体の汚れはお湯だけで十分に落ちる。プールに長く入っていると、皮膚が突っ張る感じがする。あれは皮脂が抜けすぎた結果だ。お湯だけで洗った後のべたつき感は皮膚本来の健康な状態で、乾けばサラサラと心地よくなる。キュッキュッと感じるまで石鹸で洗っては皮脂が抜け過ぎて、皮膚の弱い人はすぐに皮膚疾患を起こしてしまう。
そんな私でも洗髪は様々なシャンプーを使っていた。しかし、頭皮のフケが、どのメーカーのシャンプーで洗っても治らない。それで思い切り、今年初めからシャンプーをやめてみた。すると、不思議なことに一週間ほどでフケがまったく消え、痒みもなくなった。カサカサで切れやすかった頭髪も艶やかで腰が強くなった。どうやら、頭髪が弱くなったのとフケの原因はシャンプーにあったようだ。
Eテレの頭髪ケア番組でCMの頭髪モデルが、シャンプーは頭皮に付かないように気をつけ、髪の毛だけ洗う、と話していた。シャンプーは頭皮に良くないからと彼女は説明した。
シャンプーをやめて、みんなが一番心配するのはフケと匂いだ。
匂いについては最初の頃、お湯で洗っていると、お湯に溶け出た皮脂の嫌な匂いを感じた。それが2ケ月後あたりから余分な皮脂が減り、匂いはなくなった。
頭皮の皮脂は抜きすぎると体が危機感を感じ、却って多量に分泌されてしまう。必要以上に皮脂を洗い落とさなくなってから、分泌が正常化したようだ。
しかし、シャンプーを止めるのは勇気がいる。
初めはシャンプーの間隔を少しづつ伸ばして行き、お湯洗いの期間を延ばして行くと自信を持って止められる。お湯だけ洗いの目安は、流れ落ちるお湯から皮脂の匂いが消えれば汚れは落ちている。お湯だけだと、シャワーを浴びる都度、何度洗っても頭皮や髪を傷めない。
シャンプーを使っている頃は頭皮がいつも赤くなっていたが、止めてから健康な肌色に変わりフケも出なくなった。どうやら、私のフケと痒みは、シャンプーによるアレルギー反応が原因だったようだ。
ヘアクリームは水落ちのよい安くてシンプルな缶入りのハンドクリームを使っている。上記の頭髪ケアの番組で、髪の毛は皮膚と同じ組成なのでハンドクリームがいいとゲストの医師が話していた。
結果はサラサラしていて実に心地よい。ハードに決めたい人は、ヘアクリームを地肌につけないように使えば問題ない。
霧ヶ丘団地の黄葉。
世界にはまったく体を洗わない民族がいる。今は変わったと思うが、昔のチベットでは体を洗うと病気になると信じられていた。当時の探検家の記述に、従者のチベット人を石鹸で洗わせたら、本当に病気になったとあった。チベットは極端な乾燥地なので、皮膚の皮脂が抜けると病気になってしまうようだ。
現地での体の汚れ対策は、手の場合は、裸麦の麦こがし=ツアンパを指でバター茶で練って食べる時に自動的に洗い落とされる。
体の汚れは、帽子の中にバターの塊を置いて、それが溶けて頭頂から全身に行き渡り、汚れと混ざって衣服に吸収される。汚れた衣服は滅多に洗濯はしないが、寒い乾燥地なので、さほど気にはならないようだ。
秋色が深くなった、住まい下の荒川河川敷。
年末に選挙らしいがまったく実感がない。と言うより、どうして今選挙なのか、さっぱり分からない。野党は安倍政権は経済政策を失敗したと言っているが、野党に変わったら景気が良くなるとは絶対に思えない。
アベノミクス効果は株価など限定的で何となく切れ味が悪い。絵描きと主婦を兼業している身としての景気実感は、絵は全く売れず、広告関係の仕事も激減し、ただ円安による物価高に翻弄されているだけだ。
円安になれば輸出企業が元気になって景気が良くなるほど、今の経済構造は単純ではない。電気製品でも工具でも買うと必ず生産国の表示を見る。表示に日本メーカー製品と書かれていても、ほとんどの生産国は中国か東南アジアあたりだ。メーカーは円高対応で生産拠点を海外に移し、今時、国内生産の商品は殆どない。だから、メーカーの利益は増えて株価は上がるが、国内景気は良くならないわけだ。
海外生産に伴い、今まで想像もされていなかった問題点が次々と表面化している。
その一つが、今回の日本の部品メーカー・タカタ製エアバッグのリコールだろう。米国で、装着した車が衝突した時、火薬が異常爆発して金属片が飛び散る事故が起きた。これから始まる大規模リコールは5年前のトヨタ車の急加速事故に対するリコールを思い出させる。いずれも製造業を海外移転した結果だ。
日本製品の優秀さは、日本人の個人的能力の高さに依存して来た。
だから、海外生産を始めれば、前記のような事故が起こりやすくなるのは当然のことだ。タカタ製エアバッグの異常爆発の場合も、火薬を作っていたメキシコ工場での品質管理に問題があったようだ。
日本メーカーの設計思想は始めから個人能力に頼っている。その点、個人能力に問題がある海外メーカーは、作業者の能力を設計段階から信用していない。それは、仮にいい加減な人間が作業に携わっても不具合を起こさないような遊びを設ける設計思想だ。
その代表がロシアや米国だろう。
昔、職人をしている頃にロシアの有人宇宙船の実物を見たことがある。溶接面は凸凹で荒っぽくて、私の職人感覚では素人が作ったガラクタに見えた。それでも宇宙船は過酷な宇宙での運用に耐えた。
40年以上使われているソユーズロケットは、打ち上げ失敗がとても少なく信頼性が高い。それは、どんな下手な現場の作業者がロケット生産に携わっても失敗しない設計思想がロシアにあったからだ。
その代表がAK-47突撃銃・通称カラシニコフだろう。この銃は極めてシンプルで、泥水につけて錆びさせても、曲がった銃弾を装填しても、確実に撃つことができる。これは、不器用なロシア兵がどんなに荒っぽく扱っても故障しない設計思想の元に作られた。だから、ロシアでの生産がとっくの昔に終わっているのに、アフリカなどの紛争地では中国製コピーが主力として使われ続けている。
日本の生産技術は携わる作業者の能力の高さに頼って発達してきた。しかし、国内の生産現場が空洞化し、海外生産が増えた今は、設計思想を変えるか均質な生産が可能なロボット導入をしない限り、タカタ製エアバッグのような事故はこれからも続発しそうだ。
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