秩父の新そば祭りへ行った。蕎麦より奥秩父に残っていた縄文文化が印象深い。14年11月18日
週末を奥秩父の別荘で過ごしている友人から、16日の新そば祭りに誘われた。前夜から泊まるように薦められたが、土曜は用事があるので、朝一番に出て日帰りすることにした。
夜明け前の荒川河川敷と川口方面。
4時起きをして6時に住まいを出た。外はまだ暗い。赤羽駅まで歩いて、池袋から西武秩父駅直通の特急レッドアローに乗った。背もたれを倒すと直ぐに寝入ってしまった。
所沢を過ぎた辺りで目覚めた。この辺りから風景は自然豊かになる。武蔵野の広がりの向こうに奥秩父の山塊が美しく見えた。飯能を過ぎて山地に入っても期待した程に紅葉していなかった。
西武秩父駅から仲見世を抜けて、乗換駅の秩父線の御花畑駅へ向かった。仲見世でクルミ柚餅子と桑の実ゼリーを友人への土産に買った。
秩父線はスイカカードが使えない。御花畑駅の券売機へ行くと、券売機に慣れていないおじいさんがまごついていた。急ぐ旅ではないので、のんびり買い終わるのを待っていると駅員が飛んで来た。
「下り電車が直ぐ入りますので、切符の代金は下車駅で渡して下さい」
駅員は目的地を聞いて切符を渡してくれた。乗り過ごして良いと思っていたが、気が利いているのは嬉しかった。
目的の武州日野駅には8時過ぎに到着した。下車したのは私一人だけだ。この辺りも紅葉の盛りには間があった。友人の別荘への路傍には一面霜が降りていた。
友人の別荘では薪ストーブを入れる工事をしていた。外国製の立派なもので、火入れしてから訪ねるのが楽しみだ。皆でコーヒーを飲みながら持参した柚餅子とゼリーを食べた。香りが良くてとても美味い。
新そば祭り会場へは車で出発した。会場には駐車場がないので、指定された荒川東小学校校庭の臨時駐車場に車を止め、近くの秩父市役所支部から無料シャトルバスに乗った。
会場は武州中川駅の近くの畑の中にあった。10時前だったが、多勢の来客で混雑していた。友人たちはすぐに、お気に入りの蕎麦屋の出店の行列に並んだ。
私はソバを食べる為に行列するのは嫌なので、友人たちと別れ、一人出店をひやかした。刃物屋で盆栽用の剪定ばさみを1800円で買った。柄が長く鋭利で使いやすそうだ。それから、姉への土産にクルミ餅500円とソバの全粒粉500円とコンニャク400円を買った。
秩父は豚が美味しい。もつ煮込み400円。味噌だれのソバ餅、コンニャク田楽を各300円を食べた。もつの量がとても多く、食べ切るのに時間がかかった。秩父には猪のもつ煮込みを食べさせる店もある。
新ソバ会場からはその場の思いつきで、歩いたり車に乗ったりと複雑な行程になった。まず、会場から清雲寺まで皆で歩いた。元々の清雲寺は隣の若獅子神社との神仏習合で、入り口には古い山犬の石像があった。秩父の神社は狛犬ではなく総て山犬が守っている。地元には今も山犬が生き残っていると信じている人がいるくらいだ。
境内の樹齢600年のしだれ桜を見学したが、晩秋の今はオフシーズンで観光客はいない。閑散とした境内も良かった。それから旧秩父街道を千手観音堂まで歩いた。
こじんまりした観音堂の境内には土俵があり、年に一度、千手観音信願相撲が行われる。お堂の天井には相撲四十八手の絵が描かれていた。
更に、静かな旧道を延々と歩いた。霜が降り始め野の花は終わっていたが、咲き残ったワレモコウや秋菊が美しく、田舎育ちの私には懐かしかった。
ススキの原から両神山方面遠望。
路傍には砂礫だらけの畑が点在していた。作物はソバやネギなどで、昔の農民の生活は厳しかっただろう。
一本道を秩父線の踏切に向かっていると、木々を抜ける風に石炭の煙りの匂いを感じた。私は秩父に来ると、嗅覚、聴覚、視覚などの五感が鋭くなる。
「機関車が近づいている匂いがする。車輪の音も聞こえる」
友人たちに話すと、原始人みたいだと笑われた。
踏切で待っていると、遠くから汽笛が聞こえ、一直線の線路の遥か向こうに機関車のライトが小さく見えた。
秩父線は蒸気機関車が日に一度運行している。
踏切からから、アルフィー・ファン経営の喫茶店「アルフィー」の脇を通って、駐車場へ引き返した。長く歩いたので、みんなはお腹が空いてしまった。
次は道の駅「あらかわ」へ行って何か食べることにした。再度、車で三峰方面へ向かうと道の駅があった。日曜で大混雑し、駐車場に入るのに苦労した。しかし、牛乳100%のソフトクリームはとても美味しかった。
途中の沢で一休みした。
この辺りはどこも水質が良く、とても美味しい。
車で山中に入り、夫婦杉や、地元民がお金を出し合って掘ったトンネルを見学した。トンネルは途中で資金不足に陥り、急角度に坑道みたいに地上に抜けていた。
そこで友人の家族たちを車で先に帰らせ、私と友人は山を登った。
急斜面を上っていると地元のハンターに出会った。友人が聞くと、鹿を2頭しとめたが大きな猪には逃げられたと話していた。
この辺りは今も野生動物が多く、地元住民は縄文の狩猟民の末裔だ。古い習慣が残っていて、家を留守にする時はしめ縄を張って結界とする。ただの縄一本でも無闇に人は犯すことが出来ない。
代々の地元の人は縄文の特徴を多く残していて見事な骨格をしている。畑地は砂礫だらけで作物はとれないが、山の幸は豊かで、昔から人口密度は高かった。
友人の別荘の広大な敷地には、柿、ユズ、クルミ、山栗と山の幸が豊富だ。友人は、猿、鹿、猪を敷地内で目撃している。夜間にはクマが出没し、柿の幹に爪痕が残されていた。
狩猟期の山は、クマとの遭遇よりハンターに誤射されるのが怖い。
ハンターが気づくように、友人と大きな声で話しながら山を越え、長い山道をうねうねと歩いて、3時頃に家族が待っている別荘へ戻った。
帰る前、敷地でユズを持てるだけもいでリックに詰めた。
帰りは車で西武秩父まで送ってもらった。池袋行き特急レッドアローはハイキングや観光帰りで満席だった。8時過ぎに帰宅した。
今も、友人たちと歩いた田舎道を想い出す。この記憶は長く残り、良い思い出になりそうだ。ユズは輪切りにして味噌汁に入れて楽しんでいる。新鮮で品質がいいのでそのまま齧っても美味しいし、花鰹醤油をかけても美味い。
ソバの全粒粉は緩めに溶いて電子レンジで熱を入れ、固まったのをスライスして、花鰹入りのわさび醤油で食べるている。この食べ方は新ソバの香りが高くとても美味しい。
昔の農家では麺ソバは手間がかかるので特別の料理だった。昔はソバガキやソバすいとんが一般的な食べ方だ。私は古来の食べ方が野性的で好きだ。ソバに多い成分のルチンは血管を柔軟にし高血圧を防ぐ。
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