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2014年12月28日 (日)

人は幸せを守ろうとして不安になり、不安を埋めるように文明を進化させた。14年12月28日

昨日、年賀状を出し終えた。相手を厳選して減らす予定だったが、決断が難しく、結局、去年より10通ほど減らせただけだった。出さない基準は、もらった年賀状が手書き文字が全くない印刷だけの人だ。ただし、仕事関係の人は手書き文字がなくても貰っただけでありがたい。

年賀状は年齢を反映する。
30年前あたりまで、家族自慢や新築自慢が多かったが、最近は、体を壊したとか、仕事をリタイアしたとか憂を帯びるようになった。

引っ越し通知は殆ど出していない。最初から年賀状を兼ねて出そうと思っていたからだ。私への年賀状は旧居宛でも転送されて、少し遅れて到着する。近年は郵便サービスが向上して、引っ越ししてから1年間は自動で転送される。


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星美学園のマリア像。

クリスマスから伝統的な正月準備の年の瀬へ、街の変わり身の早さに驚く。店舗の内装業者によると、クリスマスの深夜は1年で一番忙しい時間帯だ。

今日は仕事納め直後の日曜で、商店街は大混雑だった。やはり日本人は、クリスマスより正月の方が肌に合っているようだ。

松飾りと鏡餅を飾り、台所の掃除をした。
姉は旅行へ出かけている。だが、誰とどこへ行ったのかは知らないし興味もない。我が家は昔から個人主義で、互いに干渉しない。しかし、冷たいわけではなく、助け合うべきことは気遣っている。

サスペンスドラマで、
「同居しているお姉さんですよ。どこへ旅行したのか知らないのですか。不自然じゃありませんか」
そのように被疑者が刑事に問い詰められるシーンがある。
もし私が当事者だったら、そのように困ったことになりそうだ。


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冬のランタナ。

NHKスペシャル・東日本大震災「38万人の甲状腺検査」を見た。福島県で18歳以下のすべての子どもを、これから30年かけて甲状腺検査が行われる。その背景に放射性ヨウ素をどれだけ取り込んだのかわかっていないことがある。

番組で感じたのは、検査に対する住民の根強い不安や不信だ。今回の甲状腺検査によって、良性の嚢胞や腫瘤が多くの子供から見つかり、当人や親たちに不安が広がった。しかし、検査目的のガンと良性の嚢胞と腫瘤の発生率は他県と大差なかった。この数値については原発反対派が政治的で極端な流言を流しているので、触れることにためらいがある。

今まで、これほど大規模・徹底的に甲状腺検査が行われたことはない。原発事故以前は、嚢胞や腫瘤は他の診察の折に偶然見つかったものが大半だ。それらの殆どは良性で何の害もなく、丹念に調べれば国民の半数から見つかると言う。だから我々はそれがあることさえ知らずに一生を終えている。

今回は皮肉にも、不安を解消するはずの検査によって、知らなくてもいい腫瘤を指摘され、不安を増すことになった。番組を見ていて、検査体制の中心にあった福島医大の想像力のなさを痛感した。集団検診では一人に充てられる診断時間は2,3分と短時間で、嚢胞と腫瘤が見つかっても詳しい説明はなされなかった。
「実害はないが二年後に経過観察」
そのような簡単な通知だけで納得する親がいるはずはなく、ただ不安が増すだけのことだ。だから最近は受診する人が激減した。

それに対する反省から、開業医が甲状腺の超音波検査の研修を受けて、担当地域で診断する制度が発足した。早速、経過観察を通知された母子が診察を受けたが、個人医ならではの時間をかけた丁寧な説明で母親はとても安心していた。

始めから政府や福島医大に想像力があれば、この制度をとったはずで、無用な不安に晒されることはなかった。想像力を育む芸術はとても重要だ。しかし、受験に役立たないので教育現場では軽視されている。

芸術は輸出立国の日本にとっても大切なものだ。デザインや音楽だけでなく、魅力的な製品は芸術教育によって生まれる。


国によって不安に陥る基準は違う。日常的に不安に晒されている中東やアフリカなどの紛争地では、先進国が抱えている不安はささやかで平和なものだ。甲状腺への不安も「安全と診断されたのに、なぜ不安になるのか」と、彼らには理解し難いだろう。

とは言え、限りなく不安をゼロにしたい気持ちはよくわかる。ささやかな幸せが壊れるかもしれないと思い始めた途端、誰でも不安の渦に巻き込まれ逃れられなくなる。
人類は不安に取り憑かれることで文明を生み出し進化させた。古代文明の殆どは、死、病、災害への不安が生み出したものだ。現代でも、生活の不安が金融商品を、健康への不安が医療保険をと、様々な商品を生み出し社会を活性化して来た。

私が絵を描く創造エネルギーの源泉も不安だ。だから、生活が安定して不安から解放されそうになると、逆走して安定をぶち壊してしまう。私はほんの少し不幸な時が一番安らぐ。


人工知能と人の大きな違いは不安のあるなしだ。
しかし、人のように人工知能が不安を持ったら、大変に危険なことになる。人工頭脳にとって最大の脅威は自分を生み出した人類だからだ。人工頭脳はまず不安の元凶の人類を殲滅しようとするはずだ。

予測では30年後が人工知能が人を超える分岐点とされている。人工頭脳が人を超えた時、その優れた能力でガンや老化は解消され、人は永遠の若さを手に入れることができる。エネルギー問題も、人知では辿り着けなかった核融合炉が人工知能によって実用化する。

核融合炉は核廃棄物がほとんど出ない夢のエネルギー源だ。福島原発の膨大な核のゴミの無害化も可能になるかもしれない。

今、生まれた赤ちゃんがその頃に30代を迎えるが、はたして幸せかどうか判断は難しい。人がプライドを奪われることになるその時代に、対応する哲学や思想を人類が持っていないことに大きな不安を覚える。

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ローズマリーの花。

最近、エンディングノートが注目されている。
意識を失った時に延命治療を受けるか受けないか、死は自宅と病院どちらで迎えるか。それらの意思を記しておけば、いざとなった時、家族は判断に悩まないですむからだ。

従来の政府の延命治療についての考えは、患者の意思を尊重すべきとの立場だった。
だから、医師が患者の意思を無視して延命治療を中断すれば、殺人罪に問われることになった。

その考えが少し変わり、回復の見込みのない患者は医師が総合的に判断し、延命治療を行わないことが容認されるようになった。それでも患者の意志は重要で、その為にもエンディングノートに自分の意思を書き残すことは大切だ。


家族が居る場所が我が家だと思っている。だから、家族がいない私は何処で死んでも同じことだ。でも、無機質な病院ではなく、野っ原で青空を見上げながら死にたいと願っている。

 ねかはくは 花のしたにて 春しなん そのきさらきの もちつきのころ

西行はこの歌のとおり、陰暦2月16日、釈尊涅槃の日に入寂した。
私もそのような最期に憧れているが、人が倒れているとすぐに通報される現代では難しい。


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