日本では難しい「ウソつきを見抜く方法」。知的なほどウソをつき、ウソは文化の一部。15年1月23日
Eテレのスーパープレゼンテーションで「ウソつきを見抜く方法」をやっていた。スピーカーは、ベストセラー「ウソつきを見抜く方法」の著者パメラ・メイヤー。彼女はかって、自分の会社で社員に横領され多額の損失を被った。それを経験に、二度とだまされないための本を出版した。以下は番組で彼女が語ったものだ。
ウソは信じる人がいるから成立する。嘘はことを荒立てないための共同作業だ。褒め言葉や、メールを読み忘れた時に「まだパソコンを開いていなかったので」などと言い訳をすることなどがそれだ。
人は1日に200回は嘘をつかれていると言う。白人である彼女はやや否定的に話していたが、東洋人の感覚では些細なことだ。たとえば女性に「今日は可愛いね」とウソをつくことは人間関係の潤滑油になる。もし「少しも似合っていない。ブスだ」と正直に感想を言ったりしたら大変なことになる。
番組では、様々なウソを見破るテクニックを示していた。
しかし、そのようなテクニックを必要とする人間関係はとても疲れる。それは損得目的の実業には役立つが、人間関係はウソと分かっていながら付き合える方が断然楽しい。
米国での企業が嘘をつくことによる1年間の損失は9970億ドル。
「人は自分の望みを叶えるためなら、何かしら差し出す」
ある天才的な詐欺師のウソを信じさせるための言葉だ。
絵描きはその手の言葉によく騙される。
「10万円出したら美術誌にページを提供して、画家として認められる」
そのような勧誘メールがよく届く。当然だが10万くらいで絵描きになれるわけがなく、それらは迷惑メールに入れてある。しかし、絵描き希望の若い知人は騙されて、10万出して作品を掲載してもらった。結果は、安っぽい美術誌が送られてきただけで望みは実現しなかった。
株や先物取引の儲け話に乗って、退職金を全てなくす人もいる。騙されないためには、まず自分の欲望を明確に知っておくことだ。秘めた欲望はいつも付け入れられる弱点になる。
赤の他人に対して人はよく嘘をつく。
調査では、人は初対面の最初の10分間の会話で3回は嘘をついていた。外交的な人もウソをつく。ウソには男女差があり、男性は自分に関すること、女性は他人をかばうためにウソをつく。夫婦では10回の会話で1回、未婚では3回に1回はウソをつく。
ウソは日常の仕事や生活の一部になっていて、会話のズレを取り繕うために利用されている。知的な種ほどウソをつき、芸術など文化の一部になっている。冗談やお笑いコントなど、ウソがなかったら成り立たない。
類人猿もウソをつく。
手話ができるゴリラとして有名なココは子猫をペットとして可愛がっていた。ある時、ココは頑丈な流し台を壊してしまった。それを咎めると、ココは子猫が壊したとウソをついた。
人間は赤ん坊の頃からウソをつきはじめる。ウソ泣きをしながら親の反応を見るのがそれだ。それは成長するに従い、はったり、おべっかと進化して、大学生になると、親に5回に1回はウソをつく。
大人の世界はウソだらけの世界だ。偏向記事や、フェイスブックの「いいね」など、その一部だ。
パメラ・メイヤーは90パーセントの確率でウソを見抜けると豪語していたが、日本人相手では通用しない気がする。
話し方において、ことさら格式ばった否定的表現はウソ。必死にウソをつくと言葉遣いが硬くなる。よく知っている女性に対し「あの女性」と距離を置くような言い方もウソだと言う。「実を言うと」「正直な話」と前置きがあったらウソを疑う。質問をオウム返しに聞き返す時もウソが多い。
しかし、それらは西欧人に当てはまっても、婉曲に話そうとする日本人には通用しない。
嘘をつくときは体を揺らさない。
嘘つきは目をそらしたりせず、逆に相手の目を長めに見る。
作り笑いと本当の笑いは、目尻にシワがよっている時は本当の笑い。
しかし、私は作り笑いでも目尻にシワがよっているから、あてにならない。
犯人探しにおいて、ウソをついていない正直な人は協力的。
これも日本人ではあてにはならない。ワイドショーに出てくる真犯人は、異常に協力的だったりする。
ウソをついていない人は犯人を厳罰にと言うが、ウソつきは温情をと言う。
これも争いを嫌う日本の気風には当てはまらない。
ウソつきは騙せたと思った時、思わず微笑む。
これも、親が死んでも愛想笑いする日本人には当てはまらない。
最後に心理学でのウソの見破り方でのフロイトの言葉。
「人は隠し事はできない。口を閉じても指先で語る」
これも表情や仕草が豊かな西欧人においてだけで、控えめな日本人にはあてはまらない。
紅梅が満開になった。春はすぐそばまで来ているようだ。
心の分析は、日本人心理学学者の方が実情に合っている。
「会話の相手が腕組みをしたら、その話題を否定している時」
「立ち話で、つま先が出口を向いている時は帰りたがっている時」
それらはよく当たっていると実感している。
昔から言われているのは、女性が髪を撫でている時は、性的興味を持っている時。
これも当たっている。
人付き合いでの心理分析では、10年以上昔に読んだオックスフォード大教授ピーター・コレット著「うなづく人ほど、うわの」ソニーマガジン社が面白かった。
人の何気ない仕草で人の本意を読みとる解説書である。題名の「うなづく人ほど、うわの空」は、相手の話をまったく聞いていない人は、しきりにうなづくと言う意味だ。
その本を読んだ後、実際に見た光景を思い出す。
イトーヨーカ堂の靴の修理コーナーでハイヒールの踵の修理を美しい女性が頼んでいた。修理職人さんは張り切って、熱く踵の材質の説明をしていたが、しきりに頷いている彼女の視線は宙を踊っていた。彼女は職人さんの話が終わると間髪入れず、トイレの場所を聞いた。どうやら、かなり我慢していたようだ。その時「うなづく人ほど、うわの空」は当たっていると思った。
ピーター教授によると男性が対決する時に両足を広げて立つのは逸物の大きさを誇示して相手を威嚇するためだ。だから、足を組んで股間を隠す男性は自信が無いと言うことになる。
荒川土手から夕暮れの都心方面。猛烈な寒風に体を揺らせながら撮った。
昨日は凍えるような氷雨だったが、今日は一転して晴れた。
物理学で宇宙を認識・理解できる範囲はとても小さい。しかし、心の目なら宇宙全体を認識できる。それは客観と主観の大きな違いでもある。例えば、どんなに科学が進んでも、客観的に個々の体や心の細部まで知ることはできない。一方、私が見る人の姿は、人の形をした風船みたいなものだが心底信頼できる。
概ね、人は周りを主観的に判断する。だから人の形をした風船を信じることができた。ウソと本当についても、客観的にウソである言動でも良い結果を生むなら主観的にウソではなくなる。
おまけに、ウソのお札について。
2012年、偽札発生率を日本円と比べると、ユーロは216倍、米ドルは638倍、英ポンドに至っては1619倍だった。
その記事を読んだ後、1万円札と偽札が多い10ポンド紙幣を比べてみた。確かにポンド札は大雑把な印刷で、カラーコピーがしやすそうだ。対して、万札は指で触れるくらい盛り上がった深凹版印刷がされ、10倍くらい精緻に作られていた。
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