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2015年3月 1日 (日)

日本では当たり前の職人仕事が、海外では滅びつつあった。15年3月1日

最近、日本の伝統や気風が外国人に褒められる番組が多い。多分、韓国中国や国内一部メディアが続けている日本バッシングへの反動だろう。

初めは、褒められると無性に嬉しかったが、最近は少し食傷気味で居心地が悪くなった。
しかし、テレビ東京の「和風総本家」は別だ。明らかに他国より優れている職人仕事を真面目に紹介していて新鮮な驚きがある。私は職人仕事に精通しているが、この番組で初めて知った仕事は多い。

26日の「和風総本家スペシャル・世界で見つけたMade in Japan」は、ピアノ調律用のドライバー、アイスピック、和三盆、靴クリームを取り上げていた。どれもスマホや車のような華やかさはなく、マイナーな商品ばかりだ。そのような儲けにならないものに情熱を注ぐ日本の職人魂には心底敬服する。


最初に登場したのはノルウェー・オスロのピアノ調律師。彼は10年前に来日した時に浜松で買って、以来愛用しているイトーシン社製の調律用のハンドル・ドライバーを紹介していた。

通常のナットは6角形だが、ピアノの弦を巻き取る鉄の軸は四角形だ。がから調律用のドライバーの噛み合わせ穴は四角形を重ねた星型になっている。私は鋳造か鍛造で一気に成形すると思っていたが、鉄材に穴を開け丹念に削って仕上げられていた。このような、たいして売れない道具でも手間をかけて一生懸命作るのが日本の職人の素晴らしいところだ。

彼は日本製を使う前に使っていた英国製と比べて見せてくれた。英国製のハンドルはピアノの鉄軸に嵌めると20度ほどのブレがあり、しっくりこなくて使いづらい。対して、日本製は3,4度のブレに抑えられ、微妙な調律ができると話していた。

更にブレをなくすことは可能だが、完璧に合わせるとハンドルの着脱が難しくなって使いづらい。3.4度の微妙な遊びが着脱を容易にしている。

日本の手仕事は精密さだけではない。相手の立場になって、使われる状況を熟考して作られているので世界で愛されている。

番組では使った人の感謝のビデオレターがそれぞれの制作現場へ届けられる。それを見て素朴に感激している職人さんたちの姿にも心打たれた。


次は米国ロスアンゼルスのバーテンダー愛用のアイスピック。
それはヘッドに金槌とピッケルを組み合わせたような金具が付いたものだ。このピッケルをイメージして作られたアイスピックは、日本の燕市のヤマチュー社の独自考案だった。

今は小さなブロック氷が主流になってアイスピックの需要は激減した。しかし、プロのバーテンダーたちは、この日本製がないないと仕事にならない。海外製は木の柄にピックを付けただけの簡単な構造だが、日本製はピッケルのようなヘッドを使って繊細な仕事ができる。


ドイツ・ハンプルクの高級靴店オーナーは、イタリーでの靴展示会で見つけたコロンブスの靴クリームを愛用し、取り扱っていた。

寒さに強い、柔らかな靴クリームはコロンブスの発案だった。それ以前の靴クリームは、厳寒に曝されると固まり、解凍すると油とワックスが分離して使い物にならなかった。日本のコロンブスはその欠点を解消し、北国のドイツに受け入れられた。

その製造工程は、調合から瓶詰、ラベル貼りまで人の手仕事でやっていた。
一般的に機械化されているラベル貼りまで手作業でやっているのは、蓋の模様の向きとラベルの向きを一致させるためだ。

ドイツの靴店の主人がそれに気づいていて褒めていたのには驚いた。靴店で陳列した時、美しく見えると、一瞬で気づいたのだろう。この靴クリームは冬場も固まらず、皮への浸透がよくすぐにツヤが出せた。


そのように、この番組は日本人の多くが気づいていないことを教えてくれる。
米国のバーテンダーがアイスピックを紹介した時、和三盆も褒めていた。和三盆をカクテルなどに使うと、砂糖より深みが増すと言う。サトウキビの風味を残しながら品の良い甘さの和三盆は海外にはない日本独自の砂糖だった。

その気持ちはとても理解できる。
私はジャムやマーマレードを作る時、砂糖と本味醂を半々使う。すると、えも言われない深みが増す。


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この夏みかんのマーマレードには本味醂だけでなく、隠し味にごく少量の醤油を加えた。そうすると抜群に美味しくなる。

毎日、アーモンドを食べているが、このマーマレードと一緒に食べると、口の中でロシアケーキ味になって、とても美味い。アーモンドを食べているのは老化を促進する悪玉物質AGEを減らすためた。

AGEは肌や骨などのコラーゲンを老化させる原因物質だ。AGEは糖とタンパク質が結びついたものだが、アーモンドはその生成を阻止する。治験では被験者たちに1日25粒-約25グラムのアーモンドを5ヶ月間食べさせたら、肌の潤いと張りが増して若返った。

コラーゲンは血管、骨、肌、目、内臓、脳など殆どの部位にある。 コラーゲンに糖が結びついたAGEが増えると、その部位は堅く脆くなって老化を進行させる。 AGE が増えて褐色に変色した骨は脆く、簡単に骨折する。血管にAGEが沈着すると弾力を失い、カチカチになって動脈硬化を引き起こす。

他にもAGE は殆どの老化現象、認知症、癌、高血圧、白内障などにも関与している。糖尿病合併症やアルツハイマー病などの病変部を調べると AGE が多く沈着しているのが確認されている。

体内の AGE が増える一番の原因は血糖値が高いことだ。食事をすると血液中に糖分が増加する。殊に糖尿病では、インシュリン不足により血液中にだぶついた糖分がタンパク質と結びついて AGE に変化する。だから、アーモンドは糖尿病の合併症を防ぐ効果もある。


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今年初めて見つけたタンポポ。
荒川土手の南斜面で開花していた。

年々、訃報が増える。新しい出会いは殆どないので、人間関係は縮小するばかりだ。この寂しさにさらされると、老いるほどに家族が増える昔の大家族制度は実によくできていると羨ましくなる。

訃報に至らなくても、事実上の永遠の別れもある。
昨日、散歩コースで言葉を交わす老人に、遠い郷里の老人介護施設に入るからと、別れの挨拶をされた。そのように別れて再会したことはない。数年過ぎた頃に風のたよりで訃報を聞くだけだ。

先日、知人から、余命4ケ月だから郷里のホスピスに入ると、別れの電話があった。どう答えたら良いのか、言葉に詰まった。
彼は今月開通の北陸新幹線で帰って、古い港町で、夏の日本海を眺めながら最期を迎えるのだろう。


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先日の荒川河川敷。
湿地にはヤナギ属が多い。
ヤナギは北方の木で、真っ先に芽吹く。
春目前、木々は淡い緑に染まり始めた。


経済学者たちは少子高齢化により国民負担は年々増加する、と思い込んでいる。努力をしなければその通りだが、政策をかえるだけで解決できる問題だ。

Eテレで地方自治体の老人対策をしばしば取り上げる。そこではさして予算をかけずに成果を上げている。減塩、運動、栄養バランス、それらを真面目に啓蒙するだけで、老人の健康年齢は4,5年は伸びていた。

それで医療と介護負担が減って、元気になった老人が若者たちがを助けて働くことができる。もし、国が本気で取り組めば国の規模で成果があげられるのに「大変だ、大変だ」と国民を脅すばかりで真面目に取り組んでいない。


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先日の朝日。
早朝の荒川土手は、暗いうちからジョギングにウォーキングと、老人たちが引きも切らない。

地方から上京した友人たちは、東京人は足腰が強いと感嘆する。今時の田舎は車社会で滅多に歩くことはない。農作業も機械化されていて鍬を手にした作業は激減した。その点東京生活では階段の上り下りが多く、自然に足腰が鍛えられている。


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