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2015年3月28日 (土)

朝まで生テレビのテーマはピケティ「21世紀の資本」について。日本の格差は本当に大きいだろうか。15年3月28日

昨夜のテレ朝・朝まで生テレビは日本の格差問題を取り上げていた。国民の多くが関心を持っているテーマだけに活気があり面白かった。

世界的大ヒット本・ピケティ著「21世紀の資本」の解説本を書いて、すでに7万部を売り上げている元財務官僚・嘉悦大学教授高橋洋一氏の言葉。
「原本は冗長で退屈なので、後ろの結論から読んだ方がよい」

ピケティの考えを簡単に言うと、r (株や不動産収入によって得られる利益=資本収益) は g (労働によって得られる利益=労働収益) を常に上回り、反対に g が r を上回ることはない。

金持ちは無能でも努力しなくても、いつまでも金持ちで居られる。しかし、下層労働者はいくら働いても下層から抜け出すことはできない。金持ちも貧乏も、親から子、子から孫へと延々と相続され続ける。その連鎖を断ち切るには金持ちに多く課税する累進課税でお金を貧乏人へ再分配するしかない。

ピケティの考えは社会・経済学者たちに言い古されたことで目新しさはない。それでも評価されたのは過去へ遡り丹念に検証したからだ。彼の考えはマルクスの資本論と似ているが、少しちがうようだ。当然ながら、格差社会の米国では資産家側の経済学者たちからバッシングを受けた。

「21世紀の資本」のページ数が増えたのは、理論を過去300年に渡って検証したためで、メインテーマに費やされたページ数は薄い。実際にピケティ教授の授業を受けた元財務官僚・慶応大学大学院准教授小幡績氏によると、彼の授業は極めて退屈だったようだ。
ピケティがEテレに出演した時も「資本収益は労働収益を常に上まる」以外は歴史検証に終始して、あまり頭に入ってこなかった。


明治大学准教授・飯田泰之氏は、ピケティの言う格差は概ね持ち家と借家の違いだと話していた。その説は理解しやすい。私は高家賃の公団住宅から低家賃の区営住宅へ運良く移転できて、著しく生活にゆとりができた。家賃や住宅ローンの重圧は、現代日本の消費低迷と格差に大きく影響している。

自民党衆議院議員・佐藤ゆかり氏は、ピケティの考えの累進課税を実行すると、産業を進歩させる優秀な人にも重く課税されることになり、技術革新が停滞すると主張していた。それは一面では当たっているが、いかにも与党的なごまかしだ。相続税の抜け道を防ぐなど、技術革新が影響されない課税方法はあるはずだ。

それについてホリエモン・堀江貴文氏は、政府が累進課税などで税金を得ても、無能な官僚が衆愚政策に使い、箱物建設の無駄遣いに終わると言っていた。確かに歴史がそれを証明している。高額な税金で建てられた豪華な国民宿舎などが役に立たないまま、廃墟になっている姿を国民は数限りなく目にしている。


正規雇用の平均年収473万に対し非正規は168万の格差。
それについて元経産官僚・岸慶応大学大学院教授博幸氏は、非正規の大部分は主婦や家族などのパート・アルバイトで彼らは正規社員を望んでいず現実を反映していない、と話していた。とは言え、非正規社員の収入が低いのは事実だ。昔、電通や講談社に出入りしていた頃、明らかに見た目が違う仕事机で非正規の社員が数分の一の収入で、正社員の何倍も働いていた。
もう一つの現実は充実感のある仕事を求めて非正規を続ける若者が多いことだ。しかし、充実感のある仕事を誰でも選べる社会など世界中どこにもない。


貧困について深刻なのは女性と子供たちだ。子供のいる世帯の平均収入は約660万。対して父子家庭は380万。母子家庭は223万円の格差。これでは優秀な子供でも大学進学は厳しい。殊に子供の貧困は栄養不良を招き、健康を損ない社会負担を増大させることになる。

先進国中、母子家庭の貧困率は英国7パーセント、フランス17%、米国36%に対し、日本は55%と突出している。日本の母子家庭のお母さんは世界屈指の働き者にもかかわらず、貧困から抜け出せないでいる。


教育格差については異論が多く述べられた。
大学進学率が日本の57%より高い80%の韓国の失業率ははるかに高い。理由は進学率が高まっても大学間の格差が生まれるだけで、大卒の学歴は役立っていない。むしろ、自分の適性にあった、職人仕事などの専門技術を身に付ける方が、はるかに格差解消につながる。

貧乏が教育のチャンスを奪うについてについては、肩書きはつかないが純粋に教育を受けたいなら、世界の有名大学がインターネットで無料講座を設けている。英語が得意なインドの子供たちが公共の無料パソコンで自由に学びスキルをつけているくらいだ。

「低収入だから不幸だと考えるのは間違つている。貧乏だと感じる感じないは気持ちの問題だ。学歴は収入に関連せず、格差にも関係ない。スキルをつけて努力すれば格差を乗り越えることができる」
ホリエモンは熱く語っていた。
生活保護世帯が、補助が低すぎてろくなものも食えないと嘆いているが、出来合いの弁当や惣菜を買っているからそうなる。食材を買って調理すれば、今の支給額でも栄養価の高い良質な食事ができる。
昭和30年代では、テレビ、洗濯機、冷蔵庫は豊かさの象徴だったが、今は貧困世帯でもそれくらいは揃っている。ホリエモンが貧乏は気持ちの在り方にあると言っていたのはそのようなことだ。


私を分類すると貧困層にいる。それでも電化製品は揃い、光ケーブル接続のパソコンを使い、一般より良質の食事をしている。日本基準では貧困だが、世界基準では貧困ではない。貧国層特有の浪費への羨望は全くなく、質素な生活に満足している。

しかし贅沢は好きだ。と言っても一般的な贅沢とは違う。それは毎日の散歩で季節の変化を楽しむ、自然で人間的な生き方のことだ。

日経の記事にオリンピックまでに社会のキャッシュレス化が進みカード化するとあった。贅沢にはアナログな要素が大きく、このような効率化は贅沢な生き方ではない。ハイテクなインスタント食品より、ローテクな手作り食事が贅沢なことは自明なことだ。ハイテクを進化だと思う人もいるだろうが、それは必ずしも人を幸せにしない。


格差に関連して資産や投資などの言葉が番組に氾濫していた。昔はそれは人を豊かにする言葉だったが今は強欲に変質した。資産家が投資に明け暮れるのは獨協大学教授・森永卓郎氏によると、資産が極度に増えると一層強欲になり、お金増やしたい病にかかるからと言っていた。

投資家の仕事部屋には決まって名画が飾ってある。彼らが芸術的感性が優れているからではなく、放っていても値段が上がり続ける良い投資対象だからだ。ピカソやゴッホやレンブラントが自分の作品が彼らの強欲に奉仕させれられていると知ったら失望するだろう。

米国調査では年収600万が一番幸せを感じる世帯で、それ以上の収入になるとストレスが増す。それは日本にも当てはまる。友人知人に年収1千万越えが大勢いるが、彼らの生活はストレスに晒されて、体を病んでいるものが多い。


1030兆円に達した日本の赤字国債については、危惧する数値ではないようだ。内外の経済学者の試算でも、日本国の持つ資産は莫大で、それを差し引くと債務の実質は500兆円ほどに縮小する。その数値ならGDP比で米国と同じ規模になる。更に、経済ジャーナリスト荻原博子氏によると、膨大な赤字国債の金利は低く、その小さな金利さえ払っておけば何の問題も起きない。

ギリシャが破綻したのは国債を強欲な国外投資家が握っていたからだ。日本は愛国的な国内金融機関が国債の大部分を引き受けているので、ギリシャのような破綻は起きない。

今回のテーマ、格差については能力や資質の違いで、あって当たり前のことだ。問題はその能力が公平に評価されていないことにある。母子家庭などの貧困も、子供や若者たちの能力を伸ばすチャンスを摘んでいる。
「戦う意思があれば、どんな環境でも自力で格差を乗り越えることができる」
それが生テレビに登場したエリートたちの意見だった。成功者の戯言と思う人が多いかもしれないが、大変でも真実である。


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桐ヶ丘風景。


今回は格差がテーマだったが、日本の生活に対する満足度は70%以上、殊に若者は80パーセントと高かった。他の統計では日本人の90パーセント以上が日本での生活を望んでいた。チャンスがあったら移民をしたいと望んでいる韓国・中国の若者たちと比べると日本の若者たちには圧倒的に満足感があった。


私見だが、2030年あたりになれば人工知能の能力が全人類を合わせた知恵を上回り、格差問題は劇的に解消するはずだ。更に、アンチエイジング医療の進化で70代の老人が30代の健康な若者に若返り、国の社会福祉負担は激減する。

2030年以降は収入のために資本家へ奉仕していた貧乏人は消え、強欲にお金を増やし溜め込み続けた金持ちたちは、お金の力で権力を行使する機会を失う。

金持ちの定義は土地や高価な資産をたくさん持っていることだが、その価値は縮小し続ける。それは触れるものがすべて黄金に変わり飢えてしまったミダース王の神話に似ている。


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赤羽北の旧居からの桜。

「今年の桜は、一生の中で一番きれい」
2010年の死の3ケ月前、散歩道の桜を見上げながら母はつぶやいていた。
それ以来、桜は憂いを帯びで見えるようになった。


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Goof

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