憂鬱な梅雨の朝、軍艦島・世界遺産登録の問題点。15年7月6日
雨の中、アルビノーニのアダージョを聴きながら買い物へ出かけた。
雨に濡れた荒川土手のベニツメクサがみずみずしい。この曲は、1973年〜1974年のNHKドラマ「けったいな人々」のBGMに使われていて好きになった。ドラマは放送作家・茂木草介の半自伝的な作品である。
ドラマは昭和初期から太平洋戦争直前までを背景に、大阪の海産物問屋の人間模様を描いたものだ。ドラマの笑いとペーソスには、大阪気風と思い込まれている河内あたりのがさつさとはまるで違う、大阪の古い商家の知性を感じた。その頃、60代半ばだった母はドラマを熱心に見ていた。今、この曲を聴くと、日本も母も私も元気だった昭和50年代を思い出す。
遺作になっても良いように懸命に新作を描いている。遺作と書いたが深い意味はない。写生ではなく、無から生み出す作風なので、更に老いてエネルギーが弱ると描けなくなる。
母が生きていたら、新作を見てとても喜んでくれただろう。
新作の幾つかは姉に見せたが、そっけなく「いいね」と言うだけで感動を感じなかった。だから、それ以後の作品は見せていない。
母はいつも、絵を見せると喜んで心から褒めてくれた。
その母の姿勢は子供の頃から死の寸前まで変わらなかった。私が絵描きになれたのは母の感性と褒め言葉にあったと思っている。
心肺が弱った終末期、母を元気付けようとベットへ絵を持って行ったことがある。母は満面に笑みを浮かべ、かすれる小声で「いいね、いいね」と絵をいつまでも撫でていた。
今、絵を描く都度、母の存在の大きさを感じ、死別の大きな喪失を感じている。
憂鬱な梅雨の朝、気の重いニュースばかりだ。
その一つ、なでしこジャパンの米国との決勝敗退はスポーツの世界のことで、悔しいが実力差として素直に受け入れられる。
しかし、昨夜認められた軍艦島の世界遺産登録は違う。
韓国主要紙は日本政府に登録の代償として強制労働を認めさせたと勝ち誇っていた。今回の日本政府の妥協は慰安婦問題で妥協し大きな禍根を残した河野談話と同じ経緯を辿りそうだ。
政府が非常時に国内外から労働力を動員するのは世界各国で行われていることだ。それを拡大解釈すれば強制労働にならなくもないが、ナチスの強制収容所と同列に主張している韓国の考えは容認できない。
国策で半島から労働者を動員したことは事実だ。炭鉱事故で多くの死者が出たことも事実だが、日本人と差別されていたからではない。当時の現場の炭鉱夫は日本人と朝鮮人は助け合いながら働いていた。
そして、彼らには寝食と給与は保障され自由もあった。
昔から軍艦島から北九州にかけての炭鉱地帯は朝鮮人差別の少ない土地だった。
それは危険な職場で生死を共にした日朝の仲間意識が強かったからだ。
それは韓国の官僚やマスコミ人、活動家などのインテリには到底理解できない感覚だろう。
幾度もブログに書いたが、戦時中、父は九州山中にて、建設省技官として徴用朝鮮人労務者を使って食料増産のための用水路工事に携わっていた。朝鮮人労務者のほとんどは家族で来ていて、部落を作って生活していた。
母は彼らと仲良く付き合っていたので彼らの生活を熟知していた。彼らには、当時の一般日本人より、砂糖などを含む食料も物資も潤沢に支給されていた。規定通りの給与、食料が支給されたのは、国直轄の事業だったからだ。日本の官吏は遵法意識が強く、決められたことは守る。それは戦時中の重要産業だった軍艦島の炭鉱も似た状況だった。
灌漑工事では、彼らは余った支給品の砂糖、食用油、地下足袋などと近隣農家の牛と交換して密殺して食べていた。母は度々衣類などとの物々交換で、彼らから砂糖や牛肉を分けてもらっていた。それらは子供の頃から何度も聞かされてきたことだ。
この話をするのは近年のことだ。以前の私は朝日新聞のプロパガンダに完全に洗脳されていて、母がその話をすると、それは嘘だと非難していた。今は違う。母の話は自然で、本当だと思っている。
母の知っている徴用工たちは牧歌的で豊かだったが、すべての徴用工が同じだったとは思わない。戦前は中央の目が届かない僻地で、食い詰めた人たちがタコ部屋で強制的に働かされた歴史がある。その苦境に朝鮮人が交じっていたとしても不思議ではない。しかし、それは民間人の不法行為で、日本政府が推し進めた国策ではない。
世界遺産にはインフォメーションセンターが併設されるが、韓国から国策で過酷に強制労働させられたとの展示を要求されるだろう。これから、慰安婦と並び徴用工も政治の道具にされると思うと憂鬱になる。
世界遺産決定の前、外務大臣の日韓会談が行われた。その時、双方の担当官僚の間で「徴用を強いられた」の文言を入れることで世界遺産認定を認める。そして、それ以後は政治の道具にはしない、との密約が取り交わされていたはずだ。
河野談話でも同じように慰安婦問題にピリオドを打つ密約があった。しかし、密約は反故にされ、それ以後、慰安婦問題は拡大炎上して今に至っている。そのような韓国を見ていると徴用についても同じように反故にされ、慰安婦と絡めて非難されることは目に見える。もしそうなったら今度こそ、日本人の多くは韓国を黙殺し、日韓関係は修復不能なまでにこじれそうだ。
ちなみに軍艦島閉山の前年昭和48年に九州旅行をした。賑わっていた島を訪れることができたのに行かなかったのは、今となると残念。当時の炭鉱は斜陽産業で、若者たちの興味からも見捨てられていた。
梅雨の荒川風景。
先日、Y電機でプリンターインクを買った。
ポイントカードを出すと、
「そのカードは廃止になりました。
スマホか携帯をカード代わりに使うことになりましたので新規登録を」
と、しつこく言う。
「スマホは持っていないし、携帯はほとんど持ち歩かない。
どうしても携帯登録しなければならないのなら、隣のBカメラで買う」
そう言って商品を返して立ち去ろうとすると、店員が慌てて呼び止めた。
店員は特別に新しくカードを発行しても良いと言う。
改めて隣へ行くのは面倒なので、その場で新規発行してもらったが今も釈然としない。
今、Y電機は売り上げ不振から地方の多くの店舗を閉めている。そんな訳の分からない負担を客に求める姿勢も、苦境に陥った原因の一つだろう。
荒川河川敷のオニグルミ。
先日のブラタモリ・奈良編で、宮大工のカンナがけの実演があった。透き通るように薄い見事なカンナくずをタモリは「美味そうだ」と口にして見せた。当然味はないが、私も美味しそうに思って食べたことがあるので、その気持ちはよく分かる。
そのシーンを見ながら、神戸市須磨区の市立中学校で30代の男性教諭が技術の授業中、かんなくずを生徒に食べさせて問題になったことを思い出した。
教師は極薄のカンナくずにカツオ節に混ぜ、「うまく削れば、カツオ節と同じくらい薄くなる。食べてみるか」と生徒2,30人に食べさせた。
市教育委員会への取材では。生徒に健康被害はなく、校長らが保護者に謝罪した。市教委は「生徒の健康を害する可能性があり、あってはならないこと」とし、教諭の処分を検討していると言っていた。
私はカンナくずを食べさせたことに問題は何もないと思っている。植物のセルロースや粘土の一種が食品に添加されることは普通に行われていることだ。そんなことを非難するマスコミや教育委員会の姿勢こそ大問題だ。
散歩コースで詰んだローズマリー。
3株ほど確認しているので、肉料理に重宝している。
奄美大島沖の海底に描かれたミステリーサークル。
水中写真家-大方洋二氏撮影。
描いたのは新種のシッポウフグの仲間・アマミホシゾラフグ。
春から夏の産卵期に、体長約12センチのオスがメスを引きつけるため、砂を掘って直径2メートルのミステリーサークルを作る。これほど複雑な産卵巣を作る魚は他にいない。
昔からサークルの存在は知られていたが、フグによるものだと確認されたのは数年前のことだ。国立科学博物館の松浦啓一名誉研究員が昨年9月、新種として日本魚類学会英文誌に発表し命名した。氏は「これほど複雑な巣を作る魚は他にいない。これは日本の海の生物多様性を示す一例だ」と話している。
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