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2016年4月 7日 (木)

新宿御苑-千鳥ヶ淵-上野-鎌倉、桜名所考。 花のゆめ 醒めて青葉の風寒し 16年4月7日

題名に使った句は3年前68歳の春に作った。
その時は深い意味はなく--花が散って青葉になったのにまだ寒い--と言った単純な句だった。

今は違う。
風寒しに、寒暖ではなく心の寂しさが垣間見える。
それが60代から70代への心境の変化なのだろう。


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 花のゆめ 醒めて青葉の風寒し

黄昏の東京北医療センター下の公園。
朝の雨に桜が散って、道は一面に花弁で覆われていた。
暴風雨の予報は完全に外れ、午後は曇っていたが雨も風もなかった。


今年の桜はいつになく美しい。
花期に寒さが戻り、花が長持ちしたからかもしれない。

桜が美しいと誰かが死ぬような気がする。
2010年春もそうだった。
母を車椅子散歩に連れ出すと、
「今年の桜は綺麗 」
と何度もつぶやいていた。
それは死の2ケ月前のことだった。
だから--風寒し--に寂しさを感じるのだろう。


赤羽は桜の古木が多い。
3月末から4月初めまで、赤羽から板橋区へと毎日散歩をして花見を楽しんだ。

テレビでは連日、外国人の花見客で混雑する上野を中継していた。画面のほとんどは宴会風景で、雑然として、私には赤羽の桜の方が美しく感じた。


4月4日、食わず嫌いはいけないと、意を決して上野公園へ出かけた。
実際に行ってみると先入観は見事にひっくり返された。


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上野公園の桜。
遠景は国立博物館。

ニュースの通り、歩いている人の7割は外国人で、シートを広げ宴会をしているのは日本人、といった割合だ。

赤羽の桜は業者が荒っぽく太い枝から剪定するので、魅力を半減させている。
それに対し、上野の桜は手入れが繊細に行き届いていて枝ぶりが美しかった。

桜を見上げながら歩くので、意外に混雑は気にならない。
みんな左側通行を守って整然と歩いているのも心地よい。
外国人には、大混雑なのに地面にゴミひとつ落ちていないのが驚きだったようだ。


上野公園から不忍池弁天堂へ出た。
こちらも外国人たちで大混雑していた。


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不忍池の桜にスズメがたくさんとまっていた。
来園者達からの餌の貰いが多い上、動物園の餌を盗んでいるので、みんな丸々太っている。

「本当にスズメかしら。もしかして、鳩じゃないの」
後ろからそんな声が聞こえた。
一般のスズメの2倍はありそうで、鳩と間違える人がいても仕方がない。

常連の地元のおばあさんが餌を手に差し出すと、スズメたちがすぐに寄ってきて手のひらの餌をついばんでいた。その様子がとても可愛い。
彼女によると、餌を載せた掌を顔より高く捧げるとスズメは安心して寄ってくるそうだ。


上野公園の花見の後は、アメ横の楽しさがが控えている。
こちらも半数以上は外人だ。
エスニックな香辛料の香りに多彩な国籍の人並み。
アメ横には異国を旅しているような活気があった。

空腹を感じたので"二木の菓子"で塩トマトを買った。
砂糖で甘く煮たトマトをほのかに塩味をつけたものだ。それと持参したアーモンドを一緒に食べるととても美味しい。


翌4月5日は新宿御苑へ出かけた。
花見の人気ランキングでは1位が新宿御苑。2位が千鳥ヶ淵。3位が上野公園だ。

入園は4時までで閉園は4時半。
新宿に着いたのは3時。
南口から甲州街道へ出た。

御苑までは花見客がぞろぞろ歩いているので迷うことはなかった。
7,8分で新宿御苑に着いた。

園内の人出は多いが、広いので混雑している感じはなかった。


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中央の白っぽい花は山桜系。
この清楚さは好きだ。

新宿御苑の桜は多彩だ。
ランキング1位なだけに最高の手入れがなされて、どの桜もとても美しい。
殊に、地面すれすれまで枝を垂らして咲いている姿は自然でのびやかで、大勢の外国人たちがカメラを構えていた。

昔はカメラで撮りまくるのは日本人の特徴だった。
今は国籍に関係なく、スマホやカメラで撮りまくってネットに上げている。それを見た本国の人たちが更に日本の桜に惹かれ、国際的な花見人気を生んでいるのだろう。

上野と同じく、新宿御苑も中国や東南アジアからの花見客が多かった。
版画家の菊池君は3月末までベトナム観光へ行っていた。
帰る時、花見に来日するベトナム人観光客が多くて飛行機のエコノミークラスが全く取れず、高額なビジネスクラスで帰国した。


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水辺の台湾閣。
戦前に建てられた皇室関係の涼を取る建物で、とても風情がある。
台湾閣の中から観る水辺の桜も美しい。


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桜は水辺が美しい。
遠景の鉛筆みたいなビルはNTTドコモ代々木ビル。
所在地は東京都渋谷区千駄ヶ谷。27階建で高さ239.85m。


小一時間で新宿御苑を出た。
入園締め切りの4時寸前だったが、まだ来園者は次々とやって来ていた。
さすが人気1位の桜の名所だ。


次は千鳥ヶ淵へ向かった。
最寄駅の半蔵門へは新宿から向かうのは不便だ。
地下鉄丸ノ内線で赤坂見附下車。長くて複雑な連絡通路を歩いて半蔵門線永田町駅で乗り換え、その次の半蔵門駅で下車した。

地上に出るとなんの変哲もないビル街だった。
本当に近くに千鳥ヶ淵公園があるのかちょっと不安になった。

駅前の地図で確認して、ビルの間を10分ほど歩くと突然にお堀に出た。
しかし、車が多く、楽しく花見ができるのか疑問が湧いた。


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しばらく花見客たちの列に混ざって歩いて行くと、写真で見慣れた千鳥ヶ淵公園に出た。
傍の靖国神社の木立の間に見える大鳥居は、まるでSF映画に登場する巨大な宇宙船みたいだった。


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なるほど、人気ランク2位に選ばれるほどの華麗さに納得した。
絵葉書みたいで見慣れた景色だが、実物の感動は別格だ。
対岸の北の丸の城塞を覆う桜は迫力の華麗さだった。

北の丸公園まで、桜を楽しみながら歩いた。
こちらは桜は少なく閑散としていた。
車道脇にある千鳥ヶ淵と比べ、樹木は多く静かで、広い芝生の中央で100人ほどの大グループがシートを敷いて宴会をしていた。
黄昏の森を眺めながら、木造の休憩所で夕暮れを待った。

再度、千鳥ヶ淵公園に戻るとすぐにled照明のライトアップが始まった。
「オー」と地響きのような歓声に交ざって「オー、ビューテフル」の声が聞こえた。

まさしく、数多く紹介されている夜桜そのままの絶景だったが、私は自然のままが好きだ。長居はせずに帰路に着いた。


桜は6日に散り始めるとの予報だった。
最後の6日の花見は鎌倉の山桜の花見と決めていた。

京浜東北線で2時に赤羽を出た。
いつもなら東京駅で横須賀線に乗り換えるが、踏切事故で遅れが出ていると車内表示に出た。遠回りだが確実さを選び、終点の大船まで行くことにした。

延々と雑然とした街並みが続き、憂鬱になった。
鎌倉行きは失敗だったような気がしてならなかった。

途中、寝入り、目覚めると横浜だった。
さらに延々と時間は過ぎて、3時50分にやっと大船に着いた。
すぐに横須賀線に乗り換え、次の北鎌倉駅に着いたのは3時55分だった。


北鎌倉駅前の円覚寺に向かった。
閉門は4時半なので30分は滞在できる。


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境内に入ると、鎌倉行きを迷ったのは杞憂だと思った。
この日本的な風景は心休まる。
鎌倉では至る所、背景に自然林に覆われた山が眺められる。


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僧坊背後の山肌の新緑と山桜が実に美しい。
最後の花見に鎌倉を選んだのは正解だった。

山の清々しい匂いがして、とても気持ちが良かった。
苔むした石垣にはスミレが咲いていた。
芍薬などの和の花々はどれも清楚で心に染み入った。

こちらも外国人が多かったが、欧米系ばかりだった。
中国人も少し混ざっているが、鎌倉へ足を延ばす中国人は意識が高く、見た目ではわからない。


M_x境内にある百観音で見かけた家族旅行の15,6歳の女の子。
まるで水着みたいな服装だった。

強烈な露出だが、日本人感覚では色気を感じない。
言い方は悪いが、ホルスタインのおっぱいを眺めている感じだった。

 色即是空

彼女はスマホで一心不乱に観音様の石仏を撮っていた。
私は幾度も円覚寺に来ているが、その観音様の石仏を観たのは初めてだ。

百はないが、40体はあった。
どれも4,50センチと小柄で味わい深い。
次はじっくりと味わってみたい。

閉園時間は厳格ではなく、5時近くなっても境内には参拝客が多くいた。


建長寺から切り通しの道を鎌倉へ歩いた。
「危険なので絶対に登らないでください」と書かれた苔むした超急傾斜石段の小さな社などがあり、車が少なければ楽しい道だ。

途中、裏から鶴岡八幡宮へ入ってお参りした。
八幡宮前の一直線の参道の桜は終わって葉桜になっていた。
途中から小町通へそれた。
こちらは観光客で混雑していた。

鎌倉駅へ歩きながら無性にステーキが食べたくなった。
しかし、あるのは女性向けの甘いもの屋ばかりだった。


帰りは横須賀線で東京へ向かった。
電車は空席だらけでボックス席に楽に座れた。

ボックス席は旅情を感じる。
通路向こうの席は一人旅らしい欧米系のヒゲの若者。
彼は食い入るように黄昏の郊外風景を眺めていた。
夕景の中、いたるところ満開の桜が美しく浮き上がって見えた。


あらためて日本の桜を眺めると、実に美しい。
我々日本人がかくも桜を愛して来た訳が、71歳になって初めて分かった。
もしかすると、桜の美しさは外国人の方が理解しているのかもしれない。

今日、桜が散り始めたのがとても寂しい。
この想いが、来年の花見を待つ気持ちに繋がるのだろう。


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Goof

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