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2016年6月 9日 (木)

やがて訪れるAI・人工知能社会におけるベーシックインカムの必要性。16年6月9日

先日、スイスの 国民投票で市民団体が提起したベーシックインカム導入が大差で否決された。
それは年金・失業保険を廃止し、毎月18歳以上に日本円にして27万円ほど、18歳未満には6万8000円ほどを無条件で支給するものだ。
ベーシックインカム=条件を付けずにすべての国民に生活できるだけのお金を支払う制度。

反対意見は財源不足、労働意欲の減退などで、現状での反対は真っ当な反応だ。
しかし、AI(人工知能)がシンギュラリティ(技術的変異点)を迎え、人口の半数が失業する未来社会では、ベーシックインカムは絶対必要なシステムとなる。
フィンランドでは来年度から失業者など一部の国民を対象に1〜3年を限度にベーシックインカムが試験的に実施される。給付額は月額800ユーロ・日本円で約10万6400円ほど。オランダでも自治体レベルで試験的に始まる。
今回のスイスでの国民投票は資本主義経済の低迷と、やがて訪れるAI社会への布石だと思っている


ベーシックインカムは18世紀末に社会思想家のトマス・ペインが主張したものだ。
労働意欲を低下させ、税負担が増大するが、完全に生活保障されるので、企業は雇用調整をやりやすくなる。その結果、雇用の流動性が増し、新産業が次々と創出されて経済が活性化する。

現行の生活保護では生活水準が限界まで低下してから救貧するので人々の尊厳を傷つける。しかも、制度は働かない状態を維持させるように作用するので労働意欲の著しい低下を招く。

ベーシックインカムには防貧の側面が大きい。
仮に日本で社会保障を撤廃すれば、今の財源のまま全国民に一人当たり月額5万円程度のベーシックインカム支給が可能だ。ただし、健康保険は別途考慮する必要がある。

さらに、貯蓄税を設けて消費を刺激し、健康保険のために政府紙幣を発行すれば経済効果は大きい。ただし、政府紙幣の発行は悪性インフレや国債の暴落を招く恐れがあるので、慎重に配慮する必要がある。


野村総研やITアナリストたちは、20年後にAIの進化により労働者の半分が失業すると予測している。ソフトバンクの孫正義氏も数年内にAIが単純労働の分野に参入し、労働市場の大変化が始まると言っている。低賃金の国へ移転していた企業の国内回帰が始まっているのも、その前触れの一つだろう。

経済学者はそのような未来予測を無視し否定する者が多い。
少子高齢化問題も同じだ。老人が若返るアンチエイジングでその問題は解決するはずだが、経済学者はそうは考えない。だから、十年一日のごとく移民を受け入れなければ日本の未来はないと主張し続ける。

移民を受け入れれば一時的には潤うが、やがて多くは失業して大きな社会問題を起こす。経済学者の見当違いは、現実が変化していくことを想像できない思考回路の硬直によるものだ。


そのような経済学者でも、少数の富裕層が富を独占し続けることを危惧している。
今までは右肩上がりに経済規模を拡大し母体を大きくすることで解決してきたが、それは限界に達している。毎年のように政府は財政出動をしているが景気は浮上せず焼け石に水だ。それでも経済拡大を続ければ、地球の資源は食い尽くされ、資本主義経済は富裕層もろとも崩壊する。


AI(人工知能)が進化しシンギュラリティ(技術的変異点)を迎えた時、どのような事態が生まれるか。
その頃は今ある職業の半数が消える。今までの技術革新ではその都度新たな職種が創出されて失業者を受け入れてきたが、これからは新分野ですらAIの守備範囲に入り、失業者を受け入れる余地は小さい。

そのような未来社会ではAIが管理運営する無人の工場で大量の商品が低コストで生産される。しかし、どんなに商品が優れていて安くても、それを消費する労働者の半数が消えていれば、荒野で製品を売るようなものだ。

その時、少数の富裕層は、投資しても利益を出せず、資金も目減りし続け、彼らもまた破綻する。それは、触れるもの全てが金に変わるミダス王の寓話に似ている。金は素晴らしい金属だが、食べることはできずミダス王は膨大な金を抱えて死ぬことになる。

そのような未来への対策としてベーシックインカムは最も有効だとされている。
その時必要な財源はAIに課税することで生み出すことができる。

将来の失業率50%を悲劇にするか、半分の人が働くなくても生活できる世の中に変えるか、我々は心構えの岐路に立たされている。もし、失業率50%の未来でベーシックインカムと仕事を分け合うワーキングシェアが実現すれば、週3日働き、4日は好きなことをして過ごせるような豊かな社会が生まれる。


AIは黎明期だが、すでに米国では企業管理をAIが担当し、社員の勤務評定を有能にこなしている。
日本でも、ネスレ日本は平成26年末からソフトバンクの人型ロボット・ペッパーを接客に使っている。その結果、導入店舗の売り上げは15%伸びたと言う。
ペッパー1台当たりの導入費用は月5万5千円。それを人に置き換えると1カ月24万円の人件費が必要となる。


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散歩コースにある介護施設。

半年ほど前、入所者のベット傍におじいさんが腰掛けていた。入所者は彼の伴侶のようだ。会話は聞こえないが、二人の様子は小津安二郎の映画の一シーンのように、静かな愛情が溢れていた。

数日前から、そのベットは空になり、上に空のダンボールが置かれている。どうやら、おばあさんは退所したようだ。
介護施設から退所するケースは幾つかある。
体が更に弱り特別養護老人ホームに移転するケース。一般的には老人病院へ移り最期を迎えるケースが多い。絶対にないのは、自宅へ戻るケースだ。老人家庭では体力的に介護は無理だし、子供と同居していても、一旦、手が離れると元に戻すのは難しい。


6年前に死んだ母の介護で、2時間おきに目覚める癖がついて後を引いている。今は4時間で必ず目覚め二度寝は難しい。それで時折催眠剤のレンドルミンを飲んでいる。
飲めばよく眠れるが、翌日、終日、眠くけだるいのが辛い。


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先日も、前夜飲んだレンドルミンのおかげで終日けだるかった。
散歩途中、けだるくて介護施設前の芝生に横になると青空を白い雲が流れていた。

ふいに、子どもの頃暮らしていた南九州の風景を思い出した。
それは5,6歳の頃で、暮らしていた大堂津から母に連れられて隣町の目井津へ至る海沿いの道を歩いていた。海側の牡蠣に覆われた石垣に澄み切った波がポチャポチャと打ち寄せているのが楽しかった。沖合の亜熱帯の天然林に覆われた虚空蔵島の上に青空と白い雲が見えた。

芝生から見上げた白い雲はその時の雲に似ていると思った。
母は「みかんの花咲く丘」を口ずさんでいた。その頃の父の事業は浮き沈みが激しく、いつも母は借金取りに悩まされていたが、私たちに接する母はいつも楽しそうだった。

「子供たちはみんな元気で、辛いことがあっても、とても楽しかった」
母の介護を始めた頃、車椅子を押す私によく話していた。


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夕暮れの環八上空の入道雲。


北区の特定健康診査受診券が届いた。
期間は8月末までだが混雑と予約が煩わしいので受診しないことにしている。

自分の数値はおおむね把握している。
異常値は多く、運動食事と自分でできる健康管理は限界までやって問題が起きないようにしている。それでも改善しなかったら薬を飲む他ないが、薬には副作用がある。さらに心理的に半病人にさせられるのも嫌だ。それらのバランスを考え、今のままが一番良いと思っている。


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Goof

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