科学技術進歩を無視したNスペ「縮小ニッポンの衝撃」は、移民正当化のための脅しだ。16年9月26日
NHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」はマイナス思考ばかりで、見た人の多くを憂鬱にさせただろう。
経済システムが人口を右肩上がりに増やさなければ成り立たないとしたら、地球は確実に破滅する。すでに地球は超過密で息絶え絶えだ。地球温暖化に食糧難。中国の周辺諸国への侵略的勢力拡大。どれも人口過密がもたらした弊害だ。
番組によると、東京は地方からの若者転入により人口は微増し続けていたが、今は頭打ちになった。しかし、転入した若者たちの殆どは年収200万以下で結婚は難しく、人口の自然増は望めない。その結果、都の社会福祉もインフラ維持もやがて破綻するとの予測だ。
番組では取り上げてなかったが、その対策として政府や産業界は移民受け入れを考えている。もし、実現すれば、日本の若者たちは外国人労働者との競争に敗れ、さらに年収は減ることになる。ちなみに、日本では政府統計に反映しない違法な形で、150万の中国人を含め200万をこす外国人が働いている。
関連して難民受け入れに積極的なドイツのメルケル政権を賛美する知識人は多い。
しかし、難民の実態は壮健で裕福な男性ばかりで、本当に救援が必要な女子供たちは本国の難民収容所に取り残されたままだ。メルケル政権は一見、人道的に見えるが、政策の背景に安い労働力を求める産業界の後押しがある。メルケル政権が選挙で連敗しているのは国民がそれに気づいているからだ。
少子高齢化の弊害は過渡的なものだ。
しばらく耐えれば、自然にバランスがとれてくる。
番組では縮小ニッポンの代表例として夕張市を取り上げ、老人ばかりの廃墟寸前の団地などを陰々滅々と映し出していた。番組はそのように負の側面を強調するばかりだ。財政難による公立病院の減少で、住民の健康志向が強まり、有病率が減少して公的負担が減った現実は無視している。
人は座して滅びるのを待ったりはしない。
健全な考えの者なら、生き延びるために様々な手を打つ。
住まい前の荒川土手は、夜明け前から深夜まで、ウォーキングをする老人たちが途絶えることがない。生活コストで一番大きいのは健康を失うことだ。ある程度健康なら、生活費は安く抑えることができる。だから老人たちは未来を先取りして自衛を始めている。
10年20年後の本当の難問は、アンチエイジングで元気になった高齢者たちに仕事を与えることだ。今でさえ、若者以上に元気で勤労意欲があっても、熟年以上が仕事を得ることはとても厳しい。
政府や産業界や経済アナリストは、ことあるたびに労働者不足だと言うが、それは全くの欺瞞だ。男女格差に年齢格差と、潜在労働力を活用していないのに、働き手が減っていると声高に言いふらしている。番組の本当の目的は、産業界の要求に従い低賃金の移民受け入れを正当化するための布石に思えてならない。
番組では、人工知能やアンチエイジングなどの科学技術の進歩は意識的に除外されていた。
先月、新マックを買ってから、アップルの電話相談を頻繁に利用した。しかし、解決率は2割以下で、ほとんど役に立たなかった。これほどに相談員が無能なら、近い将来、彼らは人工知能と入れ替わるはずだ。そうなったら相談のストレスはなくなり、気持ち良く解決するだろう。
人工知能の発達で、これから10年間で仕事の半分が失われる予測されている。その時、若者たちの仕事は激減する。それにもかかわらず泥縄に移民を受け入れたら、やがて外国人労働者も失業し、欧米が抱えている深刻な人種対立に日本も巻き込まれることになる。
その時、生産性向上により安価な商品が世の中にあふれる。しかし、商品を買う人がいなければ経済は破綻する。だから、すべての人の生活を保障するベーシックインカムが検討されている。その時、支給対象を外国人と日本人を差別することは難しく新たな問題が生じるはずだ。
4年後の東京オリンピックには自動運転車の規制が大幅に緩和され、大変革が起きる。
過疎地に取り残された老人たちの抱える問題は、買い物や通院に必要な移動手段がないことだ。今は公費でマイクロバスなどを巡回させているが、人的コストがかかる上に便利ではない。しかし、超小型の自動運転の電気自動車が実用化されれば一気に解決する。
流通における運転手不足も同じだ。
ネットで買い物すれば、自動運転の無人小型トラックが24時間好きな時間に届けてくれる。山間の過疎地では、薬などの軽量物を自動操縦のドローンが低コストで運んでくれる。
都会に人が流入するのは買い物や医療の利便性にある。
しかし、都会は住居費が高すぎる上、子供を育てる環境も悪く、年収200万以下での結婚は難しい。だが、田舎なら200万以下でも結婚も子育ても楽にできる。もし、過疎地が都会並みに便利になれば、都会に転入した若者たちは自然にUターンを始めるはずだ。
介護が必要な老人については、アンチエイジング医療の進化で公的コストは劇的に下がる。
食糧問題は、全国に広がり続けている放置農地に若者を送り込むことで解決する。僻地農業の魅力が増せば、就職も結婚もできない若者たちが自ら担ってくれるはずだ。農産物の価格競争は次期米国大統領が誰でもTPPは空中分解しそうなので問題にならない。
過疎地は首都圏でも拡大している。
ジブリアニメの「耳をすませば」のモデルになった高級住宅地聖蹟桜ケ丘でも過疎化が始まっている。起伏のある地形は見た目は良いが、老人に坂道は厳しい。経営が成り立たなくなったスーパーは次々と閉鎖され、急速に活気が失われている。
開発当時は高級住宅地として団塊の世代が殺到したが、今は子供達が家を出て、広い家に老人たちが取り残されている。広い敷地に大きな家は若者には魅力だが、老人が維持管理するには広すぎる。私の知人たちも、使わない部屋ばかりの大きな家に住んで維持管理に苦労している。
本当は、老人には狭い庭と小さな家が住みやすい。
方丈記の鴨長明の庵は一丈四方ととても小さいが、老人には心地よい広さだった。彼はその小さな家からシニカルに世の移り変わりを眺めて名作を生んだ。・・・一丈は約3m。
広い家に住む現代人の幸せの定義は狂っている。
建築家たちは大家族から核家族まで自在に対応できる集合住宅のような家を考えるべきだ。使わなくなった空き部屋は独立させて人に貸し出す。そうすれば、住民は住宅費の大きな負担から解放される。
公的施設でも個人でできることは自分でやるべきだ。
番組では夕張の老朽化した保育所が取り上げられていたが、隙間風が吹き込む壁の隙間の充填や、剥げたペンキの塗り直しは父兄でもできることだ。昔の父兄ならそんなことは当然の奉仕として当たり前にやっていた。
なんでも公に頼る気持ちが財政負担を増大させている。
番組で唯一救いだったのは島根の飯南町の公的サービスを住民に委ねる試みだった。町では住民組織を各地に設けて、住人全てをメンバーにして、送迎バスの運転を始め、水道の検針や簡単な福祉サービスなどを自分たちで始めていた。
政府が今すぐにやるべきことは、モデル過疎地を選んで、人口縮小への対策の実証実験をすることだ。ネットによる買い物。自動運転車による外出。ドローンによる薬などの軽量物の宅配。それらは今の技術ですぐに対応できる。
これから日本に引き続き、世界中で少子高齢化は起きる。日本がいち早く高齢化対策の先進技術を手にすれば、国際競争で勝ち残ることができる。科学の進歩を無視したこの番組は、見る人を憂鬱にさせるばかりで救いがなかった。
荒川土手の彼岸花。
日中、少し太陽が顔を出したが、すぐに雲に覆われた。
部屋の湿度計は朝から90パーセント超。買い物へ行くと冷房の効いているスーパーのガラスドアが結露していた。
夜道を歩いているとキンモクセイが香った。
あっという間に秋は近づいていた。
テレビ東京で「ER緊急救命室」の再放送が始まっている。
知らない人には、ジョージ・クルーニーの出世作と言えば分かるかもしれない。最初の放映の頃、元気だった母はこの番組が大好きだった。
ストーリーに起承転結はなく、緊急救命室で繰り広げられる幾つかのエピソードをドキュメンタリータッチで繋いだだけだが、不思議な緊迫感が魅力になっている。
今日のエピソードの一つは、黒人医師ベントンの母親が急死したことだった。最初に見た時はほとんど記憶には残っていなかったが、母と死別した今見ると、ジーンと心を揺り動かされた。
夕日。時折小さな雨が落ちていた。
先日、散歩コースの遊歩道で知っている黒ネコが死んだ。
夕暮れ歩いていると足元に血が点々落ちているのに気付き、とっさに避けた。
「気がつきましたか」
傍で立ち話していた女性二人が声をかけた。
聞くと、犬を散歩させていた者がけしかけて噛み殺させたと言う。本当にひどい話だ。そのようなサディスティクな性癖の者は、やがて対象をネコから人へエスカレートさせる。
彼女たちは黒ネコの死の経緯を書いた張り紙をして警告すると話していた。
最近、親しかった知人が死んだ。
今年に入って3人目だ。子どもの頃、彼女は近所の若いお嫁さんで、私をとても可愛がってくれた。母とも仲が良く、お中元やお歳暮をやり取りしていた。彼女は私の好物をよく記憶していて、郷里の魚などに、必ず加えておいてくれた。
親との死別の寂しさは幾つかある。
二度と話せないことは一番辛いが、親を記憶していた人が亡くなるのも寂しい。
もう一つの寂しさは自分自身の親への記憶が薄れていくことだ。
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