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2017年1月 6日 (金)

ユヴァル・ノア・ハラリ著サピエンス全史は幸せの出発点だが、老子荘子はその先の幸せへの道筋を2千年前に示していた。 2017年1月6日

世界的ベストセラー「サピエンス全史」についてNHKクローズアップ現代が「幸福を探して人類250万年の旅」を副題に取り上げていた。著者はイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏。オバマ大統領、ビルゲイツ氏、Facebook創業者のザッカーバーグ氏、など世界のトップたちがこぞって絶賛し、世界48カ国で200万部以上売れている。

2017年はトランプ大統領就任、英国のEU離脱、資本主義経済の行き詰まりにAIの進化と、世界は歴史の大きな岐路に立っている。その混迷と不安の中からいかに幸せ掴み取るか。それを「サピエンス全史」は示唆していた。

しかし、登場したホリエモンも言っていたように、内容に目新しい考えは一つもない。全てメディアなどで幾度となく取り上げられてきた項目ばかりだ。それでもヒットしたのは、支配階級ではなく一般の人々の視点から歴史を眺め、意表をつく表現があったからだ。


人類史を大きく区分すると最初に7万年前の認知革命がある。
ホモ・サピエンスはフィクション-作り事を信じる力を持っていたことで組織化され、肉体的に頑強なネアンデルタール人を圧倒し駆逐してしまった。
ネアンデルタールは喉から口腔への構造上、ホモ・サピエンスのような多彩な言葉を会得できなかった。更に、彼らの思考は現実にあるものしか考えられず、複雑な会話ができなかった。対して、ホモ・サピエンスは複雑な思考で自分たちの神話を構築し、機能的で強い集団を組織化することができた。

しかし「サピエンス全史」のネアンデルタール人についての記述には異論がある。
ネアンデルタール人は埋葬の習慣を持ち、幼児の墓に野の花が添えられていた痕跡が発見されている。花粉から推定するとそれらの草花に薬草も含まれていて、肉体的に強くても心優しい種族だったとの説がある。

ネアンデルタール人はホモ・サピエンスの組織力に圧倒されたが、完全に駆逐された訳ではない。混血して、ネアンデルタール人由来のDNA配列を数パーセント現代人に残している。


老子荘子は知識はない方が幸せだと言っている。
自然児であったネアンデルタールこそ老子荘子の言う人の理想形で、彼らを駆逐したホモ・サピエンスの知力は人を不幸に追い込んで行った元凶だった。

それを端的に示すのが1万2千年前の農業革命だ。
農業の発達により、国家が生まれ文明が発展した。
しかし、農業革命による食料増産は農耕民のより良い生活やより楽しい余暇には結びつかず、それ以前の狩猟採集時代より貧しく不幸になった。
更に品種改良された小麦を擬人化してその視線で見ると、農耕民は小麦に隷属し家畜化させられた哀れな存在だった。その図式は現代到るまで変わらず、今は労働者が発展した機械文明に隷属している。作者はその状況を「農業革命は史上最低の詐欺であった」と記しているほどだ。


農業革命によって生み出された、神、法律、国家、組織など全て、人々を縛りつけるフィクション=作り事・約束事で、真の幸せはもたらせなかった。

その後、資本主義経済が生まれ科学革命が起きた。それは人口も消費も生産も右肩上がりに増大させなければ成立しない経済システムで、人類さらに悩み翻弄させられることになった。

有限な地球で人類だけが右肩上がりに独占を続ければ、必ず地球の許容量を超えて破綻してしまう。資本主義経済は良くできた制度だが、すでにその限界点に達している。
作者は次のように記している。
「2014年の経済のパイは1500年のものよりはるかに大きいが、その分配はあまりに不公平で、アフリカの農民やインドネシアの労働者が1日身を粉にして働いても、手にする食料は500年前の祖先よりも少ない。人類とグローバル経済は発展し続けるだろうが、さらに多くの人々が飢えと貧困に喘ぎながら生きていくことになるかもしれない」

作者だけでなく経済学者たちも格差や停滞はさらに悪化の一途を辿ると予測している。
資本主義に代わる新体制を模索する学者もいるが、それは一時しのぎの措置だ。
真の豊かさへの到達はAI=人工知能の進化によって現体制の限界を突破するのを待つほかない。慎重にAIを発展させれば、少子高齢化の弊害なしに豊かな社会を手に入れられる。そうなれば究極のアンチエイジング技術、労働の苦労のない安定した生活などを誰もが享受できるようになる。


「サピエンス全史」は幸せの出発点を示していたが、荘子の言葉に「理想的な社会は人々に知識がなくて、食べ物が十分にあって、健康である社会だ」がある。それはまさしくAIによるシンギュラリティが起きて、人々が勉学や労働の努力なしで豊かな生活ができる近未来社会だ。
老子荘子は2000年以上前に作者がやっとたどり着いた出発点を軽々と予見し、さらにその先を考え、いかに生きるべきかを書き残した。多分、作者のハラリ氏は老子荘子を理解していなかったはずだ。

西欧的な考えでは知識は絶対的な善だが、老子荘子は知識は不要だと考えた。
西欧文明にどっぷり浸かっている我々には実に過激な思想だが、これまでの歴史を見ると、知識は支配者、国家間の争い、極度の格差社会を生んだ元凶だった。

「機事を巡らすものは機事に翻弄される」は老子荘子の言葉だ。
まさしく我々は便利な機械に翻弄されている。
だからと言って、荘子は文明を否定はしていない。
何事も中庸にほどほどが良いと言っている。
その中庸こそが人が身につけるべき真の知性で、人類を幸せに導くものだ。


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寒い雨の日の空想。
子供の頃、みんなでビニールシートと毛布を持ち寄り、山でキャンプをした。木の枝にピニールシートを結びつけ、枯葉を積み上げシートを広げた。
雨が降ると、ビニールに雨粒がキラキラと透けて見えた。
地面の上で暖かい毛布にくるまって寝ると、幸せいっぱいになった。
そんなことを思い出しながら描いた。


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4日、新宿の世界堂へ画材を買いに出かけた。
1万以下の紙幣はすぐ取り出せるように、カード入れと一緒にポケットに直に入れている。
そのため、スイカが入っているカード入れを改札で取り出した時、折りたたんだ千円札数枚を落としてしまった。正月早々、金を落とすとは縁起でもないと落ち込んでしまった。

しかし、よくよく考えると、お金を落とした上に悩むのは二重の損失だ。禅語に「前後際断せよ」がある。今の現実の前の過去も先の未来もその際で断ち切り、今に没頭せよ、との意味だ。
その言葉を噛み締めながら、この絵を描いた。
描いて行く内に心が晴れて行った。

5日、散歩に出ると1円玉を拾った。
損得勘定はあわないが、とても満たされた気がした。
北風が寒い。6日から寒くなりそうだ。


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