病院の美味しいコーヒー、そして様々な離別。17年6月15日
毎日のように東京北医療センターのカフテリアでコーヒーを飲んでいる。
静かで雰囲気がよく、疲れが取れる。
目の前は病院への通路で、午後遅くは見舞帰りの客が通る。
産婦人科が充実しているので出産祝いの客は多い。
彼らは華やいでいるが、病気見舞いの客は足取りが重い。
昨日は80代半ばの長身の老人がトボトボと過ぎて行った。
右手に杖、左手に着替えなどを詰めた買い物袋。
世話をしてくれる人がいないようで、なんとなく薄汚れ、後ろ姿は寂げだ。
入院しているのは彼の老妻で、病状が芳しくないのかもしれない。
病院庭の小さな花。
毎日、先に逝った肉親や友人たちを思い出している。
母が生きている頃は、まだ上があると思っていた。しかし、死別すると次は自分との思いが強い。死は恐れてはいないが、自分の老いを痛感することが増えた。
別れは死別だけではない。
老いや病による意思疎通ができなくなる別れもある。
死別ほどではないが、こちらもかなり寂しい。
母との死別後、間もなく8年目に入る。
これからの8年はさらに早く過ぎて、気がつくと80代で死の足音が間近に迫っているだろう。一生を1年に例えると今は12月に入り、かすかにジングルベルが聞こえるあたりだ。
夕刻に強烈な雷雨がやって来るとの予報だったので。5時前に帰宅した。
北方遠く埼玉上空に巨大な雷雲が見え、かすかに雷鳴が聞こえた。
日差しがあるが空気は冷んやりとしている。
この透明感は葬儀の後の静けさに似ていると思った。
ヤマモモが熟すと母の命日は近い。
母の終末期の頃、夜になると1時間おきに私を呼びつけ、ほとんど眠れない日が続いた。
体力は限界を超えて、このままでは倒れると覚悟していた。
ある日の昼間、疲れ果てて自室で横になっていると、ほとんど歩けない母が手すりを伝ってやって来た。
「どうしたの」と聞くと
「ああよかった。静かだからマサキがいなくなったのかと思った」
母は安堵したように言った。
その時は、母の世話が嫌になって私が家出したのでは、と勘違いしたのだと思った。
「世話のかかる親を置いて、出て行くわけがないだろう」
私は怒ったように答えたが、母は何も答えなかった。
それから間もなく母は死んだ。
今思うと、母の私への信頼感は強く、私が家出するなどとは微塵も考えなかったはずだ。
本当は私が倒れて死んだと思ったのかもしれない。
母は呼吸不全と心不全により、極度に酸素飽和度が低く幻覚がよく起きていた。
しかし、驚くほど頭は冴えていて認知症はなかった。
だから、私が疲れ果てていることはよく承知していて、それを母は気に病んでいた。
その後、母は1週間ほど寝たっきりになって7月1日に逝った。
母は私に負担をかけないために、自ら命を縮めたと今も信じている。
インデアンの老人が「今日は死ぬのに良い日だ」と言って死ぬことを、それ以来信じるようになった。
夜の荒川土手の散歩は心地よい。
今年の梅雨は涼しく夜風は寒いくらいだ。風の強い夜の浮間が池の森のざわめきは心地よい。深夜まで、ジョギングやウォーキングの人が途絶えないのは、それらの自然の素晴らしさを知っているからだ。
土手上から家々の明かりを眺めるのもいい。
一つ一つの明かりに幸せな家庭があると想像すると、心が暖かくなる。
母も同じことを話していた。
夜汽車が農村地帯を行く時、田んぼの中に転々と明かりが見える。
その時、一つ一つに幸せな家庭があると思うと暖かい気持ちになる、と母は話していた。
先週、明治神宮へ行った。
噂通り、外人ばかりだった。
日本人は少数で、自分が異邦人になったような気分になった。
その後竹下通りへ行った。
こちらは人種が溶け混ざっていて、楽しかった。
総務省の新しいイノベーションへの提言へ応募するための説明会へ出席した。
その時の女性官僚。
やや意地悪くデフォルメしてあるが、本当は好人物だ。
日南紀行は膨大な量を書き上げているが、アップする気になれない。
地方と東京の格差。簡単に語れない重さがある。
締め切りが次々と迫っているのに、よく出かけている。
先週は友人に誘われてお台場へ行った。
郷里の海とは違うが、東京の海も好きだ。
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