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2018年1月14日 (日)

正月は36年前の早坂暁作「夢千代日記」の再放送を見た。18年1月14日

早坂暁氏は去年暮れ12月16日、腹部大動脈瘤破裂で急死された。享年88歳。
NHKでは氏を偲んで「夢千代日記」を再放送した。音楽は武満徹。主演と語りは吉永小百合。昭和56年当時の画面を見ていると、その頃の自分や元気だった肉親や知人たちを走馬灯のように思い出して、過ぎてしまった年月の大きさを痛感する。

作者・早坂暁は「夢千代日記」を生涯で一番に評価していた。しかし、世間は次作ドラマ「花へんろ」を評価していた。私も「花へんろ」の方が強く心に残っている。「夢千代日記」は母が夢中で見ていたので、なんとなく切れ切れに見ただけで思い入れはなかった。

吉永小百合は同年齢で私より数ヶ月若い。
彼女主演の映画では「キューポラのある街」が好きだった。10代の初々しいイメージが強かったので、「吉永小百合もすっかりおばちゃんだな」と思いながら見ていた。しかし、今見ると、とても若くて可愛い。殊に貝殻節 ・鳥取県民謡を踊る彼女の仕草が格別に可愛い。男性を見上げるときの視線も切なげでいい。タモリが大ファンだったのはうなづける。

ちなみに、ドラマの場末ストリップ劇場のストリッパー・アサ子役は私の高校での2年先輩の緑魔子。当時はもっと長身でとんがっている都会的な女性と思い込んでいた。しかし、今見ると素朴な風貌だった。

ストリップ劇場・照明係のアンちゃん役は、あがた森魚。彼のバイオリンと歌「赤色エレジー・・・幸子の幸は何処にある 男一郎ままよとて 昭和余年は春も宵 桜吹雪けば情も舞う・・・」に合わせて舞うアサ子には昭和の香りが芬芬として良かった。

平成も終わり近くなった今、昭和の胡散臭さは日本から遠くなってしまった。最近、新宿が好きになったのは昭和への郷愁があるからかもしれない。

先日のドキュメント72時間は新宿花園神社の酉の市だった。私は昔から浅草の酉の市へ行っている。浅草と比べると、近くに歌舞伎町があり、IT関係の企業が多いせいか来客の雰囲気が全く違う。どことなくアングラ演劇の雰囲気がする。熊手も浅草と作りが違うのに驚いた。売り手も浅草は和の粋を感じるが、花園神社は和洋折衷の感じだった。

番組の中で突然流れた藤圭子の夢は夜ひらくの血を吐くような歌声に、新宿・酉の市風景はさらに陰影が深くなった。境内の見世物小屋も胡散臭くて良かった。座主が話していたように、昔は見世物小屋が4,5軒は境内に並んでいた。昭和にタイムスリップしたように、画面に見入ってしまった。


36年は長い。ドラマの背景や空気感が今とまるで違う。
舞台は山陰の架空の温泉町・湯の里。ロケ地は兵庫県美方郡湯村温泉。

当時は父はまだ生きていた。この2年後に、70代後半の父は人と共同で会社を起こした。その人は初めから騙すつもりで、父を保証人にして闇金から金を借りるとすぐに逃げてしまった。
闇金からの取り立ては厳しく、父はショックで倒れてしまった。取り立ては父に替わり私に向かったが、頑として拒否した。当時の私は今よりずっと豊かで、持ち金をかき集めれば返済は可能だったが、長年、母と私は父の借金を辛い思いで返済してきた。それまでの借金は父に殆ど責任があり、放っておくと保証人に迷惑をかけたからだ。しかし、最後の父の負債は詐欺によるもので、絶対に払いたくなかった。その経緯は「死ぬ程怖かった闇金の取り立てと、父の名刺の束。12年2月24日」に書いた。

そのような昔の記憶を「夢千代日記」画面の日本海の寒く厳しい海に重ねながら見ていた。
芸者夢千代(吉永小百合)はその温泉町の小さな置屋・はる屋を営んでいた。そこには、さまざまな事情を抱えた男女が吹き溜まりのように集まっていた。

ドラマ冒頭で、原爆症の夢千代は神戸の病院帰りの山陰本線の列車で刑事の山根(林隆三)と出会った。列車は余部(あまるべ)鉄橋を通過していた。車窓からはるかに下に見える集落が印象的で、このドラマをきっかけに余部鉄橋は全国的に知られた。

当時は風情のある古い鉄製橋梁だったが、1986年12月28日の列車転落事故を契機にコンクリート橋に建て替えられた。事故の概要は福知山発浜坂行下り回送列車が走行中、 風速33mの突風にあおられて客車7両が約41m下に転落し 水産加工工場と民家を直撃して車掌1名と水産加工工場女性従業員5名が死亡し、 6名のけが人が出た。機関車は非常に重かったので転落は免れた。

原因は列車指令員が運転停止にすべきにもかかわらず、 列車を強行させたのが原因とされている。しかし、この程度の風速で吹き飛ばされるとは考えにくい。強風によって橋梁に自励振動が起こり、線路が曲がって脱線転落したとの見方が強い。事故後、鉄製橋梁はコンクリート橋梁に建て替えられた。鉄道フアンにはクラシックな鉄製が人気があったが、安全を考えたら致し方ない。

ドラマは夢千代のはる屋に関わる殺人容疑のかかった元芸者市駒(片桐夕子)を追って来た山根刑事(林隆三)と夢千代との出会いで始まった。心中未遂の芸者・金魚(秋吉久美子)、末期の子宮ガンの千代春(楠トシエ)、男に逃げられてばかりの菊奴(樹木希林)。芸者雀(大信田礼子)。経営者の町の顔役山本倉次郎(長門勇)など、36年前の彼らはみな若かった。彼らに重なる寒々とした山陰の海が印象的だ。

このドラマあたりから日本経済は急上昇してバブル経済に突入した。しかし、湯村の光景はさして変化せず、36年後の今、ストリートビューで見ても町の佇まいは当時のままだ。


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荒川夕景


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荒川土手の紅ツメクサの花。
この辺りは氷点下5度ほどに下がる。
その厳しい寒さに負けずに咲いていた。


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土手近くの飼い猫。
草むらに何かを見つけた様子。
顔見知りの子で、呼ぶと「ニャン」と近づいてきて甘えた。


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夕富士。
日の入りが少し伸びた。


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Goof

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