日産・ゴーンCOO逮捕の真相。それはフランス政府とルノーによる日産の完全支配に対する抵抗だった。18年11月21日
20日はゴーンCOO逮捕のニュースで終わった。
この経緯と目的は複雑だ。最初はゴーン就任は大成功で、倒産寸前の日産は短期間でV字回復した。彼には日本的しがらみがなく、果敢に大規模リストラができたからだ。
日本の大会社が危うくなるケースのほとんどは、優れた人材や技術があるのにも関わらず経営陣が無能だからだ。だから、まともな経営戦略を持つ者をトップに据えれば、業績は急回復する。
誤解してはならないのは、ルノーが日産を助けたのは、大きな利益が得られると確信したからだ。可哀想だからと、情けで助けたわけではない。今回の流れを情緒的に捉えると真相は見えてこない。単純にビジネス上の問題だった。
日産のV字回復はゴーン1人の功績ではなかった。その証拠に、ゴーンがトップを務めるルノーの経営は低迷し続け、今では日産がもたらす収益でかろうじて維持されている。
日本人はお人好しで、人を非難することが下手だ。だから、紳士的にゴーンは優秀だと褒め称えていたが、彼の成功は現場の真面目で優秀な日産社員が支えてくれた結果だ。
マクロン大統領とゴーンCOOとの確執が言われていた。それは、フランス政府がルノーによる日産の吸収合併を要求したからだ。もし、それが実施されたら、ゴーン自身の立場が危うくなるので反対していた。しかし、最近は合併吸収の代償として、グループ支配延長を確約する合意がなされた。それは好調な日産が低迷するルノーに支配される不公平な合併だった。ゴーンはフランス企業ルノーのトップにとどまることを選んだ。彼の深層には非フランス人としての劣等感があったのかもしれない。
確かに日産はルノーから助けてもらったが、その借金は十二分に返済した、今は日産がルノーを助けている関係が続いている。
日産の日本人幹部たちは、ルノーとの関係はゆるくして独自路線を取りたいのが本意だ。そこにルノーが日産を吸収合併する話が聞こえてきた。これまでも十分に貢いできたのに、さらに利益を吸い取られてはかなわないとの危機感を抱いた日本人幹部たちは団結した。そして、クーデターを起こすのは今しかない、と思った。
ゴーンCOOはレバノン人の元妻を訴え、10〜50億もの慰謝料を要求していた。その理不尽さと強欲に怒った元妻が、巨額な金銭の不正な流れをリークしたとの噂もある。ちなみに、ゴーンの親はレバノン人で、彼はブラジルで生まれレバノンで育った。両国では彼の経営手腕が高く評価され、大統領に推する声もあった。
逮捕された今だからか、日産内部から様々な悪い噂が漏れ出て来る。彼はCOOとしては強欲で利己的で、失敗は部下に押し付け、成功は自分のものにしていたようだ。日産の不正データ発覚の時も、担当者たちの無謀なリストラで遠因を作ったゴーンは責任を取らず部下に押し付けた。そんな経緯で日本人の多くが彼から離反して行った。
収入の半分を隠していたとか、世界各地にある豪邸を私用に使っていたとか、その程度のことは日産ほどの大企業にとっては小さなことだ。彼はサラリーマン社長で、収入は源泉徴収されているから脱税する必要はない。さらに、彼のサラリーは海外で得ているので、日本の国税庁は介入できない。今回の告発の目的はゴーンCOOの排除で、それが成功すれば十分だ。
ゴーンCOOをやめさせる内部告発は諸刃の刃で告発者自身が罪に問われかねない。幸い今年6月から日本でも司法取引が導入され、内部告発をしても身の安全が保障された。その結果、クーデターは一気に成功した。これで、日産を利用して雇用増を目論んでいたマクロン大統領の思惑は外れた。もし、フランスの意向を汲んだゴーンCOOが強引に日産をルノーに合併吸収させたら、日産は貧乏くじを引かされた。
合併吸収後は、大きな雇用を生むエンジン車部門はフランスのルノーへ持って行き、日本の日産は電気自動車生産に特化する、との噂もあった。現在の電気自動車はコモディティ化されていて雇用は産まないし、高すぎて売れず産業としての旨味は少ない。投機家に操られたマスコミは、温暖化防止のために今すぐにエンジン自動車は消えると言いふらしているが、それは絶対にない。10年経っても、電気自動車の普及は3割程度だ。
勾留中の側近・代表取締役グレゴリー・ケリーは外国人執行役員らに有価証券報告書への虚偽記載を指示していた。東京地検はこの執行役員と司法取引し重要情報を得た。
弁護士資格があるケリーは極めて悪がしこく、ゴーンに悪知恵をつけていた。
ゴーンは言うことを聞かないルノーより、自分の言いなりになる日産が好きだったようだ。この事件の発端はルノーの大株主であるフランス政府と日産の争いだった。しかし、国家間の争いにすると厄介なので、企業同士の争いに決着したいのが両政府の意向だろう。今回のような過少申告でゴーンが実刑を受けることはないだろうが、権力と信頼を失うことは確かだ。
ゴーンは今回の事態を予測できたはずだ。しかし、彼は日本企業を抵抗できない弱虫だと甘く見ていた。それは長年、思いのままに日産を支配してきた奢りによるものだ。もし、彼が真の策士だったら、ギリギリまでフランスにとどまって、不可逆的に日産をルノーの子会社にしていた。日本人はいざとなると団結し、厳しく抵抗する。その資質を彼は見誤ったようだ。
功成り名遂げて退くは天の道なり 老子
ほとんどの独裁者は驕り高ぶり権力を手放さず、有終の美を飾れない。
強大であるほど権力者の身の引きどころは難しい。
荒川・雨上がりの荒川土手。
同じく雨上がりの夕空。
その日の緑道公園。
自己融着テープ。最近知った便利グッズ。
ほとんど使っていないイアホーンをベンチの隙間に引っ掛けて伸ばし、銅線を剥き出しにしてしまった。従来のビニールテープでは綺麗に補修できない。それでホームセンターで探して、このテープに出会った。
これはゴムの一種で、粘着剤はついていない。引っ張ってラップのように薄く伸ばし、巻きつけると素材同士が融着して一体化する。巻きつけに失敗すると、切り開かないと取り外せないほど強固にくっついている。耐水性があるので、水道管補修にも最適だ。
雪の日の電話ボックス。
最近、公衆電話がなくなった。
今の子供たちは公衆電話の意味が分からないだろう。
まして、電話ボックスなど何のためにあるのか見当もつかないだろう。
まだ、電話ボックスがかろうじて残っていた10年前の雪の日。
電話ボックスが人待ち顔でポツンと立っていた。
| 固定リンク
« 小麦食によって脳は傷つき怒りを起こしやすい。酉の市。映像の世紀。18年11月5日 | トップページ | アンチエイジング効果があるエゴマ油が店頭から払底したが、亜麻仁油でも同じ働きがある。18年11月24日 »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 日本学術会議の暗部。寂しくなった銀座。ベランダの夜風に金木犀の香り。令和2年10月3日(2020.10.03)
- ゴーンに「もの言う投資家」村上氏など、強欲な経済人たちの開き直り。温室効果ガス排出の新研究。19年3月6日(2019.03.06)
- 日産・ゴーンCOO逮捕の真相。それはフランス政府とルノーによる日産の完全支配に対する抵抗だった。18年11月21日(2018.11.21)
- 北朝鮮の核ミサイル開発と米朝和平と金正恩王朝の命運は慰安婦問題に繋がる。17年9月5日(2017.09.05)
- やがて訪れるAI・人工知能社会におけるベーシックインカムの必要性。16年6月9日(2016.06.09)