血糖値(グルコース)スパイクは時計を前にダラダラ食いで克服。高血糖・AGE・活性酸素での老化危機は一病息災に光明。令和元年10月19日
当ブログでアクセス数が多かった、高血糖・老化防止について記したベージをまとめた。
1・急激に血糖値が上下して、血管を破壊し老化を進める血糖値(グルコース)スパイク、について。
2・余分な血糖と体内タンパク質が結びついて生じる悪玉老化物質AGE、について。
3・血糖値を安定させ老化を防ぐ、慢性炎症の治療でについて。
1・2・3・は深く関連し、その一つを減らすと他も改善する。
殊に血糖値スパイクは、単なる糖尿病の前段階ではなく、それ自体が危険な病気であり、老化を進行させる。
No.1 血糖値(グルコース)スパイク
血糖値(グルコース)スパイクを起すと、血液中に大量の活性酸素が発生して血管内壁の42%の細胞が壊れてしまう。放置すると動脈硬化が進行し、脳梗塞、心筋梗塞、認知症を引き起こし、最悪、各所の細胞をがん化させる。
更に、インスリンの大量分泌で膵臓のβ細胞が疲弊し、やがて二型糖尿病へ至る。
β細胞が劣化することでインスリン不足に陥り、結果、アミロイドβが脳に蓄積して記憶力が低下し、アルツハイマー病を引き起こす。
そのように成人病の多くは、血糖値スパイクと深い関わりがある。
血糖値(グルコース)スパイクとは、空腹時血糖値が正常であっても、食後短時間に血糖値が急上昇する病態を言う。
血糖値スパイクの危険性は空腹時血糖値との落差の大きさにある。
空腹時血糖値は高いが、最高値との落差の小さい二型糖尿病患者と比べると、血管は大きな損傷を受ける。
にもかかわらず、空腹時血糖値だけを注視する現行の健康診断には問題がある。
健康診断で血糖値が正常であっても、高血糖スパイクを起こしている人は日本では1400万人いると推定されている。
診断基準は空腹時が100mg/dl以下の正常値であっても、食後に140mg/dl以上に上がれば血糖値スパイクとされる。
従来、食後2時間値が140mg/dl以下なら重篤な合併症に至らないと考えられてきた。しかし、その基準では食後2時間の間に基準値を超えて、血糖値スパイクを起こしている可能性は否定できない。
血糖値スパイクの自覚症状は、高血糖時に異常な眠気や気だるさを覚えることが多い。
よく、喫茶店などでの軽食の後に深く眠りこけている人を見かける。彼らは血糖値スパイクを起こしている可能性が高い。
従来の糖尿病診断での血糖値スパイクは、糖尿病前段階である境界型に分類された。
今は、血糖値スパイク自体が危険な病気とされている。
原因は多食、運動不足、ストレス、睡眠不足がある。
殊に睡眠障害があると交感神経が興奮し、インスリンの効き目を悪くして引き起こす。
熟睡をしないとインスリン分泌能も衰え高血糖を招く。
例えば、睡眠7.5時間ではインシュリン分泌能が62.3%なのに対し、1時間多い8.5時間睡眠では73パーセントに増える。
睡眠障害があると、そのストレスのために糖尿病は2倍発症しやすい。
ストレスは睡眠不足があると増大し、ストレスホルモンは血糖値を上げる。血糖値が高くなるとストレスが生じ睡眠障害が起きる。この悪循環を断たなければ血糖値は悪化する一方だ。
就寝前の3時間以内に食事をして血糖値を上げるのは好ましくない。寝る前に何か食べると寝つきは良くなるが睡眠の質は大きく低下する。更に内臓脂肪を増やす弊害がある。
アジア人、殊に日本人は血糖値スパイクになりやすい。痩せている、太っている、年齢などに関係なく5人に1人は起こしている。それは、祖先が日本列島にたどり着く過程で、エネルギーを節約し飢餓に耐えた者だけが生き残ったからだ。祖先が生き抜くために身につけた優れた素質が、飽食の今、皮肉にも新たな病を招いている。
血糖値スパイクを自己診断するには、食後2時間後に市販のテステープで尿検査するのが簡単な方法だ。
尿糖は通常、血糖値が150〜160mg/dlあたりから漏れ出る。もし、食後にテステープが真っ青に染まる陽性だったら血糖値スパイクを濃厚に発症しているはずだ。ただし、正常血糖値でも尿糖が出る糖排出閾値の低い人。高血糖でも尿糖が出ない糖排出閾値の高い人、それらはテステープでは判断できない。正しい診断には、食後の血糖値変化を調べることが必須だ。
◯血糖値スパイク対策、食事の仕方。
先に野菜類を食べて、糖の吸収を遅らせることが推奨されているが、むしろ、最初に魚や肉などを食べるのが効果的だ。肉類を先に食べると、タンパク質や脂質が消化管ホルモンであるインクレチンの分泌を促進させる。インクレチンは食物が胃から腸にたどり着く時間が3倍に遅らせ、インスリンを分泌するΒ細胞を元気付け、血糖値スパイクが抑えられる。ちなみに、二型糖尿病の治療薬DPP-4阻害薬はインクレチンが壊されるのを防ぐ効果がある。
◯血糖値スパイク対策、時計を前にダラダラ食事。
食事の一口目から終了までを、時計を見ながら1時間半に設定する。
以下は私が行っている参考例。
朝、起床したらすぐに温泉卵1個を食べる。
次に、作り置きの料理やアーモンドをつまみ食いしながら朝の雑用を済ませる。
朝食は、シナモンと本みりん入りの豆乳(後述の補足・3を参照)を少しづつ飲みながらのんびり調理。
本みりんを使うのは、甘いのに血糖値を上げにくい特性があるからだ。
配膳を終えたら食事の間、テレビを見たり、パソコンのニュースをチェックしたりしながら、のんびりダラダラ食事をする。
最初の一口目から終了まで1時間半はかける。
最後に、糖質の多いご飯を楽しんで食べる。
これで、血糖値スパイクはかなり改善する。
これは食事に時間をかけることで、反応が悪くなっているβ細胞のインスリン分泌変化に、糖の吸収を合わせる合理的な方法だ。
古代人はある時に食べ、ダラダラと少量づつ一日中食べることもあり、朝昼晩と時間を決めていなかった。朝昼晩の食事は、仕事の効率化のために決まった不自然なものだ。だから、総量だけを厳格に守り、仕事中も少量づつ1日中ダラダラと食べることに問題はない。むしろ、β細胞の負担を減らし、インスリンの効き目を良くする効率的な方法だ。
ただし、効果は個人差があるので、血糖値測定器で血糖値の変化を確かめる必要がある。
私がこの食事法に気づいたのは、次の経験による。
朝食では糖質100gと多めに摂っていたのに、スパイクを起こさなかった。対して、夕食では糖質は3分の1の30gなのにスパイクを起こしていた。スパイクを起こさないように、様々に工夫してみたが一向に改善しない。
そこで、食事にかける時間を比較してみた。すると、朝食は1口目から最後の1口までダラダラと1時間半だった。対して、夕食は30分以内に一気に食事を終えていた。それでダラダラ食事を思いつき、試してみるとスパイクを起こさなくなった。
その後知ったが、ダラダラ少量ずつの食事と間食はβ細胞の負担を軽減させるので、専門医も推奨していた。その場合、1日のカロリー総量と糖質量は厳格に守り、適度な運動を欠かさないことが重要だ。
成人してからの2型糖尿病では、β細胞の糖反応とインスリン分泌能や効き目が弱い遺伝要素がある。それに、ストレス・運動不足・過食による肥満などが加わると発症する。だから、インスリンを節約して、効き目をよくする食事方法は合理的である。
そのように、絶え間ない自助努力が必要なのが2型糖尿病の特徴でもある。
◯血糖値スパイク対策、朝食を食べる。
朝食抜きは厳禁。朝食を食べることで、その日のインシュリン分泌の働きが決まる。朝食が少ないと身体は危機感を覚えエネルギー節約スイッチを入れる。その結果、インシュリン分泌は弱まる。しかし、朝食をしっかり食べると節約スイッチが入らず、インシュリンの働きが良くなって高血糖スパイクを起こしにくくなる。
◯血糖値スパイク対策、食事中と後の運動。
食事をすると、食後15分に血液が胃腸に集中する。
食後すぐや、食事中に度々中断して体を動かすと手足に血液が分散し、糖吸収能力が低下して血糖値スパイクを起こしにくい。食後すぐの運動は、立ったまま足踏みするなど、簡単に体をちょこちょこ動かすだけでも効果がある。
◯血糖値スパイク対策、活性酸素を減らす。
血糖値スパイクによって活性酸素が発生し、血管内壁の細胞が壊れると先述した。それなら、活性酸素をできる限り減らすことで、血管の損傷を軽減できるはずだ。
活性酸素を減らすにはタバコ、アルコール、ストレス、紫外線、をできる限り避ける。
軽い運動をする。ランニングなどの強い運動は却って活性酸素を増やす。
減らす食品には次のようなものがある。
ビタミンC・ビタミンE。赤ワイン・ブルーベリー・りんご・ココアなどに含まれるポリフェノール。緑茶のカテキン。緑黄色野菜のβカロチン。トマト・スイカのリコペン。豆類やタマネギ・シソ・緑茶などのフラボノイド。ゴマのセサミノール。ニンニク・キャベツなどの含硫化合物。エビ・カニの色素アスタキサンチン。
No.2 老化を進行させる最大の悪玉AGE。
悪玉AGEは血液中の余った糖とタンパク質が結びついてできる。だから、血糖値が高い人はAGEも多い。
糖が結びつく蛋白質の一つがコラーゲンだ。 AGEが増えたコラーゲンは弾性を失って硬化し、シワ、たるみなどの老化の最大原因でとなる。コラーゲンは血管、骨、肌、目、内臓、脳など殆どの部位にある。AGEが増えるとその部位は堅く脆くなって老化を進行させてしまう。コラーゲンを多く含む骨はAGEが増えると褐色に変色して脆くなり、簡単に骨折する。
血管に沈着すると、弾力性が失われてカチカチになり動脈硬化を引き起こす。
AGEは殆どの老化現象、認知症、癌、高血圧に深く関与している。
糖尿病合併症やアルツハイマー病などの病変部を調べるとAGEが多く沈着している。
AGEを増やす高血糖を抑えるには糖質の摂取制限が有効だ。
厳格な糖質制限食では1日に2,30gまで抑えているが、腎機能などが正常であることが条件だ。
前述したが、体調を無視して糖質制限すると様々な病変を招き、短命となる。
糖質を制限する場合、タンパク質や良質な脂質を増やしてカロリー不足を補うことが極めて重要だ。
それを怠ると、免疫力が低下し、生活の活力を失う。
適度な運動の併用も重要だ。
ただし、ランニングは有害な活性酸素を増やすので、大股での散歩が心身ともに効果的で推奨されている。
食物中のAGE摂取も減らしたが良い。
こんがり焼けた美味しそうなキツネ色の物質がAGEである。
焦げ目をつける調理は避けた方が良いが、体内で血糖と結びついて発生するAGEと比べ、吸収されるのは少量で気にする必要はない、との意見もある。
◯糖尿病の病態を示す数値にモグロビンA1c(HbA1c)がある。
この物質は過去1〜2ケ月の血糖値を示し、HbA1c値 5.4% (NGSP値) 未満は正常。
HbA1c値 5.4〜6.4% (NGSP値)は時々血糖値が高めで境界型糖尿病とされる。
HbA1c値 6.5% (NGSP値) 以上は糖尿病。
空腹時血糖値が正常でも、HbA1が異常値を示すことは多い。
HbA1の数値が正常値を超えると、AGEも高くなる。
◯老化物質AGE そのものの生成を防ぐ食品にアーモンドがある。
実証実験では、5ヶ月間、1日の25gのアーモンド摂取した被験者たちの肌の潤いと張りが増した。アーモンドは油で揚げたものより焙煎した塩なしが推奨されている。
アーモンドは、含まれているビタミンEが活性酸素の発生を抑え血管内壁の損傷を減らす。
活性酸素を抑えるにはビタミンCも有効だ。活性酸素は体を傷つけ、老化やガンなどの原因となる。活性酸素を増やす要因に、ストレス、食品添加物、タバコ、激しい運動、多量飲酒、紫外線などがあり、糖尿病発症とも関連がある。
アーモンドより効率的にAGEを減らす薬品が開発されていると聞いたことがある。一般化されれば、アンチエイジングの朗報になりそうだ。
◯骨が分泌するオステオカルシンは糖尿病治療に効果がある。
オステオカルシンは骨を刺激することで増え、脳をはじめ全身の臓器を活性化させて肌を綺麗にする。オステオカルシンは膵臓のβ細胞を元気にしてインシュリン分泌が良くなる。
骨の刺激方法は、直立して踵を上げ、ストンと床に落として足の骨に衝撃を与える。それを日に30回以上続けると刺激を受けた足の骨が全身の骨にオステカルシン分泌を指令し、糖尿病、認知症、骨粗しょう症の治療予防効果が生まれる。
◯散歩には血糖値コントロールだけでなく認知症予防効果もある。
歩行で筋肉が増えると血糖の消費が増え、インスリンの効き目がよくなり血糖コントロールが改善する。
更に筋肉を使うことで血液中の成長ホルモンが増加して神経細胞の再生を助けるBDNFが分泌される。再生した脳の神経細胞は、頭を使うことで一層活性化する。運動プログラムを1年間実行しただけで、海馬の萎縮が改善した例もある。
食後2時間値が140mg/dlを越えるとアルツハイマーの発症が増え、200mg/dlを越えると激増する。高血糖は他にも重度の腎臓病、網膜症を起こす。予防のためにヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)は6.5以下を保つように指導されている。その数値を保てば、認知症だけでなく腎炎や失明に繋がる網膜症などの合併症をほぼ防ぐ。
合併症を軽減する食物として、オメガ3含有の亜麻仁油、エゴマ油、紫蘇油、クルミ油がある。それらは脳を活性化して、血液をサラサラにし、血管の損傷を防ぐ。オメガ3は体内でエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)に変化する。効能はコレステロールを下げ、脳の機能を良くし、多くのアンチエイジング効果がある。EPAとDHAは青魚に多く含まれている。
低血糖も血糖値の高低差を大きくするので好ましくない。
低血糖時は空腹感だけでなく、動悸、イライラ、不安感、めまいなどの自律神経症状などが起きる。その時は、小さな菓子などを少量食べるとすぐに治る。
◯私が血糖値に注目したのは、
40年ほど昔の34歳の頃にガン検診をしてからだ。
検診結果はガンはなかったが、血液検査で空腹時血糖値が125mg/dlと高いと指摘された。
「検診のストレスで、一過性に高くなったのでは」と聞くと
「健康ならそこまで高くならない。糖尿病の素質があるから気をつけるように」と医師は答えた。
今思うと、人生を変えるほどの、実にありがたい忠告だった。
もし忠告がなかったら、今頃は合併症で苦しんでいただろう。
ちなみに、両親は健康体だったが、69歳で早世した姉は中程度の糖尿病だった。
だから、私にも糖尿病の素質があったわけだ。
その後すぐに糖尿病専門医の診察を受けた。
結果は空腹時血糖値93mg/dl正常だったが、糖負荷後は140mg/dlと糖尿病発症前の軽い境界型だった。
今なら、既に血糖値スパイクだと診断されたはずだ。
専門医の指導は、運動と食のコントロールと、ストレスをなくし体重を減らすことだった。
具体的には、糖質を減らし、代わりに良質なタンパク質を多く摂取するように指示された。
低糖質療法は今では一般的だが、当時すでに1日100グラムまで減らすと良い、と教えてもらった。
糖質制限は劇的効果があるが、腎機能が弱っている場合は医師の指導が必要だ。それを無視すると重篤な腎障害などを起こして短命となる。
米国の指針では、1日130グラムが糖質制限の限度とされている。米国人より小柄な日本人は、先述したように100gまで減らしても大丈夫なのかもしれない。
診断の後、当市販されたばかりの高価な血糖測定器を買って、食事と運動と血糖値の関係を徹底的に調べた。その時、血糖値スパイクを起こして150mg/dlを超えると堪え難い眠気や倦怠感が起きることを知った。
しかし、誰でも眠気が出るわけではない。高血糖でも無症状な人が多いことを留意すべきだ。
当時と比べると今の血糖測定器は、はるかに正確な上に安価で4千円〜1万5千円ほど。使い捨てのセンサーは1個百円ほどだ。
自分で測定するのは指先の毛細血管からの血液を使う。その場合、毛細血管及び動脈の血液は病院で採血する静脈血より10〜20mg/dl高くなる。だから、自己診断の数値から10〜20mg/dl引いた数値が健康診断の基準だ。食後では毛細血管及び動脈血の血糖値は更に高くなる傾向がある。差ができるのは、血糖が体の組織で消費されて静脈に戻るからだ。
私は血液検査の時に看護師さんに頼んで、その時採血した毛細血管からの血液と静脈血の血糖値を持参した測定器で測って確認した。結果は上記とほぼ同じだった。
最初に診察を受けた頃は、1日に300グラムほどの糖質を摂取しても完璧にコントロールできていた。しかし、加齢とともに悪化し、今は糖質を1日150グラムに抑えても血糖値スパイクを起こす。それで、前述の対策・食事の仕方を考えた。
No.3 体のどの部位であっても、慢性炎症があると老化や糖尿病の原因となる。
殊に歯周病は糖尿病発症原因の一つで、老化を促進させる。
慢性がつく病気はどれも体の老化を進行させる。
炎症性の持病がある人は速やかに根治させるべきだ。
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◯補足1 皮下脂肪は健康を害せず。むしろ健康に役立っている。
皮下脂肪の問題点は、皮下脂肪細胞が満タンになると、余分な脂肪が内蔵脂肪となることだ。
更に、内蔵の脂肪細胞が満タンになると、入りきれない脂肪は異所性脂肪となって体中に拡散する。異所性脂肪は脳以外の総ての臓器、筋肉、血管にグリースを塗り付けたようにべっとりと貼り付いて、細胞を傷つける。
それだけでない。中性脂肪や悪玉コレステロールを増やして動脈硬化や脂肪肝を引き起こす。
今まで内蔵脂肪が悪玉と言われて来たが、本当は内蔵脂肪細胞が満タンになり、あふれた異所性脂肪が問題を起こしている。だから、内蔵脂肪細胞を空にしておけば、異所性脂肪の遊離を防ぐダムの働きをしてくれる。
異所性脂肪の問題点は、細胞内へ浸透してエネルギー工場のミトコンドリアを侵して細胞を殺してしまうことだ。
インシュリンを分泌する膵臓のβ細胞も、異所性脂肪に破壊され糖尿病の原因となる。
異所性脂肪を取り除くのは簡単だ。食事に配慮し、適切に運動すれば数日で劇的に減少する。治験では、空腹時血糖値が200mg/dlを越えていた糖尿病患者が、皮下脂肪細胞の容量を増やす薬を服用した結果、治療中より多く食べて太りながら血糖値が正常に戻ったケースがある。
皮下脂肪細胞が多い人は内蔵脂肪も悪者異所性脂肪も発生しにくい。
だから、皮下脂肪細胞の少ないやせ形の人は、ダイレクトに異所性脂肪が増え、糖尿病、動脈硬化症、脂肪肝になりやすい。今は、皮下脂肪細胞は、食欲をコントロールするレプチンを分泌したり、幹細胞を作って傷ついた部位を修復する大切な器官と考えられている。
◯補足2 老化に極めて有効なカロリー制限。
通常の食事量の75%まで減らすと、老化を防ぐサーチュイン遺伝子が活性化して若返る。
更に、糖質を減らすことで満腹中枢が正常化し、少量の食事でも満足できるようになり、体重が適正化し体調も良くなる。
◯補足3 シナモンによる老化防止。
人体は肌も脳も肺も肝臓も胃腸も、その7割が毛細血管でできている。
毛細血管が減少すると、細胞は酸素・栄養不足に陥り老化し血糖値のコントロールも悪くなる。その時、肌はたるみシワが増え、肝臓病や認知症などを引き起こす。言い換えると、毛細血管を増やせば若さと健康を取り戻すことができる。
毛細血管を増やす方法は簡単で、2週間ウォーキングを続けるだけで毛細血管は3割増える。ウォーキングにスキップを交えると更に5割以上アップする。最も効果的なのはシナモンの摂取だ。シナモンは粉末換算で1日にスプーン一杯ほどでに毛細血管は若返り増加する。
ただし、シナモンにはセイロン(スリランカ)シナモンとカシアシナモンの2種がある。両者は別種で、注意点は長期大量摂取で肝障害を起こすクマリンの含有量だ。クマリンはカシア・シナモンに含まれる。1日のカシアシナモンの許容量はスプーン半分ほどだ。私はセイロンシナモン2に対しカシアシナモン1をブレンドしたものを小さじ一杯、本みりんに溶いて豆乳200mlで割ったものを飲んでいる。本みりんを使うのは、甘いのに血糖値を上げにくいからだ。
クマリンはシナモン特有の甘い芳香がある。
クマリン自体は薬にも毒にもなる成分で、許容量以内なら抗菌作用・エストロゲン様ホルモン作用・抗血液凝固作用、老化や病気から体を守る効果があり、サプリにも使われている。
漢方ではクマリンを含有する中国産カシア・シナモン=桂皮が使われている。
漢方では様々な生薬を組み合わせることで、副作用が出ないように工夫されている。
シナモンは毛細血管の増加だけでなく、血糖値の安定、肌を含む体全体の老化予防に効果がある。大量でも少量でも効果の差は少ない。
◯補足4 糖の吸収を抑える生薬・サラシア。
サラシア粉末3グラムを飲み、糖分150グラム相当の食事を摂って効果を試した。結果は、1時間後の血糖値140mg/dl。2時間後の血糖値は100mg/dlだった。あきらかに血糖上昇抑制効果はあった。サラシアの効果は他に腸内の善玉菌を増やし、貧血を改善し、便通を整える。しかし、糖分吸収抑制効果目的で、常時、身体の中を糖分を素通りさせるのは不自然だ。ストイックだが、食事制限で体調は調整すべきだと思っている。
しかし、サラシアを時たま飲んで菓子類を好きなだけ食べるのはストレス解消に良い。
サラシアはインド伝承医学アーユルヴェーダにある有用植物で5000年間服用されてきた。その間、副作用は報告されていない。ただし、インシュリン注射や血糖降下剤を服用している場合の摂取は厳禁だ。
なぜなら低血糖になった時、サラシアを服用していると緊急に糖分を摂っても吸収されず、脳細胞が死に、最悪、植物状態に至る。
サラシアを使わずに、たっぷりのご飯やお菓子を食べたい時は散歩前か、散歩中に食べると良い。
1時間、大股速歩で歩けば血糖値は50〜100mg/dlくらいは容易に下がる。
ただし、長時間ダラダラ歩きだけでは効果は小さい。内臓脂肪の消費や、血行、ストレス解消効果はあるが、信州大学での治験では、ダラダラ1万歩歩きで体力が低下した例すらあった。
◯補足5 小麦グルテンの弊害。
グルテンには依存症がある。パンや麺食を日常的にしている人はグルテン依存症になって小麦食をやめられず、無性にパンや麺類を食べたがる。しかし、和食に変えると不思議に小麦食を欲しなくなる。
近年、欧米人の中には主食をパンから玄米などに変える人が増えた。食生活を変えた人たちは心穏やかな生活を得て、精神科医から解放された。現代日本で心をコントーロールできない若者が増えたのは、即席麺やパン食が影響している可能性が大きい。
グルテンの弊害の代表にリーキーガット症候群がある。それは腸壁粘膜に細かな損傷が生じ、腸内物質が分子レベルで漏れだしてしまう症状だ。その結果、腸は十分に働けず、消化と吸収の作業が妨げられる。
グルテンによって脳に炎症を起こす人もいる。
症状として頭痛、腹痛、疲労、鬱症の傾向がみられる。
そのようにグルテンに耐性がない人は20人に1人はいる。少しだけ耐性がないだけならもっと多い。
グルテンアレルギーは数日経って症状が現れる遅発型なので、医者が因果関係を見逃すことが多い。だから、小さなアレルギーを常時起こしている人のほとんどはアレルギーを自覚していない。
◯補足6 紫外線による老化。
紫外線については波長が長い順にA,B,Cと三種ある。地表に到達する紫外線の大部分は生体に影響の少なくビタミンDを作るA波である。しかし、近年は有害なB波の比率が増えた。C波は大気に阻止されて地表には到達しない。紫外線対策として、日傘、帽子、日焼け止めなどがある。殊に、サングラスは近年注目されている。
紫外線は肌の老化やがん化の原因だが、糖尿病合併症の一つ白内障を悪化させる。
網膜が紫外線を受けると、その情報が脳に伝わりメラニン色素を増加させる指令が出て肌のシミが増える。
サングラスは側面も覆う透明タイプがベストだ。
色付きで側面が開いている通常のタイプは、側面から入った紫外線が、大きく開いた瞳孔から眼球内に入りトラブルを起こす。殊に、サングラス真横から侵入する夕日中の紫外線は要注意だ。横から入った紫外線は角膜や結膜を傷つけ、翼状片の原因になる。翼状片とは眼球結膜から角膜に向かって三角形に増殖する良性腫瘍だ。視野への影響は少ないが、美容上避けたい。白内障防止のためにも、横も覆う透明タイプのサングラスが推奨されている。
◯補足7 老いてから一番コストがかかるのは病気だ。
老いてからの健康生活のために歯の手入れは重要だ。
口中の健康を保つと、糖尿病の原因である歯周病を防ぎ、風邪をひきにくくなる。
口中の衛生を保つだけで認知症や誤嚥性肺炎は激減する。
◯補足8 老化を効果的に防ぐ野菜。
ニンニク、生姜、玉ねぎ、キャベツ、人参、ブロッコリーが効果がある。殊にブロッコリーは、ガンを防ぎ抗がん剤の働きもある。
血糖値を下げる食品にゴーヤと玉ねぎがある。
合併症を防ぐ生薬に高麗人参がある。粉末500gで2万円前後と高価だが、1日に200円ほどで、その価格以上の効果が得られる。
サプリではαリポ酸にインスリン感受性および糖代謝の改善が認められている。
最後に・・若い頃は好きなものを好きなだけ食べられない、厄介な体質だと思っていた。
しかし、食事と運動に細心の注意を払うことで、いつの間にか同年齢の75歳の人たちより健康で活動的に生活していた。
今は「一病息災」の名言を心底実感している。
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