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2020年1月21日 (火)

過酷なアニメ制作現場での職人的拘りに日本産業の本質と光を見た。令和2年1月21日

 この20年、日本について分析して来たが解答は未完成のジグソーバズルのように欠落だらけだった。それが先日、「NETBUZZ・東京ミラクル・最強商品アニメ」を見た時、そのパズルが音を立てて完成するのを感じた。アニメ制作現場には、日本の強さと、報われない悲惨さと、仕事に対する類い稀な情熱が集約されていた。この現場風景に、圧倒的に優れた技術を持ちながら、後発の韓国や中国の企業に敗れて行った日本企業が重なった。

アニメ制作現場では、アニメ好きの若者たちが、低賃金重労働を厭わず、命をすり減らして情熱的に働いていた。
東京ビックサイトのコミックマーケットにも、彼らと同類の若者たちが溢れていた。
会場にはドイツから来ていたアニメファンがいた。その一人の顔には、本人の希望でぼかしが入れられていた。なぜなら、アニメ好きが母国にバレたら、変人扱いされるからだ。残念ながら、変人扱いする側が世界の主流だ。そして日本の経済アナリストたちも、同じ価値基準で日本を批判し続けている。
「日本でしか通用しないガラパゴスにこだわるから、日本の存在感は薄れ、やがて世界の孤児になって滅びてしまう。」
アナリストたちは口汚く非難するが、職人仕事にこだわり続ける日本メーカーの多くはその姿勢を変えない。なぜなら、それが大好きで生きがいだからだ。その結果、良くも悪くも、日本が世界の多様性の一角を大きく占めてしまった。

 数年前、保証期間内のiPodのイアホンジャックが壊れた。銀座のアップルストアに持っていくと、何も聞かずその場で新品と取り替えてくれた。その時、彼らは一定量が壊れることを前提に生産している、と思った。
欠陥率を1%から0.1%に高めるには、大変な努力とコストがかかる。それでも、完全主義の日本メーカーは気にせず完全な製品を目指している。宇宙ロケットなら完全主義は通用するが、民生品ではアップルなどの海外企業の考え方が正しい。

交通系プリペードカードの「スイカ」はとても優れた完成されたシステムだが高コストだ。日本がそれを作った理由は、このシステムでないと改札口が大渋滞してしまうからだ。スイカの技術、FeliCa(フェリカ)は、ソニーが開発したNFC(近距離無線通信規格)である。世界の主流は別方式だが、FeliCaはそれらの2倍の性能があり、世界でも高く評価されている。現に日本向けのiPhone7と中国メーカーOPPOの新機種にはFeliCaが内蔵されている。欠点はシステムが高額で、海外ではほとんど普及していないことだ。

海外ではQRコード決済などをはじめとする、キャッシュレス化が凄まじい勢いで進んでいる。しかし、スマホを持たない老人層は置いてきぼりにされ社会問題化している。ちなみにQRコードは日本の発明で、無料公開して世界に普及した。

 日本がなぜ自国方式にこだわるのか、この番組を見ていて氷解した。
世界で多く稼げなくても、自分たちの感性や生き方に拘って作り込むことが日本人は好きで、生きがいだからだ。日本と海外の若者たちの大きな差異はそこにある。中国の若者たちは仕事への誠実さより、利益を優先する。だから、低賃金で無我夢中でアニメを描く文化は、拝金主義の中国にはこれから先も生まれるはずがない。
その一方、新しいアニメ文化の潮流の多くは日本から生まれ、これからもそうだ。
同じように、拘り続ける日本の産業から、新しい未来産業が生まれる可能性は大きい。

 日本産業は、世界の富を独占しているガーファを目指さず、ニッチを狙えば、食いっぱぐれることはない。
GAFA(ガーファ)= Google・Apple・Facebook・Amazonの頭文字を並べた呼称。全て米国企業。
ガーファは今は世界の富を独占し、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。しかし、今後もその地位を保つ保証は全くない。現実に、近年はガーファにも綻びが垣間見えるようになった。今はその変化は小さいが、しぶとく生き残った日本企業が勢いを増すチャンスは大いにある。
近年、とことんまで落ちてしまったソニーがV字回復し、贅肉を削り落とした東芝が独自技術で再浮上し始めたと聞く。それらに日本の希望が見える。

アナリストたちは、経済効率だけで日本独自文化を拒否する。
現金主義にガラケーにスイカと、日本は遅れていると揶揄するだけの論調にはうんざりする。
今の世界が目指しているのは世界の画一化と、わずかな勢力だけが富を独占することだ。
一つの色に染められた社会には魅力はない。幸せな生活は、好きなものが自由に選択できる多様性にある。時間を正確に測るだけなら電子時計が安価で優れている。しかし、高価な機械式時計はこれからも衰退しない。精緻な模様はプリントで安価に実現するが、手描き友禅は滅びない。多様性に本当の豊かな生活があり、多様性の大きな一角を占め続けている日本の再浮上のチャンスはとても大きい。

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環八夕景。

 私もアニメ作りをしたことがある。それは50歳の頃で、TVCM用のアニメを描いた。日に1時間の睡眠で、1週間で350枚のセル画を描いた。絵は線描きではなく、ハッチングで色と陰影をつける手間のかかる仕事だった。過酷な仕事だったが、CM用だったので、1年間遊んで暮らせるほどの破格のギャラをもらえた。

 アニメはCGより手書きのほうが断然好きだ。
「アナと雪の女王」は楽しかったが、「千と千尋」や「トトロ」や「君の名は」と比べると、深く心に残っていない。手書き画面は直接情熱を込めて描けるので、心に訴える力が優っているのかもしれない。

好きなTVアニメはたくさんある。
「天才バカボン」「おそ松くん」「未来少年コナン」コナンは、今の人は少年探偵の方を連想するが、私は断然、宮崎駿監督のこちらだ。昭和の木賃アパートの一室でプラモデル作りに熱中している「ケロロ軍曹」も好きなキャラクターだ。

 日本アニメの源流は浮世絵にある。
昔の世界のアートは王侯貴族などの特権階級のものであったのに対し、浮世絵は庶民向けに大量生産された。当時の価格は、今の価格で300円ほどだった。浮世絵製作は版元が企画を立て、北斎、歌麿などの浮世絵師が原画を描き、彫り師、刷り師が大量生産した。
今のアニメーターが家庭を持てないほど過酷であるのに対し、彼らは家庭を持てて、生活は一般庶民と変わらなかった。アニメ制作現場は、せめて、江戸時代の水準に上げるべきだ。
日本の業界にもその認識はあり、近年の待遇は以前より改善された。しかし、ディズニーアニメの制作現場と比べたら、まだ過酷だ。
日本アニメは、ディズニーアニメのように世界を席巻はしていないが、大きな地位は確保している。各一化されたIT世界と比べると、まだ多様性が生きていることに救いがある。

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メーガン妃夫妻。
彼らの年収は106億に達し、ちょっとした企業並みだ。
テレビをつけると、二人が英王室を離脱するかしないかの話題ばかりでうんざりする。
でも、この夫婦は、どうしても描いてみたくなる可笑しさがある。

 

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