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2020年3月21日 (土)

「100日後に死ぬワニ」が終了して、野辺の送りから帰宅した時の、ほの暗い家の広さと寂しさを感じている。令和2年3月21日

 Twitterに連載されていた漫画「100日後に死ぬワニ」が終了した。
この漫画を知ったのは最近のことだ。
だから、最終回までの10日分ほどとしか見ていない。
死が現実に近づいている私たち老人から見ても、非常によくできた物語だと思っている。
その一つが、読者たちが100日間、毎日更新された4コマ漫画で、やがて死ぬ主人公を身近な存在として体験し続けたことだ。
主人公のワニは、別段、自分が死ぬことを嘆いたり叫んだりしているわけではない。
淡々と日常を繰り返しているだけだ。
しかし読者たちは、飄々とした彼の日常生活の底に「死別の悲しみ」を十分に理解し推察したことが感動を深くしている。
身近な友達のようなワニが、100日目に忽然とこの世から消える。この寂しさ哀しさは年代には関係ないものだ。
若い作者は、私たち老人や不治の病で病床に伏している者たちが、今感じている死への想いは理解できないと初めから承知している。だから作者は、年齢に関係なく理解できる「死別の悲しみ、空虚感」を主題に選んだのだろう。
それはドンピシャリと当たって、いまネット上には「ワニロス」の言葉が溢れている。
かく言う私も、熱心な読者ではなかったのに、野辺の送りの後の、がらんと広くなった家に戻った時の、言い知れぬ寂しさを思い返している。

 もしこの漫画が紙の本になったなら、毎日、1ページづつ開くことで、感動が生まれるはずだ。
しかし、映画化では無理だ。この物語の素晴らしさはワニと同じ100日間を観客が過ごしてきたから起きた感動だ。映画館で、2時間足らずで一気に見るものではない。

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 荒川河川敷の山桜。5月あたりから、たくさんのさくらんぼが実る。

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 荒川河川敷のサイクリングロード。
去年の洪水で泥をかぶっていたが、最近、雨に洗い流されて綺麗になった。

 中国では独裁国家のシステムを最大限利用して、厳しく弾圧して新型コロナを一時的に押さえ込んだ。それは住民をその区画と自室に押し込め、時にはドアを釘つけすることさえ厭わず、強権的で過酷なものだった。だから、死んだ家族としばらく一緒に暮らしたり、治療を受けられない重症患者が続出するような悲劇が多数発生した。

 そのような国民から見たら、日本の対応はゆるゆるとのんびりしていてイラつくようだ。
「1ケ月以内に日本はパンデミックを起こし、第二の武漢になる」と、先月あたり、内外の中国人たちがヒステリックに日本を非難していた。
同じ頃、ワイドショーで「こんなことしていたら、日本は武漢になって破滅する」と叫んでいた中国女性がいた。しかし、面白いことにゲストの右派も左派も彼女を黙殺した。理由は簡単だ。日本人がのんびり対応していないことを、日本人自身がよく知っているからだ。それから1ケ月が過ぎたが、中国人たちの予告のように日本は崩壊しなかった。

 日本人と外国人の危機対応能力と衛生観念の違いは異次元だ。
政府はああしろこうしろと命令しなくても、国民は自覚していてきちんと行動する。これは海外では理解しがたいことだ。
海外のメディアは、まるで魔女の火あぶりを楽しむサディスティクな民衆のように、壊滅する日本を薄笑いを浮かべて眺めていたい願望がある。しかし、現実はそうならず、海外メディアの多くは苛立ち始めた。そして今、海外メディアや国内の反政府勢力は、日本政府は意図的にデータを隠蔽し誤魔化していると、根拠のないフェイクニュースを流し始めた。
しかし、人口あたりの死者数が、日本は群を抜いて少ない事実を突きつけられた。そこで、統計学をよく理解していない彼らは陽性者数で死者数を割って導き出された死者比率で海外と比較して、日本はごまかしていると非難し始めた。「日本はオリンピックを開くため、意図的に感染者数を抑えている」と彼らは言い張っているが、検査数を抑えたのは、専門の医学者たちが合議して、それが最善だと決めたことだ。

 彼らの勘違いは、かっての国民病結核の死亡率の計算方法を知ればよく理解できる。
私たち世代は全て、ツベリクリン反応で、抗体を持ち陽転しているかどうかを調べられた。もし陰性なら陽性になるまでBCGワクチンが打たれ続けた。この場合、結核の死亡率計算では分母に陽性者を置いたりはしない。そんなことをしたら、死亡率は限りなく低くなり、実態がわからなくなる。分母に置くのはあくまで結核発症患者だけだ。発症者とは、発熱し、痰に結核菌が見つかり、レントゲンで異常が見っけられたものだ。

それは新型コロナでも同じだ。日本では発熱し、新型コロナの所見と一致するものだけを検査する体制だ。医療崩壊を招きかねない、国民の多くを検査することに意味はない。日本の新型コロナによる人口あたりの死亡率は、先進国中で一番低く、海外が評価する韓国の5分の1ほどの低さだ。統計では、同じ条件で計測するのが原則だ。その原則に照らせば、一番確かなその国の人口と死者数を計測の基本に置くべきだ。
それでも、日本は死者数も偽っているとの反論がある。もし、医療従事者がそのようなごまかしをしていたら、死者を中心としてクラスターが発生し、すぐにバレてしまう。しかし、そのような虚偽が行われている報告はない。

 欧米で今、新型コロナが蔓延し、死者が続出している。
それらは当初、日本の初動の遅れを猛烈に非難していた国々だ。
欧米の医学者は合理的で完璧な対策を国に提案し、政府は素早く実行して行った、と過信していた。
そのような彼らから見れば、日本は何もせず、ただ右往左往している愚かで無能な国に見えたようだ。

 現実を見ればわかるように、日本の日常は静かにはなっただけで普通と大きくは変わらず、死者数も世界最低で移行している。
しかし欧米は、疫学的にも優等生だったドイツを始め、死の街のように沈鬱に静まり返り、結果は日本と逆になった。

それは、現実はドラマのようには行かないことを示している。
ドラマでは、有能で実行力のある為政者が医学者の助言に従い、次々と有効な手段を講じ、対策はドンピシャリと合って、強大な敵は次々と制圧されて行く。アクション映画に当てはめれば、前後左右の敵を一瞬で制圧し、観客がヒーローに拍手喝采するシーンだ。敵も反撃するが、彼らが撃った弾丸は、都合よく全て外れてしまう。
欧米の政治家や評論家などは、初動を的確に素早く行えばアクション映画のように、新型コロナを制圧できると考えていた。対して日本は、のろまでドジな悪役たちのように、破滅するしかないと思っていたが、現実は真逆だった。

これからも日本がうまく行ったとして、日本のやり方を海外で真似することは絶対に無理だ。なぜなら、日本の医師たちは有能で献身的で、国民も彼らに最大限協力する。だから、大きな経済活動を抑えることなく、爆発的蔓延をなんとか抑え込むことができている。

 欧米では、スーパーの棚から多くの食品が消えた。
対して日本では、いつものように買い物ができる。
外出禁止令はなく、連休の桜の名所では、国民は静かに花見を楽しんでいる。
今も日本に残っている外国人たちから見ると、日本人の危機対応能力は素晴らしく、あちこちで賞賛の声を聞く。しかし、気を緩めることなく、今の姿勢を守り、好天の日は外出し、健康維持に努めてほしいと願っている。

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 緑道公園の陸橋から桐ヶ丘方面を眺める。

 今日は暖かい好天。
これから出かけて、花見を静かに楽しむつもりだ。
いつもの春より寂しいが、花の美しさに変わりはない。

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