おじいちゃんのバス停留所 第二章 令和2年4月17日
おじいちゃんのバス停留所 第二章
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ある朝 霧が出ました。
ボクは おじいちゃんと 裏山へ出かけました。
すると どんぐりが 点々と 落ちていました。
それを 辿って行くと 生きている木でできた 不思議なバス停留所がありました。
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おじいちゃんと ベンチに腰掛けて待っていました。
すると 霧の中から 山バスが 現れました。
「どんぐり山行きのバスだよ。
霧が晴れないうちに 早く 乗りな」
山バスから キツネが 声をかけました。
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山バスは 人里離れた山の中を
グングン進みました。
途中で 山の動物たちが
たくさん 乗り降りしました。
「山バスは 人に見つかると まずいので
霧の日だけ 運行しているんだ 」
キツネが 教えてくれました。
やがて、どんぐり山に 着きました。
しかし、おじいちゃんの家は どこにも
ありません。
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「さて、どんぐり山の じいさんの家は
どこへ 逃げて しまったのだろう」
キツネは 運転席で 考えていました。
「おーい、じいさんの家は どこにいるんだー
聞こえたら 返事しろー」
山バスの 動物の乗客たちは 大声で 呼びました。
すると 霧の中から
「ここに いるぞー」と 低い声が 聞こえました。
声の方向に 急いで 飛んでいくと
霧の中に おじいちゃんの家が プカプカ 浮かんでいました。
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プカプカ 浮かんでいる 家の前に
死んだ おばあちゃんが ニコニコ笑って 立っていました。
「霧が晴れる前に 必ず 迎えに来るぞ。
絶対に 忘れるな」
山バスのキツネは そう言って 去って行きました。
「あら、可愛いボクちゃんも 一緒に 来てくれたの。
会うのは初めてね」
おばあちゃんは 優しく ボクを抱きしめました。
明日の第三章に続く。
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