新型コロナ、国民は希望を求めている。都市封鎖の真意。知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者はおそれず。令和2年4月3日
もはや、ニュースもワイドショーも見なくなった。殊に、岡田晴恵教授が登場するとチャンネルをすぐに変える。彼女の言っていることは素人がネットで調べればすぐにわかることばかりだ。彼女はマスコミや反政府団体に協力して利益を得ているにわかタレントに過ぎない。同じ教授でも岩田健太郎神戸大教授は科学的で役立つが、彼女はただネット記事をなぞっているだけで役に立たない。
マスメディアは国民を落ち込ませることが大好きだ。メディアは希望を語り、苦難へ立ち向かわせ、元気付けることを嫌う。だから「死神がくるぞー、大不況がくるぞー」と脅すばかりだ。そのような姿勢で新型コロナとどう戦えと言うのだろうか。
・・・かと言って安易に綺麗事を並べて誤解させ、事態を悪化させられても困る。マスコミに求めるのは、冷静で科学的な前向きの励ましだ。
医師会代表が連日マスコミに登場して「すでに医療崩壊は始まっていて、すぐにでも都市封鎖をすべきだ」と強い口調で語っていた。医師会の真意は「新型コロナ患者は利益が薄く、今のままでは医院の損失が膨らみ、倒産する病院も生じる」と言いたいのだろう。
医療崩壊は、ベットを塞いでいる無症状者や軽症者を病院から民間の一般施設に移すだけで改善する。深刻なのは、医療現場の医師・看護師たちの感染危機だ。医師会は、不足している医療用マスクや防護服などの確保を強く政府に要求すべきだ。
事態は、シャープがマスク生産を始めたように、退職した縫製職人さんを復帰させたり、ポリ袋メーカーなどが簡易防護服生産を始めればかなり改善するだろう。このような金儲けなら是非やってほしい。他にも、新型コロナ関係でITなど新技術が次々と生まれているのは希望に繋がりそうだ。
そもそも、日本の都市封鎖について国民は誤解している。日本の場合、店舗・映画館などの強制休業、土地施設の隔離施設への変換要求が今よりやりやすくなるだけで、欧米のような警察や軍による住民の移動禁止などはできない。生活必需品の流通と売買は普段と同じで国民が不自由することはない。
4日土曜日に電車で都心へ出かけた人の話では、乗り物も街もガラガラに空いていて、すでに国民による自主的な事実上の都市封鎖に至っていた。だから、安倍総理が都市封鎖を宣言したとしても、都市風景はほとんど変わらないはずだ。ただし、休業や失業補償は受けやすくなるので、その点は歓迎されるだろう。また、医療用マスクや防護服などの強制的な確保も、やりやすくなるはずだ。
先日、上昌広(かみ まさひろ)氏がワイドショーでうっかり言葉を滑らした。
「医療崩壊はすでに起きています。町の医院へ行ってみると分かります。どこも患者が激減して、待合室はガラガラです。このままでは潰れる医院が多数出てきます」出席者たちは医療崩壊について語るのかと期待したのに、語ったのは医師の経済崩壊だった。上氏は医療関係企業の利害代表でもある。彼が検査を増やせと言ってきた真意が、この一言で氷解した。
武漢、NY、イタリア、スペイン、フランスなどでは医療崩壊が起きて感染爆発が起きた。これが起きると、医療が一気に100年前に後退して大量死が起きる。武漢は政治の失敗。イタリアはEUから財政健全化を求められ、医療費を削ったことによる。米国は高額医療保険を受けられるのは金持ちだけの医療制度が原因だ。都市封鎖は危うさをはらんでいる。休業補償がないままに施行されたら経済は著しく悪化する。もし失業が1パーセント増えれば日本では年間12000人の自殺者が増える。これはコロナ死者を大きく上回る。安倍総理が躊躇しているのはそれにあるのかもしれない。
国民は感染者数に一喜一憂しているが、この数値は検査を増やせば増える数値だ。例えば小池都知事が検査対象を増やせと指示すれば、感染者数は急増する。すでに市中には無症状の感染者が多くいる。専門家は政治的に変化する陽性者の数値より、検証された検査人数に対する感染者の割合で地域の感染者数を推定する。
私が都発表の検査人数からザッと導いた数値は、東京都で66人の陽性者が出た4月1日での陽性率は40%。97人陽性者が出て騒がれた4月2日の陽性率は20%。陽性率の低下は、クラスター潰しのために無症状者を多く調べたことが影響しているかもしれない。しかし、明らかに検査対象を3倍近くに広げたためで、政治的な作為は否定できない。
一般的には毎日発表されている死者数に注目すれば、現状が悪化しているか否かが確実に分かる。
都市封鎖より先に個人がやることがある。それは徹底した感染防止と人に感染させないことだ。感染予防の鉄則は、汚れた手で、目、鼻、口を絶対に触れないことだ。それだけで100パーセント近い感染予防効果がある。だからこそ、手洗いが奨励されている。日本人では手洗いの習慣は当たり前だが、欧米人にはない習慣だった。それで感染暴発が起きた。
私は常に薬用アルコールを持ち歩き、手に直接つけるだけでなく、汚染防止のための手袋をグチョグチョになるくらい濡らして殺菌する。アルコールはすぐに揮発するので、手袋は少し経てば乾燥する。さらに、すでに自分が感染者だと想定して、人と接するときは、触れず、大声で会話せず、くしゃみ咳をする場合は大判のタオルハンカチで口を覆っている。都市封鎖はそれらを実行しながら同時並行に行うのが正論だ。個人全てが手洗い清潔に励めば、都市封鎖の何倍もの効果があり、新型コロナは自然に終息する。
今回「実効再生産指数」という言葉が頻繁に使われている。それは、1人の感染者が何人に感染させるかの数値だ。1を超えると新型コロナは拡大中。1を下回れば終息中となる。感染者たちの一部に、一人でウイルスを撒き散らし、5人10人と感染させる者がいる。それ以外はほとんどウイルスを撒き散らさない。そこで平均値を出したものが「実効再生産指数」となる。
日本がこれまで上手く対処できたのは、世界で唯一、検査要員を含めた医療従事者をクラスター潰しに1点集中させたからだ。具体的には、一人でウイルスを撒き散らす感染者をいち早く特定し、それを起点に形成されるクラスターを潰す作戦をとった。その結果、日本の死者数は先進国中でダントツに低い。ただし、一番の成功例の台湾は、中国からのWHOへの圧力で公表されていない。
しかし、クラスター潰しも限界にさしかかって来た。都市封鎖だけでなく、アビガンなどでの積極治療、一般医師が簡単に安全にできる抗体検査など、新たな一手を講じる局面に変わった。
日本が死者を低く抑えられた原因の一つにダイヤモンドプリンセス号での経験がある。新型コロナに関して、日本がクルーズ船で得た新型コロナに関するデータは、キメ細かく科学的で、質において中国を上回っている。日本がなんとか耐えてこられたのは、このデータを利用した結果だ。
クルーズ船に関して、自衛隊の防疫部隊の活躍は余り知られていない。彼らは細菌戦に備えた部隊で、極めて優秀だ。2500人以上の隊員が投入されたのに、一人の感染者も出さなかった。それは一般自衛隊員も同じで、海外勤務の自衛隊員を除いて、一人の感染者も出していない。これは世界の軍隊の中では稀有なことだ。
自衛隊に比べ、厚労省の役人からは数人の感染者が出ている。
新しい治療法、実現可能な経済対策など、希望を持てるニュースもある。
たとえば、日本企業が開発したウイルス疾患治療薬アビガンの増産に本格的に入った。アビガンは中国、ドイツなどでも導入を進めている。産業界が動き始めたのは、効果が実証されたからだ。
アビガンは中国での治験では7割に効果があった。それは、軽症者の自宅療養を可能とし、陰性化を早め、重症者の治癒を早める。同じく日本で開発された喘息治療薬も治癒の手助けになるっている。それらと、効果が認められたエイズやエボラの治療薬を併用すれば、大きく前進できるはずだ。防ぐより治す方が成果はでる。国民が今知りたいのはそのような希望だ。
メデイアが成功例として連日発信している韓国の実情は、検査数の多さを讃えるばかりだ。人口当たりの死者数は日本の7倍と多く、大統領制で政策実行が容易な韓国は日本の参考にはならない。日韓は民族性が大きく違う。向こうには向こうのやり方があるように、日本には日本のやり方がある。
韓国では総選挙が始まった。ニュースでは候補者と支持者たちはマスクを外してハグしまくっていた。総選挙が新たな感染蔓延につなる可能性はある。検査数が膨大でも、全国民を検査した訳ではない。健常者の中には偽陰性のものも多く含まれ、感染源になるかもしれない。
対して日本では、強権を発動しなくても首長が自粛を訴えれば、夜の街から人影が消える。安倍総理は自粛効果が目に見える、4日土曜から1週間の感染者推移に注目しているのだろう。
新型コロナで、唯一良かったことは、中国の裏面を世界が知ったことだ。
国の健康を守る大切なマスクや防護服の産業まで中国に移転してしまい、世界は後悔している。産業のサプライズチエーンを中国に移転させる危うさも学んだ。中国の自国第一主義の尊大さも学んだ。
それでも産業界のトップが、「中国の市場規模は魅力だ」と話していたが、それにも限度がある。こと安全保障につながる産業は、補助金を使ってでも国内に留めるべきだった。その流れは、新型コロナ終息後に、全世界で起きるだろう。
産業の中国移転によって、日本国内は空洞化して、20年以上にわたって景気低迷が続いている。日本企業が中国でいくら利益を上げても、日本のGDPには寄与しない。しかも、中国で得た利益は日本に移転させることができない。それでは日本企業がいくら稼いでも日本国民の所得は増えず、その上、日本の命である産業技術まで盗まれ続けて来た。中国からのインバウンドなど、不安定な利益に頼ったのも誤りだった。新型コロナは、間違った方向へ走り続けて来た世界に、間違いを気づかせてくれた。
イタリアの首脳が「中国の善意に感謝する」と言っていたが、イタリア国民は逆のことを思っているだろう。世界中が災難を持ち込んだのは中国だと知っている。
この危機中でも中国は尖閣侵略を止めずに続けている。
力と財力で世界を支配しようとしても、真心がなかったら無理だ。
米国も同じことをし続けたが、どこか間抜けで、清教徒的な真面目さがあった。しかし、中国の世界制覇はウイグル・チベット、モンゴル弾圧で分かるように邪悪で狡猾だ。今中国は、コロナ感染を世界に広げた張本人なのに、世界を助けるふりをして医療関連機器などで稼ごうとしている。これは放火して消火するマッチポンプそのものだ。コロナ終息後、中国が米国に代わって覇権国家になると予測する専門家がいる。もし、世界各国政府が中国を受け入れたとしても、人々は拒否するはずだ。
コロナ流行が小康を得るのは早くても半年先の今秋からで、経済復興はそれからのことだ。サービス業の人たちは、それまで何としても耐えなければならない。NYの多くの人が今月の家賃を払えなくなっている。世界の全ての産業が危機的状況にある。農業も停滞して、食糧危機も起き始めている。国家は都会で余り始めた労働力に補助金をプラスして農村支援に向かわせるべきだ。
振り返れば、わずかな国民年金しか固定収入がない我が身の先行きも不安だ。今年は、例年より多くの絵の注文を受けて、安泰だと思っていたのに、全ての予定が大きく狂い始めた。病は恐れていないが、このジワリと首を締め付けられていく不安は受け入れ難い。たとえ都市封鎖があろうとなかろうと、完全終息は2年後だ。平均余命12年の私にとって、その2年はかけがえがないほど貴重で、無駄にはできない。
先日亡くなった志村けん氏は享年70歳。
70歳の頃の私はとても元気だった。
今ほど、ほんの数ヶ月前の平和な日々の貴重さを感じることはない。
それは、あの世へ行った志村けん氏も同じ気持ちだろう。
トランプは新型コロナ流行を戦争に例えたが、これは戦争ではない。
家でじっとしていれば安全で、ミサイルや砲弾が飛んでくるわけではない。どんなにひどい疫病でもその程度のものだ。例年より、特別に多くの死者が出ているわけではない。どんなに平和な年でも、知らない間に大勢が死んでいる。ただ、それに気づいていないだけのことだ。
かと言って、新型コロナの感染力と毒性を安易に考えている訳ではない。肺炎で亡くなった人の臨終に立ち会ったことがある。それはとても苦しいもので、いつまでもその姿が頭から離れなかった。
今年の桜は早く咲いたのに、散るのは遅い。4月1日は強い雨で、桜の幼木の可愛い花は、ガラス玉のような雨のしずくをいっぱいに蓄えて、下向きに耐えていた。雨が上がると、自然はすっかり緑に覆われた。
散歩道の荒川土手で、小学5,6年生の女の子4人グループが遊んでいた。彼女たちは、スマホでアイドルグーループの音楽を流し、それに合わせて踊りの振り付けを練習していた。別の日には、彼女たちは草原に広げたシートで弁当を食べたり、鬼ごっこをしたり、楽しそうに過ごしていた。10年後、彼女たちは、疫病の流行った長い春休みを、楽しい思い出として記憶しているはずだ。
今必要なのは、戦う勇気と希望だ。
知者は惑わず・仁者は憂えず・勇者はおそれず・・・論語。
知恵のある者は惑わされることがない。仁の徳がある者は憂いがない。真の勇気があるものは、恐れることがない。
今、それが国民のとるべき姿勢だと感じている。
空気は すばらしいもの。
すべての生き物の命を支え その命に 魂を吹き込む。
生まれたばかりのわたしに はじめての息を あたえてくれた風は
死んでゆくわたしの 最期の吐息を 受け入れる風。
・・・絵に対応する寮美千子氏の文。
私が絵を描いた画本「父は空 母は大地」の中で一番好きなシーンで、仕事部屋に掛けてある。
すっかり荒んでしまった今、このシーンは心に響く。
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