おじいちゃんのバス停留所 第一章 令和2年4月16日
一時、新型コロナから離れようと思います。
今回は、これまで散発的にブログに掲載した絵と文を、三章に分けて連続掲載します。
以前、知人が「高齢の父が昔の家に帰りたくて、毎日バス停へ行く。でも、行き方がわからず がっかりして帰ってくる」と話していました。お父さんはの昔の家はすでにありません。その話を聞いて、この絵と文を考えました。
まだ本にはしていません。まとめて発表するのはこれが初めてです。このように暗いご時世です。皆様のお気持ちが少しでもほぐれたら、嬉しいです。
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おじいちゃんのバス停留所 第一章
1
昔、 おぢいちゃんと おばあちゃんと ボクの お父さんは
どんぐり山に 住んでいました。
家族は 山の草木や 動物たちと 仲良く 暮らしていました。
おばあちゃんは 早く 亡くなりました。
お父さんは 家を出て 結婚し ボクが生まれました。
それをきっかけに、おじいちゃんは ボクたちと 暮らし始めました。
古くなった どんぐり山の家は 壊されて 今はありません。
2
おじいちゃんは どんくり山の家へ いつも 帰りたいと思っています。
それで 毎日 バス停へ出かけます。
でも バスでは どんぐり山へ 行けません。
おじいちゃんが 迷子にならないように
お母さんは 心配しています。
それで いつも おじいちゃんに ついて 行きます。
ボクの 夏休みが始まりました。
だから ボクが 毎日 おじいちゃんに
ついて行くことにしました。
3
バスが来ると おじいちゃんは 車掌さんに
同じことを聞きます。
「どんぐり山へ行きますか」
「どんぐり山行きのバスは、ずっと昔になくなりましたよ」
車掌さんは いつも 気の毒そうに 答えます。
おじいちゃんは いつも がっかりして 帰りました。
4
ある日の夜、外が騒がしいので 目を覚めました。
庭を見ると 山の動物たちが 集会をしていました。
キツネが 立ちあがって 演説しました。
「じいさんは どんぐり山に 帰りたがっている。
じいさんには 昔 親切にしてもらったから、
オレたちの山バスで連れて行って
あげようじゃないか」
みんなはパチパチと手をたたいて
賛成しました。
ボクは 山バスって どんなバスだろう
と思いました。
5
ある日 裏山で遊んでいると
演説していたキツネに出会いました。
「山バスって どんなバスなの」
ボクが 聞くと キツネは笑いながら 答えました。
「霧が出た日に じいさんを 連れて
ここに来てみな。
どんぐりが 山バスの停留所へ 案内して くれるよ 」
第二章に続く
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