社会は大地殻変動を起こしている。挑戦者たちにとって今はワクワクする時代だ。令和2年4月25日

今、人類が経験したことがない異常事態の中にいる。一部の地域や国レベルなら、このような事態を歴史は幾度も経験している。しかし、全世界が同時に陥ったのは、人類史上、初めての経験だ。それは、恐れと不安、そして好奇心と異常な興奮で全世界が発狂しているように思えるほどだ。

絵描きはいつも不安定な底辺で生きているので、今の事態でも、いつもと変わらない生活だ。むしろ、不安定の共通項で、社会が自分に近づいたような親しみさえ感じる。今の事態はやがて解決する。その時、自分だけが取り残されないように、今をチャンスに変える努力をしている。

社会活動の低下で、東京は気候まで変わった。1週間後には5月に入るのに、日が陰ると同時に寒風が荒川を吹き抜ける。昨日は、荒川土手から奥日光や上越国境の山々がくっきりと見えた。
インドでも、北部のパンジャブ州から２００キロ離れたヒマラヤ山脈が数十年ぶりに見えて、住民は驚いている。

23日、荒川夕景。

日光連山。

経済の落ち込みは悲惨だが、同時に社会システムの地殻変動を引き起こし社会は良い方向へ大きく変わるかもしれない。この時代を嘆くだけではもったいない。若者たちは今をチャンスに変え、しっかりと見つめ、記憶に残すべきだ。

このような変化の時代を利用して、新しいアイデアを生み出し稼ぎ始めた人たちには拍手を送りたい。これから短期間で、今までなかった業態が次々と生まれるはずだ。東京一極集中はこれをきっかけにして大きく変わる。在宅ワークをきっかけにして、都心に本社を置き、社員が周辺から通勤する形態は大きく変わる。通勤客をあてにした飲食業も大きく淘汰される。湾岸部の高層マンション群の需要も、これからは落ち込む。日本には光ケーブルなどのインフラが充実した過疎地が大量にある。これをきっかけに過疎地解消が進むかもしれない。
赤羽でも、新しい出前の形態であるウーバーイーツの黒バックを背負った若者たちが自転車で走り回っている。医療用マスクや防護服のアイデアも次々と生まれている。つり革やエレベーターボタンを直接触れずに済む新商品の発売も続いている。ある意味、挑戦者たちにはワクワクする時代が到来しているのかもしれない。

昨日は変わりやすい天気で、晴れたかと思うと大粒の雨が舗道を濡らしていた。
天気雨の中、病院下公園を抜けると、
「おひさまがでているのに、あめがふってる」と可愛い声が聞こえた。
見ると、若い母親に連れられた4,5歳の男の子が両手をいっぱいに広げて雲間の青空を見上げていた。
子供はどのような時でも、希望を失わない。

密着禁止により、新番組製作が滞っている。
番組の品質低下は目を覆うばかりだ。
だから、ハードディスクに貯めてある昔の録画を観ている。
今日は、40年前の映画・スターウォーズ・エビソード5「帝国の逆襲」を観た。これはシリーズの中でも好きな作品だ。ハリソン・フォードのハン・ソロとレイヤ姫がびっくりするほど若い。ことに、悪の頭領ジャバに囚われ、鎖で繋がれた半裸姿のレイヤ姫はぞくっとするほど官能的だった。しかし去年、TV録画で見た2017年・スター・ウォーズ・最後のジェダイでの二人の老いはアクション映画にふさわしくなく、見るに忍びなかった。宇宙を股にかけ40年も過酷な戦いを続けたのだから、老いは致し方ないのかもしれないが・・・

スターウォーズ・エピソード5では、ヨーダにルークの父親ダース・ベイダーなど、作品上の主要キャストの死が相次いだ。ダース・ベイダーを荼毘にふす場面が妙に哀しかったのは、武漢肺炎で多くの訃報を聞いているからかもしれない。
40年前に観た時はヨーダの死はさほど心を捉えなかったが、自分が死に近づいた今見ると、世の無常を感じた。

昨日、女優・岡江久美子の武漢肺炎での急死の訃報を聞いた。享年63歳。まだまだ魅力的な女優だったので、とても寂しい。去年、彼女は乳がんの手術を受けて成功し、今年1,2月に放射線治療をして免疫力が低下していたところでの感染が急死の原因だった。残された夫、69歳の大和田獏の無念さは筆舌を尽くしがたいだろう。

それもあって、鴨長明の方丈記を幾度も思い返している。
「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し」