今の対策では、コロナ死者100人を減らすために1万の自殺者を犠牲にする。令和2年5月2日

東京が清涼になった。住まい周辺の光景が秩父辺りみたいに思える。今日の散歩では、公園のベンチでぼんやりしていた。まだ7時過ぎなのに、深夜のように静かだ。目の前を過ぎる定期バスの乗客たちは誰もが青白く俯いていた。静か過ぎて2キロ先の足音が聞こえるほどだ。50メートルほど離れた住宅から、夕食を作る物音が聞こえた。本当に静かなのか、それとも、社会不安によって感覚が鋭敏になったのか、それは不明だ。

武漢ウイルス蔓延を機に、引きこもりが部屋を出始めたとの記事があった。扶養者の親が失業して、生活に危機感を持ったからと説明されていたが、それだけではない。孤独が社会に瀰漫して、社会が自分に近づいてきたと感じたからと思っている。だから、武漢ウイルスが沈静化して社会が活気を取り戻せば、彼らは疎外感を覚え再び自室に逃げ込むかもしれない。

今の経済停滞には命の危うさを感じる。一般企業・飲食店・芸能界だけでなく、患者激減により倒産する医院すら生まれる異常事態だ。政府もマスコミも、武漢ウイルスの危機感を煽るばかりで、ウイルスとの共存はタブーになっている。この状態が夏まで続けば、年末にかけて生活困窮者が爆発的に広がり、多くの自殺者が出ることになる。今の対策では、コロナ死者100人を減らすために、3000から1万の自殺者を犠牲にすることになる。

自殺者の多くは日本経済を中核で支えて来た働き盛りだ。対して、コロナ死者の大半は私を含めたリタイアした高齢の年金世代だ。私たちが若者より先に逝くのは自然なことだ。細心の注意と勇気を持って、少しづつ経済を正常化させないと、取り返しがつかない真の危機を招くことになる。

日本は自主的な民意に頼って武漢ウイルスを抑え込んだ。日本では欧米や韓国・中国のように、強権でプライバシーや人権を無視し、感染者を抑え込むことはできない。マスコミは日常化を取り戻した韓国を無邪気に礼賛しているが、見えない部分で監視が行き届いてる結果だ。日本は現状に合わせた押さえ込みしかできない。例えば、仕切りを設ければ営業を許すような、日本独自の工夫が必要だ。

専門家によると、武漢ウイルスは空気中を介してではなく、物などを介して手指から口・鼻・目元へ移って感染する。だから、完璧に人と接していないのに感染した例がある。どんなに徹底的に消毒しても見逃しはある。だから、予防と治療方法が確立するまでは、一定の犠牲を容認するほかない。
そう発言できるのは、私自身が感染死リスクが高い後期高齢者だからだ。私は心底、若い人に生き残って欲しいと願っている。そんなことを言うと「俺たちに死ねと言うのか」と憤る老人がいるが、同じ世代としてその自己中ぶりが恥ずかしい。私たち老人より若者の命が重いのは自然なことだ。

ちなみに、日本で2月まで流行していたコロナウイルスは武漢から観光客などが持ち込んだもので、なぜか日本人の多くに免疫力があり、蔓延は抑えられていた。その理由は、日本には土着の毒性の弱いコロナウイルズが幾つかあって、すでに免疫力が備わっていたとの説がある。対して、3月から感染者と死者が増加したのは、欧米で変異し毒性の強くなった武漢ウイルスが入ってきたからだ。

感染症専門家の推測では、感染者の実数は、東京都では少なく見積もっても10万人ほどいる。それはPCR検査で判明した5000人の20倍だ。逆に考えると、99パーセントの感染者は無症状か、本人が気づかないほど軽症だ。それは土着ウイルス感染者がPCR検査で武漢ウイルス陽性と誤診されるから、と研究者の一部は推測している。

世界のどの国においても、検査で判明した陽性者数が実数より少ないのは自然なことだ。感染者数は政治的にどうにでもなる数値で、増やすことはとても容易だ。だから、オリンピック中止の直後、感染者数は不自然に跳ねあがった。自粛宣言解除延長を発表後も不自然に165人に跳ね上げった。

今日の数値が跳ね上がったのは、早くに分かっていた院内感染者を加えた結果だ。病院での院内感染は、スタッフにではなく、病院構造に問題がある。私が母の介護をしていた頃、一番気を使ったのは風邪防止だった。簡単な風邪でお年寄りが簡単に亡くなって行くのを見聞きしていた。だから、ウイルスだらけの病院待合室に母を連れて行った時は細心の注意を払い、母の車椅子は待合室からできる限り離しておいた。

マスコミは相変わらず国民の不安を煽り続けている。テレ朝がことにひどい。テレ朝に重用されている岡田晴恵氏は、今日は陽性率を他国と比較する愚を犯していた。陽性の可能性の高い人を選んで検査する日本方式では、陽性率は高くなる。誰彼なく広く検査する韓国やドイツでは、低くなる。その違いを無視して、日本は陽性率が高いから感染爆発をする、などと彼女は発言して不安を煽っていた。陽性率は同じ地域の変化を見るもので、検査体制の違う地域を比較する数値ではない。彼女の発言を耳にすると、本当に感染症の専門家なのか疑ってしまう。

彼女は日本を韓国やドイツと比較して、日本にダメ出しをすることを好む。しかし、WHO発表の100万人辺りの死者は、4月30日、日本3.28人に対し、ドイツ75.05人、韓国4.82人と両国は日本より悪い。そのような彼女の発言は、医療現場で頑張っているスタッフの士気を奪うものだ。彼女の発言は、不安を煽って視聴率を取ることが目的だろう。その功績のおかげで、彼女はコロナ解説者の地位を不動のものにしてしまった。

そのようにTV番組がどれも低俗なので、昔の録画ばかり見ている。今夜は美の壺の「巨樹」を見た。熊本の「寂心さんの楠」、津軽の「たらちねのイチョウ」、神代桜、と数千年生きた見事な巨樹を見ていると、武漢ウイルスで右往左往している人間が愚かで恥ずかしくなる。国民は忘れているが、武漢ウイルスがなくても、大勢の人が毎年亡くなっている。

私は先月使い捨ての国産メーカーマスク14枚を700円強で薬局で買った。そのうち2枚を散歩中に使い、帰宅してから洗って再使用している。最初は薬用アルコールに浸して、流水で洗い流した。次には洗濯洗剤で洗ったが、嫌な香料が残るので止めた。今はセスキ炭酸ソーダ小さじ一杯を500ccのお湯に溶かしたものに30分ほど浸けおき、流水で十分にすすいで洗濯機で脱水し、陰干しして使っている。10日ほど使っているが、フイルター機能は衰えても、見た目は新品と見分けがつかない。この分では残りの12枚を使い切るのに年内一杯かかりそうだ。

専門家の話では、一般用マスクは、ウイルスフィルターのためではなく、汚れた手で口元を触れないために装着する。だから、フィルター効果がなくなっても、汚染した手で口元を触れさせない効果はある。

最新の武漢ウイルスの研究では、老人が一番ウイルスを撒き散らす感染源になっている。だから、老人がマスクなしで出歩くのは無責任極まりない。先日、街で見かけたマスクなしの老人は、嫌がらせのように人ごみで咳をしていた。そのような老人は多い。道ですれ違いざまに、咳をする老人もいる。そのような老人たちには怒りを覚える。

「父は空 母は大地」ロクリン社版　文 寮美千子　絵 篠崎正喜

　あらゆるものが つながっている。
　わたしたちが この命の織物を 織ったのではない。
　わたしたちは その中の 一本の糸に過ぎないのだ。