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2020年7月29日 (水)

長い梅雨の終わりに、安曇野特養でのドーナツ窒息事件とALS女性患者の安楽死への考察。都の陽性者460超えでマスコミは大騒ぎ。令和2年7月29日

昨夜午前1時、北風に変わった。
この住まいは風の音が大きい。風が強い日は、まるで「嵐が丘」の劇中にいる気分だ。原作は読んでいないが、映画化されたものは幾度も見ている。一番好きだったのは1970度米英合作の作品だ。ヒースクリフ役はデビューしたてのティモシー・ダルトが演じていた。
風の音を聞いていると英国の寒い荒野が眼に浮かぶ。
「ヒースクリフ・・・、ヒースクリフ・・・」と、キャサリンの亡霊が愛するヒースクリーフを呼ぶ声が、風の音の中に聞こえた気がした。

知人に3月始めに会って以来、5ヶ月間、誰とも会っていない。これから半年先も誰かと会うことはないだろう。
毎日、散歩途中に公園のベンチで休んでぼんやり過ごしている。命溢れる夏の自然に包まれていると、コロナ鬱から救われる。

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昨日の日中は蒸し風呂の暑さで、少し歩くと汗が吹き出た。
しかし、雨に濡れた土手道は夏草の香りに満ちていて、嫌なことを忘れさせてくれた。
いつもの公園のベンチは濡れていて使えないので、東京北医療センターの庇の下で休んだ。
5時すぎると、私服に着替えて帰宅する看護婦さんたちが目の前を過ぎて行った。看護師さんとわかるのは、きちんと髪をまとめているからだ。見舞客だと手に何か下げているが、看護婦さんたちはリュックだ。病院にも流行があるようで、薄手のガウチョパンツに首元が大きく開いた生成りのダブダブのTシャツのスタイルが多い。昔と違い、最近の看護師さんは綺麗な人が多い。彼女たちを眺めているのはとても楽しい。

最近、気になるCMは「午後の紅茶・おいしい無糖カレーに紅茶篇」に出演している深田恭子だ。画面設定は世田谷あたりの丘の上の白い建物。庭のテーブルに明るい日差し。紅茶を片手ににっこり笑っている彼女がとてもいい。こんな人が傍にいたら幸せだろう。じっとりと蒸し暑いベンチで、そんなことを妄想しながら過ごした。

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帰宅してテレビをつけると、「東京では10万人あたり10人も感染者が出て、危機的状況だ」と、ワイドショーの司会者が深刻な顔で視聴者を脅していた。通常のインフルエンザでも10万人あたり1万の感染者がいる。「インフルエンザ10000人に対して新型コロナは10人、そのどこが危機的なんだ。そんなノミの心臓では100人に増えたら即死だろ」とテレビに悪態をついた。

家では、ものづくりと大掃除を、ひたすらしている。本棚の掃除をしながら、埃をかぶった三島由紀夫の近代能楽集を見つけた。本は買ってすぐに読んだ後、書棚の脇に平積みに置いておいた。内容はほとんど覚えていない。多分、共鳴できる内容ではなかったのだろう。固く絞った雑巾で埃を落とすと、表紙の白い余白にシミが点々と付いていた。
シミを眺めながら、ふいに 50年前 まるめた新聞紙でたたき落とした銀蝿のことを思い出した。銀蝿は装丁の白い余白で手足を震わせて死んだ。蝿はテッシュで丸めてゴミ籠に捨てた。

そのゴミ籠は今も傍らにある。太い割り竹を編んだ 飴色の堅牢な品だ。買ったのは十条のアパートで一人暮らしを始めた10代の頃だ。だから60年ほど使い続けている。大変に堅牢で、その上にベニヤ板を置いて椅子がわりに使ってもビクともしなかった。
同じ頃に買った座敷箒を今も使っている。当時の日本の民芸品は割高だったが、とんでもなく堅牢だった。座敷箒は3千円以上した。今の貨幣価値に置き換えると、1万以上の価格だ。「高い」と言うと「使ったら分かる」と荒物屋の親父はむっつりと答えた。親父の言った言葉の意味は後年実感した。

その後、ベトナム製のザルや中国製の箒を安く買ったが、数年で壊れてしまった。ベトナム製も中国製も、見かけはしっかり作られていた。それでも脆く壊れてしまったのは素材が悪かったのだろう。その点、国産素材は伝統的な方法で下処理がなされていたので、100年保つほど堅牢だった。そのような良心的な家庭用品を作っていた日本の工人も、頑固な荒物屋も、とうの昔に絶滅してしまった。
ホームセンター・家具売り場・電化製品売り場へ行くと、日本製はほぼ絶滅状態で海外産ばかりだ。今、日本人も米国人も、そのようなゴミを買うためにせっせと働いている。

最近、気になったニュースは、平成25年、安曇野市の特別養護老人ホームで85歳の入所者がドーナツを喉につまらせて死んだ事件だ。その時担当だった准看護師がおやつの確認を怠ったとして、業務上過失致死で罰金20万の有罪判決を受けた。
彼女と支援者たちはすぐに控訴した。そして昨日、無罪判決が出た。無罪になって、本当に良かったと思っている。それくらいのことが訴追されたこと自体が間違っていた。第一審の裁判官が、なぜに有罪にしたのか理解できない。もしこれが家庭内で起きたことなら、何の問題にもならなかったはずだ。裁判官は、生きていること自体がリスクであることをご存知ないようだ。

生活から全てのリスクをなくしたら、生きている喜びがなくなる。老人ホームで、食事は全て流動食に変わり、転ぶ危険がある歩行は禁止され、病気への感染防止のために外出は禁止されたら、入所者たちの生きる楽しみの全てが奪われてしまう。一審の有罪判決以来、老人ホームは安全第一に萎縮し、老人の生きる楽しさを奪う介護に変化し始めたことを、関係者たちは深く憂慮していた。無罪判決は本当に良かったと思っている。

重すぎて気になったニュースは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者の医師による安楽死だ。
このニュースで、10年ほど前、散歩コースの公園で、懸命にリハビリをしている男性のことを思い出した。
年齢は40歳前後で、長身で元スポーツ選手の雰囲気があった。
何度も会ううちに挨拶を交わすようになり、短い会話をした。
「交通事故ですか」と聞くと
「いや、側索硬化症です」と彼は言った。
私は答える言葉をなくした。彼は公園まで、自分で車を運転して来ていると話していた。
最初に会った頃は、杖をついて丘上までなんとか歩けていた。しかし、半年ほどで上れなくなり、下の平地をゆっくりと歩行訓練をしていた。しかし、歩みは日に日に衰えて行って、1年を過ぎたあたりで、彼の姿は消えた。辛いだろうと気が重くなった。あの悪化のスピードでは今は寝たっきりになっているのかもしれない。

ALS患者では長い絶望の日々を過ごして、最後は人工呼吸器に繋がれたまま緩慢に死んでいく。それは想像するだけで恐ろしくて辛い病態だ。
もし自分が患者の立場なら、と想像するのすら恐ろしい。

安楽死のニュースから、7月20日月曜日のNHK「ノーナレ・炎舞」を思い出した。
大峯千日回峰行を成し遂げた塩沼亮潤氏52歳の護摩行のドキュメンタリーだ。彼は48キロもの剣山悪所を1000日間歩み続ける。そして、飲まず食わず眠らず横にならず9日間祈り続ける四無行を成し遂げた。その結果、肉体はひどく損傷し、彼の脳の側頭葉一部が大きく欠損し、白血球数は正常の3分の1となった。それは認知症を起こし、あらゆる感染症の脅威にさらされる危険な状態だ。しかし、本人はいたって元気で、認知症は全くない。今も、過酷な護摩行に励んでいる。

弟子と畑の手入れをしながら彼が話した言葉が深く心に残った。
「自分がこの世に必要ならば、仏様は生かしてくれるだろう。もし、必要ないと判断されたなら、あの世へ行くだけのこと。一生懸命、修行してもしなくても仏様は、お叱りはしない」
実にいい言葉だ。安楽死したASLの女性がその言葉を知ったらどう思っただろうか。もしかすると、自分が生きているのはこの世に必要だったから、と少しは生きようとする気持ちが芽生えたかもしれない。

7月31日。麹町の飲食店にパートへ出ている姉が、今日はお客さんが一人もいなかったと、帰宅するなり嘆いた。
今日の陽性者数は460人とマスコミが大騒ぎしている。それは4連休中の未計上陽性者が上積みされた結果で、騒ぐに当たらない。少なく見積もって、現在、東京都には約50万人以上の新型コロナウイルス保有者がいる。すでに自然治癒した人はその数倍はいるだろう。その中から、たとえ日に5000人見つかったとしても驚くに当たらない。東京都のウイルス保有者の実数は、破格の経費と人数を使い何千万回とPCR検査を繰り返して初めて分かるものだ。もし全てを見つけたら、指定感染症である以上、陽性者は全て隔離せねばならず、医療現場は一瞬で破綻してしまう。
陽性者に対し、重症者と死者数はリアルタイムにほぼ正確に分かる。なぜなら両者とも隠せる数字ではないからだ。陽性者数より重症者と死者数が重要なのは、そのような理由がある。現在、両者ともにほぼ横ばいで危機的状況にない。国民は冷静に対応してほしい、と願うばかりだ。

1ケ月前に、京都大学のウイルス学の宮沢孝幸准教授は新型コロナは7月末から8月はじめにピークアウトすると予測している。ちなみに、一人が何人に感染させるかの指数・実行再生産数は全国では少しづつ下がり続け1.29。東京も下がり続け1.01。8月頭にピークアウト予測には真実味がある。

最後に愚かでバカバカしいニュース。
韓国の公園に慰安婦に土下座する安倍総理のプロンズ像が設置された。
芸術には程遠い稚拙な造形だった。こんなことに大金を投じる韓国は理解し難い。韓国の安定した有望な職業に「活動家」がある。普天間基地移転反対のデモにも韓国からプロの活動家が大挙押しかけていたが、今は両国間の出入国禁止で、沖縄は静からしい。

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