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2020年10月26日 (月)

昭和30年代町風景。楽しい子ども花火大会。秋の色。令和2年10月26日

東京下町風景。昭和30年あたり。
映画「ALWAYS 三丁目の夕日」より少し以前の情景を「風の音」シリーズで描いた。

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その絵を修正したので、スキャンして繋いだ。
絵にはスキャンが難しい空が描かれていないので、4分割の絵は無調整でつなぐことができた。

この時代はモータリゼーションの草創期だ。
この頃、オートバイを乗り回すカミナリ族が現れた。
だから、町のバイク屋は景気が良かった。
新築の白亜のバイク屋の左は鉄材屋。
昭和38年、芸大を滑った私は再受験を止めて、彫金職人への修行を始めた。
自由にお金を稼ぐ手段を身につければ、絵描きにはいつでもなれると思ったからだ。

タガネなどの道具素材の鋼などは鉄材屋で買って、自分好みに手作りした。
高度成長期の町工場の需要が旺盛で、素材を扱う鉄材店は町毎にあった。
鉄材屋の入り口では、いつも電動の切断機が大きな鉄の塊を注文サイズに切っていた。
そうやって切り出してもらった鉄の塊を、彫金作品の金型に使った。
今は東急ハンズなどで買っているが、昔の素材屋と比べると値段が高い上に品揃えも劣る。

さらに左奥、窓から人が外を見ている建物は印刷屋。
パソコンで印刷原稿が作れない時代だ。窓から、指先を真っ黒にして鉛の活字を拾っている文選工が見えた。文選工は漢字や文章の深い素養が必要だった。組んだ活字はそのまま印刷に使うことができた。しかし、輪転機で大量印刷する場合は、湿した耐熱厚紙に強く押し付けて雌型を作り、鉛合金を流し込んで円筒状の活版を複製した。印刷工場からは、溶けた鉛とインクの匂いが漂っていた。時折、印刷工が活版の修正のためにタガネで削っているのが外から見えた。今なら版修正はパソコンで簡単に出来るが、当時は大変な手間がかかっていた。

右隣は米屋。まだ、米が配給手帖がないと買えない時代だ。だから米屋の親父は威張っていた。古い乗用車は昭和20年代まで走っていた。この絵の時代には近代化され、まったく見かけない車だったが、好きな車なので、あえて描き入れた。
町工場がどの町にあった時代だ。お昼休みになると、若い工員たちは決まって道上でキャッチボールをしていた。
なぜか酔っ払いも多く、真昼から酔った老人が町角に座り込んで、クダを巻いている姿をよく見かけた。
今、そのような光景は全て消えてしまった。
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買い物帰り、新河岸川の船着場に突然、花火の花が咲いた。
赤、緑、黄、と鮮やかな火花がお花畑のようだ。急いで近づくと、地域の子供会が花火をやっていた。親子連れが100組ほどが土手の斜面から、嬉しそうに花火を眺めている。ボランティアらしき若者たちが小型の筒型花火に次々と点火し、子供たちの可愛い歓声があがった。せいぜい4,5メートルの高さの花火だが、大きな花火よりずっと楽しい。
今年は大きな花火大会は全て中止になった。その寂しさを埋めるように、各地で小ぢんまりした手作り感満載の花火大会が行われた。我が家からも荒川の対岸に、小さな花火が幾度も見えた。

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ナイアガラ滝の仕掛け花火を最後に、花火大会は30分ほどで終わった。
普通であることは素晴らしい。
コロナ禍の中、子供達には心に染み入る花火だった。

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荒川土手のイヌビエの一種。
正確な名称はわからない。9月に草刈りを終えてから二ヶ月ほどでここまで成長した。
今年は急に冷気がやって来たので、花鞘は例年より紅色が濃い。
花鞘を剥くと小さな痩せた白い子房が出てきた。
いち早く土手道に散ったヒエの実に、スズメや鳩たちが群がっていた。

土手道の脇から「リリリ」と、コオロギの少し寂しい声が聞こえた。
その草陰のコオロギを、小さな女の子と若い父親がしゃがんで見つめていた。
通り過ぎてからも、自然を愛でる父娘の気持ちが心地良く残った。

秋は紅葉だけでなく、木肌や木の実が美しく彩られる季節だ。
鮮やかな紅色のネコ柳の茎や鞘に覆われた芽。
ニガイチゴの濃紫の茎は蝋質の白い粉で覆われてプラムそっくりだ。
お菓子のような茶色のガマの穂は初冬になると綿毛に変わり、雪のように風に舞う。
青空に幾何学的に枝を伸ばすミズキの紅色の木肌は殊に美しい。
木肌が紅色に変化するのは、葉が落ちて紫外線に晒される幹を守るためだ。
掘りたてのサツマイモの土を落とした瑞々しい紅色、熟した柿の赤、栗のこげ茶、花梨の黄も美しい。
秋の色には、毎年魅了されている。

今年は台風が少なかったので、木々の葉が痛んでいない。
今年は美しい紅葉が見られそうだ。
12月になったら、鎌倉へ紅葉を見に行こうと思っている。

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病院下公園。中央の柿は今年は一個も実らなかった。
初夏の梅の実も大凶作で、来年の国産梅干し出荷は激減するらしい。
山のドングリなど自然の木の実も凶作だ。
飢えたクマが市街地にさまよい出て、被害が全国で続出している。

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